二次方程式の基本は解けるのに、文章問題になると手が止まる。
「どこで方程式を立てればいいかわからない」「文字の置き方が思いつかない」「立式できても計算ミスで時間が足りなくなる」——そんな経験はないだろうか。
実は、応用問題には決まったパターンがある。パターンを知らないまま問題を解こうとするから、毎回ゼロから考えることになり、時間がかかるのである。この記事では、入試頻出の5パターンを順に解説し、どんな応用問題でも「型」に当てはめて解けるようになるまで練習する。
対象:中学3年
所要時間:約20分
目次
応用問題を解く前に確認すること
応用問題に挑む前に、以下の3つができているか確認しよう。できていない場合は、先に基礎を固めることをおすすめする。
1
因数分解で解ける
$x^2 – 5x + 6 = 0$ → $(x-2)(x-3) = 0$ → $x = 2, 3$
2
解の公式が使える
$x = \dfrac{-b \pm \sqrt{b^2 – 4ac}}{2a}$ を正確に代入できる
3
解の吟味ができる
求めた解が問題の条件に合うかを確認できる
吟味とは、求めた答えが問題の条件を満たしているかを確認することである。例えば「正の整数」を求める問題で負の数が出たら、それは答えにならない。
入試頻出パターン①:数に関する問題
最も基本的なパターンである。「連続する整数」「2つの数の関係」などが出題される。
例題1:連続する2つの正の整数
問題. 連続する2つの正の整数がある。それぞれを2乗した和が85になるとき、この2つの整数を求めよ。
1
文字を置く
小さい方の整数を $x$ とする。連続する整数なので、大きい方は $x + 1$ である。
2
方程式を立てる
「2乗した和が85」より:
$$x^2 + (x+1)^2 = 85$$
3
展開して整理する
$$\begin{aligned}
x^2 + x^2 + 2x + 1 &= 85 \\[6pt]
2x^2 + 2x + 1 &= 85 \\[6pt]
2x^2 + 2x – 84 &= 0 \\[6pt]
x^2 + x – 42 &= 0
\end{aligned}$$
4
因数分解して解く
$$\begin{aligned}
(x + 7)(x – 6) &= 0 \\[6pt]
x &= -7, \ 6
\end{aligned}$$
5
吟味する
$x$ は正の整数なので、$x = -7$ は不適。
$x = 6$ のとき、2つの整数は $6$ と $7$ である。
検算:$6^2 + 7^2 = 36 + 49 = 85$ ✓
答え:6と7
パターン①のポイント
| 問題の表現 | 文字の置き方 |
| 連続する2つの整数 | $x$, $x+1$ |
| 連続する3つの整数 | $x-1$, $x$, $x+1$ |
| 連続する2つの偶数 | $2x$, $2x+2$ |
| 連続する2つの奇数 | $2x+1$, $2x+3$ |
| 差が5の2数 | $x$, $x+5$ |
入試頻出パターン②:図形の面積・辺の長さ
図形に関する問題では、「辺の長さ」や「面積」を文字で表し、与えられた条件から方程式を立てる。
例題2:長方形の面積
問題. 縦が横より3cm短い長方形がある。この長方形の面積が70cm²のとき、縦と横の長さをそれぞれ求めよ。
1
文字を置く
横の長さを $x$ cm とする。縦は横より3cm短いので $(x – 3)$ cm である。
2
方程式を立てる
面積 = 縦 × 横 = 70 より:
$$x(x – 3) = 70$$
3
展開して整理する
$$\begin{aligned}
x^2 – 3x &= 70 \\[6pt]
x^2 – 3x – 70 &= 0
\end{aligned}$$
4
因数分解して解く
$$\begin{aligned}
(x – 10)(x + 7) &= 0 \\[6pt]
x &= 10, \ -7
\end{aligned}$$
5
吟味する
$x$ は長さなので正の数。$x = -7$ は不適。
$x = 10$ のとき、横 = 10cm、縦 = 10 – 3 = 7cm
検算:$10 \times 7 = 70$ ✓
答え:縦7cm、横10cm
入試頻出パターン③:道幅・額縁の問題
「長方形の周囲に同じ幅の道をつける」「絵の周囲に同じ幅の額縁をつける」といった問題である。
例題3:花壇と道
問題. 縦12m、横16mの長方形の土地がある。この土地の周囲に同じ幅の道をつけ、残りを花壇にしたところ、花壇の面積が128m²になった。道の幅を求めよ。
2
花壇の大きさを表す
道が周囲にあるので、花壇は上下左右それぞれ $x$ m ずつ小さくなる。
花壇の縦:$(12 – 2x)$ m
花壇の横:$(16 – 2x)$ m
3
方程式を立てる
花壇の面積が128m²より:
$$(12 – 2x)(16 – 2x) = 128$$
4
展開して整理する
$$\begin{aligned}
