「線分の比を求めなさい」という問題で、どこの比をとればいいのか迷ったことはないだろうか。
平行線と線分の比の問題では、公式を覚えていても「どの線分がどの線分に対応するのか」がわからず、手が止まってしまう人が多い。これは、比の性質の基本パターンが整理できていないだけである。
この記事では、平行線があるときに成り立つ線分の比の性質を、図とアニメーションで視覚的に理解できるように解説する。読み終わるころには、どの問題でも迷わず比を立てられるようになっているはずだ。
そもそも「線分の比」とは?
線分の比とは、2つの線分の長さの割合を表したものである。例えば、線分ABの長さが6cm、線分CDの長さが9cmのとき、AB:CDは $6:9$ となる。
比とは、2つ以上の数量の割合を「:」で表したものである。$6:9$ は $2:3$ と同じ比であり、これを「比を簡単にする」という。
比を簡単にするには、両方の数を同じ数で割ればよい。
この例では、6と9をそれぞれ3で割っている。
平行線があると何が起こる?
ここからが本題である。三角形の1辺に平行な直線を引くと、他の2辺を決まった比で分ける。これが「平行線と線分の比」の基本である。
言葉だけではわかりにくいので、図で確認しよう。
上の図で、三角形ABCの辺BCに平行な直線DEを引いている。このとき、次の関係が成り立つ。
$\parallel$ は「平行」を表す記号である。DE // BC は「DEとBCは平行である」という意味になる。
つまり、平行線が2辺を切るとき、それぞれの辺で分けられた線分の比は等しくなるのである。
比の性質①:等しい比
最も基本的な性質を確認しよう。平行線があるときに成り立つ「等しい比」のパターンである。
DE // BC のとき、次の比が等しくなる。
色分けで確認すると、青い線分どうし、緑の線分どうしが対応している。左辺でADが分子ならば、右辺でもAEが分子になる。
比の性質②:全体と部分の比
もう1つ重要な性質がある。全体の長さと部分の長さの比である。
DE // BC のとき、次の比も等しくなる。
ADは「Aから途中まで」、ABは「Aから端まで」である。つまり部分と全体の比が、両方の辺で等しくなる。
比の性質③:平行線の長さの比
さらにもう1つ。平行な線分どうしの長さも、同じ比になる。
DE // BC のとき、次の比も等しくなる。
これは部分と全体の比 = 短い平行線と長い平行線の比という関係である。
3つの性質をまとめて覚える
ここまで学んだ3つの性質を整理しよう。DE // BC のとき、次の3つの比がすべて等しくなる。
| 性質 | 等しい比 |
|---|---|
| ①等しい比 | AD : DB = AE : EC |
| ②全体と部分 | AD : AB = AE : AC |
| ③平行線の比 | AD : AB = DE : BC |
①から③を組み合わせると、さらに多くの等式が導ける。例えば、①と②から次のことがわかる。
これらの性質は相似の考え方から導かれる。DE // BC のとき、三角形ADEと三角形ABCは相似になるからである。
例題で手順を確認しよう
実際に問題を解いてみよう。
例題:DE // BC で、AD = 3cm、DB = 5cm、AE = 6cm、BC = 12cm のとき、ECとDEの長さを求めよ。
ECを求める。性質①より、AD : DB = AE : EC である。
内項の積 = 外項の積を使って方程式を立てる。
よって、EC = 10cm
DEを求める。まずABを計算する。
性質③より、AD : AB = DE : BC である。
方程式を解く。
よって、DE = 4.5cm
内項の積 = 外項の積とは、$a : b = c : d$ のとき $ad = bc$ が成り立つという比の性質である。これを使うと、未知数を含む比から方程式を作ることができる。
よくある間違いと対策
比の順序を間違える
AD : DB = EC : AE としてしまうミス。左辺でADが「頂点に近い方」なら、右辺でもAEが「頂点に近い方」になる。対応する位置を揃えること。
全体と部分を混同する
AD : AB と書くべきところを AD : DB と書いてしまう。AB = AD + DB であることを確認してから式を立てよう。
平行でない場合に使ってしまう
この性質は平行線があるときだけ成り立つ。問題文に「// 」や「平行」があるか必ず確認すること。
この単元のよくある質問
Q. 比の順序はどう決めればいいですか?
A. 頂点Aから見て「近い方:遠い方」または「部分:全体」というように、両辺で同じルールを使えば間違えません。AD : DB なら AE : EC、AD : AB なら AE : AC という対応になります。
Q. どの性質を使えばいいかわかりません
A. まず「何がわかっていて、何を求めたいか」を確認しましょう。求めたい線分を含む比を見つければ、その性質を使います。例えば EC を求めたいなら、EC が含まれる「AD : DB = AE : EC」を使います。
Q. なぜ平行だとこの性質が成り立つのですか?
A. 平行線があると、三角形ADEと三角形ABCが相似になります。相似な図形では対応する辺の比がすべて等しくなるため、これらの性質が成り立つのです。相似については別の記事で詳しく学習できます。
練習問題
まとめ
この記事では、平行線と線分の比について学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 平行線が2辺を切るとき、分けられた線分の比は等しくなる(AD : DB = AE : EC)
- 部分と全体の比も等しくなる(AD : AB = AE : AC)
- 平行線の長さの比も等しくなる(AD : AB = DE : BC)
- 比を立てるときは、対応する位置(近い方同士、遠い方同士)を揃えることが大切
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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