円の接線と弦が作る角度には、不思議な法則がある。実は、この角度は円周角と深い関係を持っているのだ。
「接線が出てくると、何をすればいいかわからない」「円周角との関係がピンとこない」と感じていないだろうか。
その原因は、接線と弦の作る角が円周角と等しくなる仕組みを、図で理解していないだけである。この記事では、接弦定理の意味を視覚的に理解し、問題で使えるようになるまで順を追って解説する。
そもそも接弦定理とは?
接弦定理とは、円の接線と弦が作る角が、その弦に対する円周角と等しくなるという定理である。
接線とは、円と1点だけで交わる直線のことである。その交わる点を接点という。
弦とは、円周上の2点を結ぶ線分のことである。
具体的に見てみよう。下の図で、点Tは円Oと接線$\ell$の接点である。弦TAと接線$\ell$の作る角$\alpha$は、弧TAに対する円周角$\angle TBA$と等しくなる。
この関係が成り立つのが接弦定理である。なぜこうなるのか、図で確認しよう。
接弦定理を図で理解する
接弦定理がなぜ成り立つのか、視覚的に理解しよう。ポイントは「接線は接点を通る半径に垂直である」という性質と、円周角の知識を組み合わせることである。
アニメーションで確認できたように、接線と弦TAの作る角$\alpha$と、弧TAに対する円周角$\beta$は等しい。これが接弦定理である。
接弦定理の証明
なぜ接線と弦の作る角が円周角と等しくなるのか、証明してみよう。証明には「接線は接点を通る半径に垂直」という性質を使う。
証明の流れを確認しよう。
接線は接点を通る半径OTに垂直である。したがって、$\alpha + \theta = 90°$が成り立つ。
$\triangle OTA$は$OT = OA$(ともに半径)の二等辺三角形である。よって、$\angle OTA = \angle OAT = \theta$である。
中心角$\angle TOA = 180° – 2\theta$である。
中心角は円周角の2倍なので、円周角$\beta = \dfrac{180° – 2\theta}{2} = 90° – \theta$である。
$\alpha = 90° – \theta$、$\beta = 90° – \theta$より、$\alpha = \beta$が証明された。
接弦定理の使い方
接弦定理を使って角度を求める問題を解いてみよう。
例題1:接線と弦の角から円周角を求める
下の図で、直線$\ell$は円Oの点Tにおける接線である。$\angle ATL = 35°$のとき、$\angle ABT$を求めよ。
解答
接弦定理より、接線と弦TAの作る角$\angle ATL$は、弧TAに対する円周角$\angle ABT$と等しい。
接線と弦の作る角を見つけたら、その弦の反対側にある円周角を探すのがポイントである。
例題2:円周角から接線と弦の角を求める
下の図で、直線$\ell$は円Oの点Tにおける接線である。$\angle TBA = 48°$のとき、$\angle ATL$を求めよ。
解答
$\angle TBA$は弧TAに対する円周角である。接弦定理より、この円周角は接線$\ell$と弦TAの作る角$\angle ATL$と等しい。
接弦定理の逆方向も成り立つ
接弦定理には逆も成り立つ。つまり、ある直線と弦の作る角が円周角と等しければ、その直線は円の接線であることがわかる。
この性質は、ある直線が円の接線であることを証明するときに役立つ。
よくある間違いと対策
間違い:接点でない点で接弦定理を使う
接弦定理は、接線と接点を通る弦の作る角についての定理である。接点以外の点では使えない。図で接点がどこかを必ず確認しよう。
間違い:弧の向きを間違える
接線と弦の作る角と等しいのは、その弦の反対側(接線がない側)の弧に対する円周角である。弦を境にして、接線と反対側を見るのがポイントだ。
間違い:接弦定理と円周角の定理を混同する
円周角の定理は「同じ弧に対する円周角は等しい」という性質である。接弦定理は「接線と弦の作る角=円周角」という別の定理である。問題で接線が登場したら接弦定理を思い出そう。
この単元のよくある質問
Q. 接弦定理と円周角の定理はどう使い分けるのですか?
A. 接線が図に登場するかどうかで判断する。接線がなければ円周角の定理、接線があれば接弦定理を検討しよう。接弦定理は「接線と弦の角 = 円周角」、円周角の定理は「同じ弧に対する円周角どうしが等しい」という違いがある。
Q. 接弦定理はどんな問題で使われますか?
A. 主に「接線を含む図形で角度を求める問題」で使う。また、「ある直線が円の接線であることを証明する問題」では、接弦定理の逆を使う。円と接線が同時に出てきたら、接弦定理を疑おう。
Q. 接線と弦の作る角が2つあるとき、どちらを使えばいいですか?
A. 接線と弦が作る角は、接点の両側に2つできる。それぞれ、対応する円周角(弦の反対側の弧に対する角)と等しくなる。問題で与えられている角度や、求めたい角度に合わせて適切な方を選ぼう。
練習問題
まとめ
この記事では接弦定理について学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 接弦定理:接線と弦の作る角は、その弦に対する円周角と等しい
- 接線は接点を通る半径に垂直であることを利用して証明できる
- 接線と弦の作る角を見つけたら、弦の反対側にある円周角を探す
- 接弦定理の逆も成り立つ:直線と弦の角=円周角ならば、その直線は接線
接線が登場する問題では、まず接点を確認し、接弦定理が使えないか検討しよう。
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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