192 – 24x – 32x + 4x^2 &= 128 \\[6pt]
4x^2 – 56x + 192 &= 128 \\[6pt]
4x^2 – 56x + 64 &= 0 \\[6pt]
x^2 – 14x + 16 &= 0
\end{aligned}$$
5
解の公式で解く
因数分解できないので、解の公式を使う。$a=1$, $b=-14$, $c=16$
$$\begin{aligned}
x &= \frac{14 \pm \sqrt{196 – 64}}{2} \\[8pt]
&= \frac{14 \pm \sqrt{132}}{2} \\[8pt]
&= \frac{14 \pm 2\sqrt{33}}{2} \\[8pt]
&= 7 \pm \sqrt{33}
\end{aligned}$$
6
吟味する
$\sqrt{33} \approx 5.7$ なので、$x = 7 + \sqrt{33} \approx 12.7$、$x = 7 – \sqrt{33} \approx 1.3$
道の幅は土地の縦(12m)の半分未満でなければならない(花壇がなくなる)。
$x = 7 + \sqrt{33} \approx 12.7 > 6$ は不適。
$x = 7 – \sqrt{33} \approx 1.3$ は適する。
答え:$(7 – \sqrt{33})$ m
入試では「小数第2位を四捨五入せよ」と指示されることもある。その場合は $7 – \sqrt{33} \approx 1.26$ より、約1.3mと答える。
入試頻出パターン④:動点の問題
点が辺上を動くとき、面積や長さがどう変化するかを問う問題である。「$t$ 秒後」という設定が多い。
例題4:動点と三角形の面積
問題. 右図のように、AB = 12cm、BC = 8cmの長方形ABCDがある。点PはAを出発して辺AB上をBまで毎秒2cmの速さで動き、点QはBを出発して辺BC上をCまで毎秒1cmの速さで動く。2点が同時に出発してから $t$ 秒後に△PBQの面積が12cm²になるとき、$t$ の値を求めよ。
1
$t$ 秒後の位置を表す
点P:Aから $2t$ cm 進んでいるので、PB $= 12 – 2t$ cm
点Q:Bから $t$ cm 進んでいるので、BQ $= t$ cm
2
面積の式を立てる
△PBQの面積 = $\dfrac{1}{2} \times \text{PB} \times \text{BQ} = 12$
$$\frac{1}{2} \times (12 – 2t) \times t = 12$$
3
整理する
$$\begin{aligned}
(12 – 2t) \times t &= 24 \\[6pt]
12t – 2t^2 &= 24 \\[6pt]
-2t^2 + 12t – 24 &= 0 \\[6pt]
t^2 – 6t + 12 &= 0
\end{aligned}$$
4
解の公式で解く
$$\begin{aligned}
t &= \frac{6 \pm \sqrt{36 – 48}}{2} \\[8pt]
&= \frac{6 \pm \sqrt{-12}}{2}
\end{aligned}$$
判別式 $= 36 – 48 = -12 < 0$ より、実数解なし。
5
結論
△PBQの面積が12cm²になる瞬間は存在しない。
答え:条件を満たす $t$ は存在しない
入試では「解なし」が答えになることもある。判別式が負になったら、「実数解がない」=「条件を満たす瞬間がない」と判断する。計算ミスを疑って再計算することも大切である。
入試頻出パターン⑤:割合・増減の問題
「○%増加」「○割引き」などの問題である。割合を正確に式にできるかがポイント。
例題5:売上と利益
問題. ある商品を1個あたり800円で仕入れ、定価をつけて売ったところ、1日に50個売れた。翌日、定価を100円下げたところ、1日の売上個数が20個増えた。このとき、利益は前日より1000円増えた。定価を求めよ。
2
前日の利益を表す
1個あたりの利益 = 定価 − 仕入れ値 $= x – 800$ 円
前日の利益 $= (x – 800) \times 50$ 円
3
翌日の利益を表す
1個あたりの利益 = $(x – 100) – 800 = x – 900$ 円
売上個数 = $50 + 20 = 70$ 個
翌日の利益 $= (x – 900) \times 70$ 円
4
方程式を立てる
「利益が1000円増えた」より:
$$(x – 900) \times 70 = (x – 800) \times 50 + 1000$$
5
展開して整理する
$$\begin{aligned}
70x – 63000 &= 50x – 40000 + 1000 \\[6pt]
70x – 63000 &= 50x – 39000 \\[6pt]
20x &= 24000 \\[6pt]
