三平方の定理は覚えたのに、図形の問題になると急に手が止まる——そんな経験はないだろうか。
「どこに三平方を使えばいいかわからない」「補助線を引けと言われても、どこに引くの?」という声をよく聞く。実は、平面図形で三平方の定理を使う場面は、たった3パターンに絞られる。
この記事では、面積・高さ・対角線の求め方を、図解とアニメーションで順を追って解説する。パターンを覚えれば、考えなくても手が動くようになる。
三平方の定理の復習
三平方の定理とは、直角三角形の3辺の長さの関係を表す公式である。
$a$, $b$ は直角をはさむ2辺、$c$ は斜辺(直角の向かい側にある最も長い辺)である。
例えば、直角をはさむ2辺が $3$ と $4$ のとき、斜辺は次のように求まる。
この定理を平面図形に応用するには、「図形の中に直角三角形を見つける(または作る)」ことが鍵となる。
パターン1:三角形の高さを求める
三角形の面積を求めるには高さが必要だが、高さが直接与えられないことが多い。そこで三平方の定理を使う。
考え方
頂点から底辺に垂線を下ろすと、直角三角形ができる。この直角三角形に三平方の定理を適用して高さを求める。
アニメーションでは、次の順番で図形を理解できる。
- 元の三角形ABCを確認
- 頂点Aから底辺BCに垂線AHを下ろす(赤い点線)
- 辺の長さ(AB = 5, BH = 3)を確認
- 直角三角形ABHが現れる(赤く塗られた部分)
例題:二等辺三角形の高さと面積
AB = AC = 5, BC = 6 の二等辺三角形ABCの高さと面積を求めよ。
垂線を下ろして直角三角形を作る
頂点Aから底辺BCに垂線AHを下ろす。二等辺三角形では、頂点から底辺への垂線は底辺を二等分する。
よって BH = 6 ÷ 2 = 3
三平方の定理を適用
直角三角形ABHで、AB = 5(斜辺)、BH = 3(底辺)、AH = h(高さ)である。
面積を計算
答え:高さ 4, 面積 12
パターン2:正三角形の高さと面積
正三角形は特別な二等辺三角形なので、同じ方法で高さを求められる。ただし、答えに根号(ルート)が含まれる。
公式の導出
1辺が $a$ の正三角形で、頂点Aから底辺BCに垂線AHを下ろす。
底辺を二等分
正三角形も二等辺三角形なので、BH = $\dfrac{a}{2}$
三平方の定理を適用
正三角形の公式まとめ
| 1辺の長さ | 高さ | 面積 |
|---|---|---|
| $a$ | $\dfrac{\sqrt{3}}{2}a$ | $\dfrac{\sqrt{3}}{4}a^2$ |
面積の公式は、$\dfrac{1}{2} \times a \times \dfrac{\sqrt{3}}{2}a = \dfrac{\sqrt{3}}{4}a^2$ から得られる。
例題:1辺が6の正三角形
1辺が6の正三角形の高さと面積を求めよ。
答え:高さ $3\sqrt{3}$, 面積 $9\sqrt{3}$
パターン3:長方形・正方形の対角線
長方形や正方形の対角線の長さも、三平方の定理で求められる。対角線を引くと、直角三角形ができるからである。
例題:長方形の対角線
縦3cm、横4cmの長方形ABCDの対角線ACの長さを求めよ。
直角三角形を見つける
対角線ACを引くと、直角三角形ABCができる。∠ABCは長方形の角なので90°である。
三平方の定理を適用
答え:5cm
正方形の対角線
1辺が $a$ の正方形の対角線 $d$ は次のようになる。
正方形の対角線は「1辺 × $\sqrt{2}$」と覚えておくと便利である。
パターン4:ひし形の対角線と面積
ひし形は4辺がすべて等しい四角形である。ひし形の2本の対角線は垂直に交わり、互いを二等分する。この性質を使うと、対角線や面積が求められる。
例題:ひし形の対角線と面積
1辺が5cm、一方の対角線が8cmのひし形の、もう一方の対角線の長さと面積を求めよ。
対角線の性質を確認
ひし形の対角線は垂直に交わり、互いを二等分する。対角線ACが8cmなので、AO = OC = 4cmである。
直角三角形AOBで三平方の定理を適用
AB = 5cm(1辺)、AO = 4cm、∠AOB = 90°である。BOを $x$ とおく。
BO = 3cm なので、対角線BD = 2 × 3 = 6cm
面積を計算
ひし形の面積は「対角線 × 対角線 ÷ 2」で求められる。
答え:もう一方の対角線 6cm, 面積 24cm²
よくある間違いと対策
斜辺を間違える
三平方の定理 $a^2 + b^2 = c^2$ で、$c$ は必ず斜辺(直角の向かい側の辺)である。直角三角形を見つけたら、まず直角の位置を確認し、向かい側を斜辺と判断しよう。
二等分を忘れる
二等辺三角形や正三角形で垂線を下ろすと、底辺は二等分される。この「÷2」を忘れると計算が合わなくなる。必ず図に「÷2」とメモしよう。
ルートの計算ミス
$\sqrt{3a^2/4}$ のような計算で、ルートの中を簡単にし忘れることがある。$\sqrt{3a^2/4} = \dfrac{\sqrt{3}a}{2}$ のように、分母・分子を別々にルートを取る。
よくある質問と答え
Q. 三平方の定理はどんな図形に使えるのか?
A. 直角三角形があれば使える。直角三角形がなくても、垂線を引いて直角三角形を作れば使える。高さや対角線を求める問題では、補助線を引いて直角三角形を作ることを考えよう。
Q. 正三角形の高さ $\dfrac{\sqrt{3}}{2}a$ は暗記すべきか?
A. 暗記しておくと時間短縮になる。ただし、暗記に頼りすぎると応用が利かなくなる。導出の手順(垂線を下ろす → 底辺を二等分 → 三平方の定理)を理解した上で暗記するのがよい。
Q. ひし形の面積公式「対角線×対角線÷2」はなぜ成り立つのか?
A. ひし形は2本の対角線で4つの直角三角形に分割される。各三角形の面積を足すと、全体として「対角線×対角線÷2」になる。長方形(縦×横)を半分にしたイメージで覚えるとよい。
練習問題
まとめ
この記事では、三平方の定理を平面図形に応用する方法を学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 三平方の定理を使うには、図形の中に直角三角形を見つける(または作る)
- 三角形の高さ → 頂点から底辺に垂線を下ろす
- 正三角形の高さは $\dfrac{\sqrt{3}}{2}a$、面積は $\dfrac{\sqrt{3}}{4}a^2$
- 長方形・正方形の対角線 → 対角線を引くと直角三角形ができる
- 正方形の対角線は「1辺 × $\sqrt{2}$」
- ひし形 → 対角線は垂直に交わり、互いを二等分する
これらのパターンを覚えておけば、平面図形と三平方の定理の問題はスムーズに解けるようになる。
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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