コンパスと定規を渡されて「作図しなさい」と言われたとき、何をどうすればいいのかわからない——そんな経験はないだろうか。
「円を描くのはわかるけど、なぜその位置に描くの?」「定規で線を引くだけじゃダメなの?」と感じるのは、作図の基本操作が整理されていないからである。
この記事では、作図で使う道具の正しい使い方と、すべての作図の土台となる3つの基本操作を、図解とアニメーションで順を追って解説する。これを身につければ、どんな作図問題でも「まず何をすればいいか」が見えるようになる。
そもそも「作図」とは何か?
数学における作図とは、コンパスと定規だけを使って図形を描くことである。
定規は「まっすぐな線を引く道具」として使う。長さを測るために目盛りを使うことは禁止されている。これが普段の定規の使い方との大きな違いである。
では、なぜコンパスと定規だけなのか。それは「正確な図形を、誰がやっても同じように描ける」ようにするためである。目分量や目盛りに頼ると、人によって結果が変わってしまう。
作図で許されている操作は、実は次の2つだけである。
- 定規:2点を通る直線を引く
- コンパス:ある点を中心に、決まった半径の円(または弧)を描く
この2つの操作を組み合わせるだけで、垂直二等分線、角の二等分線、垂線など、あらゆる図形を描くことができる。
道具の正しい持ち方と使い方
コンパスの使い方
コンパスは「円を描く道具」だが、作図では2点間の長さを写し取る道具としても使う。
持ち方:コンパスの頭(上部のつまみ)を親指と人差し指で軽くつまむ。力を入れすぎない。
針を固定する:中心にする点に針をしっかり刺す。描いている途中で針がずれると円が歪む。
回転させる:コンパスを少し傾け、頭を回すようにして弧を描く。手首で回すのではなく、指先でつまみを回転させる。
定規の使い方
作図における定規は、目盛りを使わない。2点を結ぶ直線を引くためだけに使う。
2点を確認する:線を引きたい2点を先に決める。
定規を当てる:2点が定規のふちにぴったり接するように置く。
線を引く:定規を押さえながら、一気に線を引く。途中で止めるとずれやすい。
作図では、必要な線だけを引く。補助線として描いた弧や線は消さずに残しておく。これが「作図の手順を示した証拠」になる。
作図の3つの基本操作を図で理解する
すべての作図は、次の3つの基本操作の組み合わせでできている。この3つを覚えれば、どんな作図も怖くない。
基本操作1:線分の垂直二等分線を引く
垂直二等分線とは、線分のちょうど真ん中を通り、その線分と90°で交わる直線のことである。
点Aを中心に、ABの長さの半分より大きい半径で弧を描く(青い円)。
点Bを中心に、同じ半径で弧を描く(赤い円)。
2つの弧の交点(緑の点)を結ぶ直線を引く。これが垂直二等分線である。
なぜこれで垂直二等分線になるのか? 交点は「Aから等しい距離」かつ「Bから等しい距離」にある点である。そのような点を2つ結ぶと、ABの真ん中を通り、ABに垂直な線になる。
基本操作2:角の二等分線を引く
角の二等分線とは、角をちょうど半分に分ける直線(半直線)のことである。
角の頂点Oを中心に弧を描き、2つの辺との交点A, Bをとる。
点Aを中心に適当な半径で弧を描く(赤い円)。
点Bを中心に同じ半径で弧を描く(緑の円)。
2つの弧の交点Cと頂点Oを結ぶ。これが角の二等分線である。
基本操作3:点を通る垂線を引く
直線上の点、または直線外の点から、その直線に垂直な線を引く方法である。ここでは直線上の点を通る垂線を説明する。
点Pを中心に弧を描き、直線との交点A, Bをとる。
点A, Bそれぞれを中心に、同じ半径(ABより大きい)で弧を描く。
2つの弧の交点Cと点Pを結ぶ。これが垂線である。
この操作は「線分ABの垂直二等分線」と同じ原理である。Pは線分ABの中点なので、垂直二等分線がPを通る。
よくある間違いと対策
間違い:コンパスの半径を途中で変えてしまう
対策:「同じ半径で」と指示されたら、コンパスの開きを変えずに描く。描く前に紙の端で半径を確認するとよい。
間違い:弧の交点がはっきりしない
対策:半径を大きめにとる。半径が小さすぎると2つの弧がほぼ同じ位置で交わり、正確な交点がわからなくなる。
間違い:作図の跡を消してしまう
対策:補助線として描いた弧や点は消さない。これが「正しい手順で作図した証拠」になり、テストでは重要である。
この単元のよくある質問
Q. なぜ定規の目盛りを使ってはいけないのですか?
A. 作図は「正確に図形を描く方法」を学ぶためのものである。目盛りに頼ると、定規の精度や読み取りの誤差で結果がずれてしまう。コンパスと直線だけで描けば、誰がやっても同じ結果になる。
Q. コンパスで描くのは円ではなく弧だけでもいいのですか?
A. はい、必要な部分だけ弧を描けばよい。むしろ、図が見やすくなるので弧だけの方が好ましい。交点が見つかる範囲だけ描けば十分である。
Q. 「半径は適当に」と言われますが、どのくらいが適当ですか?
A. 目安は「作図する対象の長さの半分〜同じくらい」である。小さすぎると交点が不明瞭になり、大きすぎると図からはみ出してしまう。
練習問題
作図では、定規は( ア )を引くために使い、コンパスは( イ )を描くために使う。定規の目盛りを使って長さを測ることは( ウ )。
(ア)同じ半径でなければならない
(イ)異なる半径でもよい
(ウ)半径はABの長さの半分でなければならない
(ア)点A, Bをそれぞれ中心に、同じ半径で弧を描き、交点Cをとる
(イ)頂点Oを中心に弧を描き、2辺との交点A, Bをとる
(ウ)頂点Oと点Cを結ぶ直線を引く
まとめ
この記事では、作図の基本について学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 作図のルール:コンパスと定規だけを使う。定規の目盛りは使わない。
- コンパスの役割:円・弧を描く、長さを写し取る。
- 3つの基本操作:垂直二等分線、角の二等分線、垂線。
- 作図の跡:補助線は消さずに残す。
この3つの基本操作ができれば、「正三角形の作図」「60°の作図」「円の中心を見つける」など、さまざまな作図問題に応用できる。まずは基本操作を何度も練習し、手が自然に動くようになるまで繰り返そう。
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

コメント