x &= 1200
\end{aligned}$$
6
検算
前日の利益:$(1200 – 800) \times 50 = 400 \times 50 = 20000$ 円
翌日の利益:$(1200 – 100 – 800) \times 70 = 300 \times 70 = 21000$ 円
差:$21000 – 20000 = 1000$ 円 ✓
答え:定価1200円
この問題は一次方程式で解けた。二次方程式になる場合は「売上個数の増加が定価の下げ幅に比例する」など、より複雑な条件が加わる。
応用問題を解く手順を図で理解する
どんな応用問題でも、以下の流れで解くことができる。
よくある間違いと対策
1
文字の置き方を間違える
❌「連続する整数」を $x$, $x+2$ と置いてしまう
✅ 連続する整数は差が1なので $x$, $x+1$
対策:文字を置いたら、具体的な数(例:3, 4)を代入して確認する
2
道幅問題で「2倍」を忘れる
❌ 花壇の縦を $(12 – x)$ としてしまう
✅ 上下両方に道があるので $(12 – 2x)$
対策:図を描いて、どこが短くなるか確認する
3
吟味を忘れる
❌ $x = -7, 6$ で「答えは $-7$ と $6$」と書く
✅ 長さや個数は正の数なので、$-7$ は不適
対策:解が2つ出たら、必ず条件に戻って確認する
この単元のよくある質問
Q. 因数分解と解の公式、どちらを使えばいいですか?
A. まず因数分解を試し、できなければ解の公式を使う。目安として、$ax^2 + bx + c = 0$ の $a$, $b$, $c$ が小さい整数なら因数分解を、大きい数や計算が複雑なら解の公式を選ぶとよい。
Q. 解が無理数(ルート)になったら、どう書けばいいですか?
A. 問題に指示がなければ、$7 – \sqrt{33}$ のようにルートのまま書く。「小数で答えよ」と指示があれば、$\sqrt{33} \approx 5.74$ と近似して計算する。
Q. 「解なし」が答えになることはありますか?
A. ある。判別式が負になる、または解が条件(正の数、整数など)を満たさない場合は「条件を満たす解は存在しない」が答えになる。入試でも出題されるので、慌てずに対応しよう。
練習問題
問1. ある正の整数の2乗から、その整数の3倍を引くと40になる。この整数を求めよ。
整数を $x$ とする。
$$\begin{aligned}
x^2 – 3x &= 40 \\[6pt]
x^2 – 3x – 40 &= 0 \\[6pt]
(x – 8)(x + 5) &= 0 \\[6pt]
x &= 8, \ -5
\end{aligned}$$
$x$ は正の整数なので、$x = -5$ は不適。
答え:8
検算:$8^2 – 3 \times 8 = 64 – 24 = 40$ ✓
問2. 縦20m、横30mの長方形の土地がある。この土地の縦と横をそれぞれ同じ長さだけ短くして、面積を元の半分にしたい。何mずつ短くすればよいか。
短くする長さを $x$ m とする。
元の面積:$20 \times 30 = 600$ m²
新しい面積:$(20 – x)(30 – x) = 300$ m²
$$\begin{aligned}
(20 – x)(30 – x) &= 300 \\[6pt]
600 – 20x – 30x + x^2 &= 300 \\[6pt]
x^2 – 50x + 300 &= 0
\end{aligned}$$
解の公式より:
$$\begin{aligned}
x &= \frac{50 \pm \sqrt{2500 – 1200}}{2} \\[8pt]
&= \frac{50 \pm \sqrt{1300}}{2} \\[8pt]
&= \frac{50 \pm 10\sqrt{13}}{2} \\[8pt]
&= 25 \pm 5\sqrt{13}
\end{aligned}$$
$\sqrt{13} \approx 3.6$ より、$x \approx 25 + 18 = 43$ または $x \approx 25 – 18 = 7$
$x = 25 + 5\sqrt{13} \approx 43 > 20$ は不適(縦より長い)。
答え:$(25 – 5\sqrt{13})$ m(約7m)
問3. 連続する3つの正の整数がある。最も小さい数と最も大きい数の積が、真ん中の数の5倍より11大きいとき、この3つの整数を求めよ。
真ん中の数を $x$ とすると、3つの数は $x-1$, $x$, $x+1$ である。
「最小 × 最大 = 真ん中の5倍 + 11」より:
$$\begin{aligned}
(x – 1)(x + 1) &= 5x + 11 \\[6pt]
x^2 – 1 &= 5x + 11 \\[6pt]
x^2 – 5x – 12 &= 0
\end{aligned}$$
解の公式より:
$$\begin{aligned}
x &= \frac{5 \pm \sqrt{25 + 48}}{2} \\[8pt]
&= \frac{5 \pm \sqrt{73}}{2}
\end{aligned}$$
$\sqrt{73} \approx 8.5$ より、$x \approx 6.75$ または $x \approx -1.75$
$x$ は正の整数でなければならないが、どちらも整数にならない。
因数分解を再検討:$(x-?)(x+?) = x^2 – 5x – 12$ → 因数分解不可
答え:条件を満たす3つの正の整数は存在しない
まとめ
この記事では、二次方程式の応用問題について学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 応用問題には「数」「図形」「道幅」「動点」「割合」の5パターンがある
- どのパターンも「文字を置く → 式を立てる → 解く → 吟味する」の流れで解ける
- 解が2つ出たら、問題の条件に合うかを必ず確認する
- 判別式が負になったら「解なし」も正解になりうる
Core-dorill— 基礎を、何度でも。
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