「二等辺三角形の2つの底角は等しい」——この性質を知っている人は多いだろう。では、逆に「2つの角が等しければ、その三角形は二等辺三角形になる」と言えるだろうか。
証明問題で「この三角形が二等辺三角形であることを示せ」と出てきたとき、どこから手をつければいいかわからない、という声をよく聞く。実は、二等辺三角形を見つけるための「条件」を知っていれば、証明の方針は自然と決まるのである。
この記事では、二等辺三角形になる条件(性質の逆)を、図とアニメーションで視覚的に理解し、証明問題に使えるようになるまで解説する。
そもそも「二等辺三角形の性質」とは?
まず、二等辺三角形の基本的な性質を確認しよう。
二等辺三角形とは、2つの辺の長さが等しい三角形のことである。等しい2辺を等辺、残りの1辺を底辺という。
二等辺三角形には、次の性質がある。
2つの底角は等しい
等辺の両端にある角(底角)の大きさは等しい。
頂角の二等分線は、底辺を垂直に二等分する
頂点から底辺に引いた二等分線は、底辺の中点を通り、底辺と直角に交わる。
これらは「二等辺三角形であれば成り立つ性質」である。では、この逆——つまり「性質が成り立てば、二等辺三角形である」と言えるのだろうか。
二等辺三角形になる条件(性質の逆)
結論から言うと、2つの角が等しければ、その三角形は二等辺三角形である。これは性質1の「逆」にあたる。
数学では「AならばB」の逆は「BならばA」である。性質の逆が常に正しいとは限らないが、二等辺三角形の場合は逆も正しいのである。
証明問題では、この「条件」を使って二等辺三角形であることを示す。つまり、2つの角が等しいことを証明できれば、その三角形は二等辺三角形だと結論づけられるのである。
なぜ逆が成り立つのか?図で理解する
「2つの角が等しければ、2つの辺も等しくなる」ことを、視覚的に確認してみよう。
アニメーションでは、まず $\angle B = \angle C$ という仮定を確認し、そこから $AB = AC$ という結論が導かれる流れを示している。
逆が成り立つことの証明
なぜ「2つの角が等しければ、2つの辺も等しくなる」と言えるのか。これを証明してみよう。
証明の流れを確認しよう。
補助線を引く
頂点Aから底辺BCの中点Mに線を引く。
2つの三角形を比較する
△ABMと△ACMを考える。
合同条件を確認する
- $\angle ABM = \angle ACM$(仮定より $\angle B = \angle C$)
- $BM = CM$(Mは中点だから)
- $AM$ は共通
よって、1辺とその両端の角がそれぞれ等しいので、△ABM ≡ △ACM
結論を導く
合同な三角形の対応する辺は等しいので、$AB = AC$
この証明では「1辺とその両端の角がそれぞれ等しい」(ASA)という合同条件を使っている。合同を示すことで、辺の長さが等しいことを証明できるのである。
「条件」を使う場面
では、実際の問題で「二等辺三角形になる条件」をどう使うのか見てみよう。
【典型的な出題パターン】
「△ABCが二等辺三角形であることを証明せよ」という問題が出たとき、次の2つのアプローチがある。
2辺が等しいことを示す
$AB = AC$(または $AB = BC$、$AC = BC$)を直接示す。
2角が等しいことを示す(条件を使う)
$\angle B = \angle C$ を示し、「2つの角が等しいので二等辺三角形である」と結論づける。
多くの場合、方法2の方が証明しやすい。なぜなら、角の大きさは錯角・同位角・三角形の内角の和などから求めやすいからである。
例題で確認しよう
実際に「条件」を使った証明問題を解いてみよう。
下の図で、$AB \parallel CD$ のとき、△OBCが二等辺三角形であることを証明せよ。
【証明の方針】
$\angle OBC = \angle OCB$ を示せば、二等辺三角形の条件より $OB = OC$ となる。
【証明】
2つの角が等しいので、△OBCは二等辺三角形である。(証明終わり)
この問題のポイントは、直接 $OB = OC$ を示すのではなく、角の等しさから二等辺三角形であることを導いた点である。平行線の性質を使うと角の関係が見えやすくなる。
よくある間違いと対策
「二等辺三角形だから角が等しい」と逆に使ってしまう
証明問題では、まだ二等辺三角形かどうかわからない。角が等しいことを先に示してから、二等辺三角形と結論づける順番を守ろう。
「等しい角」の位置を間違える
二等辺三角形の条件で使うのは「底角」にあたる2つの角である。頂角とどちらかの底角が等しいことを示しても、二等辺三角形とは言えない。
「なぜ等しいのか」の根拠を書かない
「$\angle B = \angle C$ だから二等辺三角形」とだけ書くのは不十分。なぜ $\angle B = \angle C$ と言えるのか(錯角、同位角、計算など)を必ず書こう。
この単元のよくある質問
Q. 性質と条件の違いがよくわかりません。
A. 性質は「二等辺三角形であれば、○○が成り立つ」という話で、条件は「○○が成り立てば、二等辺三角形である」という話である。矢印の向きが逆になっている。証明問題で二等辺三角形を示したいときは「条件」を使う。
Q. 2辺が等しいことを示す方法と、2角が等しいことを示す方法、どちらを使えばいいですか?
A. 問題によって使い分ける。平行線が出てくる問題では角の関係が見つけやすいので「2角が等しい」方が楽なことが多い。合同な三角形が見つかっている場合は「対応する辺が等しい」ことから2辺を示せることもある。
Q. 「2つの角が等しい」のに、正三角形になることはないですか?
A. ある。3つの角がすべて60°で等しければ正三角形になる。正三角形は「3つの辺が等しい」という特別な二等辺三角形と考えることができる。ただし、2つの角が等しいだけなら、二等辺三角形であることまでしか言えない。
練習問題
まとめ
この記事では、二等辺三角形になる条件(性質の逆)について学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 2つの角が等しければ、その三角形は二等辺三角形である(これが「条件」)
- 証明問題では、2辺が等しいことを直接示すより、2角が等しいことを示す方が楽なことが多い
- 平行線があれば、錯角・同位角を使って角の等しさを導ける
- 性質(二等辺→角が等しい)と条件(角が等しい→二等辺)の向きを混同しないこと
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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