「因数分解はできるのに、二次方程式になると急に解けなくなる」——そんな経験はないだろうか。
公式を覚えていても、「どこで因数分解を使うのか」「因数分解したあと何をすればいいのか」がわからず、手が止まってしまう。テストで時間だけが過ぎていく焦りは、誰もが知っているはずだ。
実は、因数分解で二次方程式を解くには「たった1つのルール」を知っているだけで十分である。この記事では、そのルールと使い方を、具体例を通じて完全にマスターできるまで解説する。
そもそも「二次方程式を因数分解で解く」とは?
二次方程式とは、$x^2$ を含む方程式のことである。例えば $x^2 + 5x + 6 = 0$ のような式だ。
この方程式を「因数分解で解く」とは、左辺を $(x + ○)(x + △) = 0$ の形に変形してから、$x$ の値を求める方法である。
因数分解とは、式を「かけ算の形」に分解することである。例えば $x^2 + 5x + 6$ は $(x+2)(x+3)$ に分解できる。
なぜこの方法で解けるのか?それは、次の「黄金ルール」があるからだ。
因数分解で解くための「黄金ルール」
二次方程式を因数分解で解くために、たった1つだけ覚えてほしいルールがある。
これは「2つの数をかけて0になるなら、どちらかが0」という意味である。
例えば、$3 \times 0 = 0$ だし、$0 \times 7 = 0$ だ。逆に言えば、かけ算の答えが0になるのは、かけている数のどちらかが0のときだけである。
このルールは「零因子の性質」と呼ばれる。難しい名前を覚える必要はなく、「かけて0 → どちらか0」とだけ覚えよう。
このルールを使えば、$(x+2)(x+3) = 0$ のような式から、すぐに $x$ の値が求められる。
黄金ルールを図で理解する
「かけて0になる → どちらかが0」というルールを、視覚的に確認してみよう。
このルールを方程式に当てはめると、次のようになる。
これは「$(x+2)$ と $(x+3)$ をかけて0」という意味だから、
のどちらかが成り立つ。それぞれを解けば、$x = -2$ または $x = -3$ と求まる。
因数分解で解く手順
ここからは、具体的な手順を見ていこう。
方程式の右辺が0でなければ、移項して0にする。
$x^2 + (a+b)x + ab$ の形を $(x+a)(x+b)$ に変形する。
$(x+a)(x+b) = 0$ なら「$x+a = 0$ または $x+b = 0$」と書く。
$x+a = 0$ → $x = -a$、$x+b = 0$ → $x = -b$ と求める。
例題で手順を確認しよう
例題1:$x^2 + 5x + 6 = 0$
すでに $= 0$ の形なので、このままでOK。
「足して5、掛けて6」になる2つの数を探す → 2と3
答え:$x = -2, -3$
二次方程式の解は、基本的に2つある。答えを書くときは「$x = -2, -3$」のようにカンマで区切って書く。
例題2:$x^2 – 7x + 12 = 0$
すでに $= 0$ の形。
「足して$-7$、掛けて$12$」→ $-3$ と $-4$
答え:$x = 3, 4$
例題3:$x^2 – 9 = 0$(定数項のみ)
この式には $x$ の項がない。しかし、因数分解で解ける。
$x^2 – 9$ は「$A^2 – B^2$」の形 → 和と差の積で因数分解できる。
答え:$x = \pm 3$
$x = 3, -3$ は $x = \pm 3$ と書くこともできる。$\pm$(プラスマイナス)は「プラスとマイナス両方」という意味である。
解き方の流れを図解で確認
因数分解で二次方程式を解く流れを、アニメーションで追ってみよう。
よくある間違いと対策
因数分解で二次方程式を解くとき、多くの人がつまずくポイントがある。先に知っておけば、同じミスを避けられる。
間違い1:符号を逆にしてしまう
$(x – 3)(x – 4) = 0$ を解くとき、
と書いてしまうミスが非常に多い。
正しくは:$x – 3 = 0$ → $x = 3$、$x – 4 = 0$ → $x = 4$
対策:「$(x – 3) = 0$ の形を見たら、$x = +3$」と覚える。引き算を足し算に直すイメージだ。
間違い2:解を1つしか書かない
$(x + 2)(x + 3) = 0$ を解いて、
で終わってしまうミス。
正しくは:$x = -2, -3$ と2つ書く。
対策:「二次方程式の解は2つ」と唱えてから答えを書く習慣をつけよう。
間違い3:因数分解を間違える
$x^2 + 5x + 6$ を $(x + 2)(x + 4)$ と因数分解してしまうミス。
確認方法:因数分解したら必ず「展開して元に戻るか」をチェックする。
対策:「足して○、掛けて△」の2つの条件を両方確認する。2と3なら、足して5、掛けて6。
この単元のよくある質問
Q. なぜ「かけて0」だと「どちらかが0」になるのですか?
A. 0以外の数同士をかけると、必ず0以外の答えになるからです。例えば $2 \times 3 = 6$、$(-1) \times 5 = -5$ など。かけ算の結果が0になるのは、かけている数のどちらかが0のときだけです。これは数学の基本的な性質で、「零因子の性質」と呼ばれます。
Q. 因数分解できない二次方程式はどうすればいいですか?
A. 因数分解できない場合は、「平方完成」や「解の公式」という別の方法を使います。すべての二次方程式が因数分解できるわけではありません。因数分解できる式は、「きれいな整数の解を持つ」ことが多いです。
Q. 解が1つしかない二次方程式はありますか?
A. はい、あります。例えば $(x – 3)^2 = 0$ を解くと、$x – 3 = 0$ しかないので $x = 3$ だけになります。これは「重解(じゅうかい)」と呼ばれ、同じ解が2つ重なっていると考えます。答えは $x = 3$ と書きます。
練習問題
$x^2 + 7x + 10 = 0$
$x^2 – 8x + 15 = 0$
$x^2 – 16 = 0$
まとめ
この記事では、因数分解を使った二次方程式の解き方を学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 黄金ルール:$A \times B = 0$ なら、$A = 0$ または $B = 0$
- 手順:右辺を0に → 因数分解 → 黄金ルール適用 → それぞれを解く
- 注意点:符号の間違いに注意、解は2つ書く
因数分解で二次方程式を解く方法は、他の解法(平方完成、解の公式)に比べて圧倒的に速い。まずはこの方法をマスターして、「因数分解できるか?」を最初に判断する習慣をつけよう。
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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