「サイコロを2回投げて、両方とも1が出る確率は?」と聞かれたとき、どう計算すればいいか迷ったことはないだろうか。
確率の問題で「AかつB」のように、複数の条件を同時に満たす場合を求めるとき、多くの人が「足し算なのか掛け算なのか」で混乱する。公式は覚えたのに、なぜその計算をするのかがわからない——そんな声をよく聞く。
実は、確率の掛け算には明確なルールがある。この記事では「積の法則」と呼ばれる考え方を、図解とアニメーションで順を追って解説する。読み終わる頃には、「かつ」の確率を自信を持って計算できるようになる。
そもそも「積の法則」とは?
積の法則とは、2つの出来事が「同時に」または「続けて」起こる確率を求めるときに使う計算ルールである。
日常の言葉で言うと、「AかつB」の確率を求める方法だ。
積とは「掛け算の答え」のことである。つまり「積の法則」は「掛け算のルール」という意味である。
例えば、次のような問題を考えてみよう。
例:サイコロを2回投げる。1回目に1が出て、かつ2回目にも1が出る確率は?
このとき、次のように計算する。
なぜ掛け算をするのか?その理由を次のセクションで図を使って説明する。
なぜ掛け算になるのか——図で理解する
積の法則がなぜ成り立つのかを、樹形図を使って視覚的に確認しよう。
樹形図とは、起こりうる全ての場合を枝分かれの図で表したものである。「場合の数」を漏れなく数えるのに便利な方法だ。
この図からわかることを整理しよう。
- 1回目の出目は6通り
- それぞれに対して、2回目の出目も6通りずつある
- 全ての場合の数は $6 \times 6 = 36$ 通り
- 「1かつ1」は36通りのうち1通りだけ
つまり、掛け算をする理由は「全体の場合の数が掛け算で求まるから」である。
積の法則の公式
積の法則を公式としてまとめると、次のようになる。
$P(A)$ は「Aが起こる確率」を表す記号である。Probability(確率)の頭文字をとっている。
ただし、この公式が使えるのは「AとBが独立」な場合に限る。
独立とは、一方の結果がもう一方の結果に影響しないことである。例えば、1回目のサイコロの目は2回目の目に影響しない。これが独立である。
「独立」を面積図で理解する
独立な2つの出来事の確率を掛け算する理由を、面積図でも確認してみよう。
この面積図から、次のことがわかる。
- 全体の正方形を「確率1(100%)」と考える
- Aが起こる確率 $\dfrac{1}{6}$ は、横方向の $\dfrac{1}{6}$ の幅に相当
- Bが起こる確率 $\dfrac{1}{6}$ は、縦方向の $\dfrac{1}{6}$ の高さに相当
- 「AかつB」の確率は、その重なった部分の面積 = $\dfrac{1}{6} \times \dfrac{1}{6} = \dfrac{1}{36}$
面積は「縦 × 横」で求める。だから確率も掛け算になる。
例題で手順を確認する
具体的な問題を解きながら、積の法則の使い方を身につけよう。
例題1:コインを2回投げる
コインを2回投げて、両方とも表が出る確率を求めよ。
1回目に表が出る確率を求める。
2回目に表が出る確率を求める。
1回目の結果は2回目に影響しない(独立)ので、確率は同じ $\dfrac{1}{2}$ である。
積の法則を使って、両方の確率を掛ける。
答え:$\dfrac{1}{4}$
例題2:カードを続けて引く(取り出して戻さない)
1から5までの数字が書かれたカードが1枚ずつある。このカードをよく混ぜて1枚引き、戻さずにもう1枚引く。1枚目が1で、2枚目が2である確率を求めよ。
この問題は「戻さない」という条件がポイントである。1枚目を引いた後、残りのカードの枚数が変わることに注意しよう。
1枚目に1を引く確率を求める。
5枚から1枚を引くので、
2枚目に2を引く確率を求める。
1を引いた後なので、残りは4枚。その中に2は1枚あるので、
$P(B|A)$ は「Aが起きた後でBが起きる確率」を表す記号である。「1枚目が1だったとき、2枚目が2になる確率」という意味だ。
2つの確率を掛ける。
答え:$\dfrac{1}{20}$
積の法則が使える条件を見極める
積の法則を使うときに大切なのは、「独立かどうか」または「条件付き確率を正しく求めているか」を確認することである。
よくある間違いと対策
積の法則を使うときに起こりやすい間違いを確認しておこう。
間違い1:足し算と掛け算を混同する
間違いの例:「1が出る、かつ1が出る」だから $\dfrac{1}{6} + \dfrac{1}{6} = \dfrac{1}{3}$
正しい考え方:「かつ」は掛け算、「または」は足し算。
| 日本語 | 記号 | 計算 |
|---|---|---|
| AかつB(両方起こる) | A ∩ B | 掛け算 |
| AまたはB(少なくとも一方) | A ∪ B | 足し算 |
間違い2:「戻さない」のに確率を変えない
間違いの例:5枚から2枚続けて引く(戻さない)とき、$\dfrac{1}{5} \times \dfrac{1}{5} = \dfrac{1}{25}$
正しい計算:$\dfrac{1}{5} \times \dfrac{1}{4} = \dfrac{1}{20}$
2枚目を引くとき、残りは4枚になっていることを忘れずに。
間違い3:全体の場合の数を数え間違える
樹形図を描くか、式で確認する習慣をつけよう。
この単元のよくある質問
Q. 「かつ」と「または」の見分け方を教えてください。
A. 「かつ」は「両方同時に起こる」ことを表し、掛け算を使う。「または」は「少なくとも一方が起こる」ことを表し、足し算を使う。問題文に「同時に」「続けて」「両方とも」とあれば「かつ」、「どちらか」「少なくとも」とあれば「または」と判断しよう。
Q. 3回以上繰り返す場合も同じように掛け算でいいですか?
A. はい、同じ考え方で計算できる。例えばコインを3回投げて全て表になる確率は $\dfrac{1}{2} \times \dfrac{1}{2} \times \dfrac{1}{2} = \dfrac{1}{8}$ となる。回数が増えても、それぞれの確率を全て掛け合わせればよい。
Q. 樹形図を描かなくても解けますか?
A. 公式に慣れれば樹形図なしで解けるようになる。ただし、最初のうちは樹形図を描いて全体の場合の数を確認することをおすすめする。確率の感覚が身につくまでは、視覚化することで理解が深まる。
練習問題
まとめ
この記事では、確率の掛け算(積の法則)について学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 「AかつB」の確率は、それぞれの確率を掛け算する
- 独立な場合:$P(A) \times P(B)$
- 戻さない場合(従属):2回目の確率は変化することに注意
- 掛け算になる理由は「全体の場合の数が掛け算で求まるから」
「かつ」が出てきたら掛け算——この基本を押さえておけば、確率の問題で迷うことはなくなる。
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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