図形問題で「どこに補助線を引けばいいかわからない」と悩んだことはないだろうか。
公式は覚えたのに、いざ問題を前にすると手が止まる。補助線を引く人の解説を見ても「なぜそこに引くのか」がわからない。そんな経験をしている人は多い。
実は、補助線には「この形を見たら、ここに引く」という定番パターンがある。センスではなく、型を知っているかどうかの問題である。この記事では、中学数学で頻出の補助線パターンを6つ厳選し、「なぜそこに引くのか」まで徹底解説する。
そもそも補助線とは?
補助線とは、問題の図には描かれていないが、解くために自分で追加する線のことである。
補助線を引く目的は、「隠れている関係を見えるようにすること」である。例えば、三角形の中に新しい三角形を作って合同や相似を利用したり、平行線を引いて錯角や同位角を使えるようにしたりする。
補助線を引くかどうかは、問題文や図から判断する。次のような場合に補助線が有効である。
- 角度や長さを直接求められない
- 等しい角や等しい辺があるのに、活かせる図形がない
- 対角線、垂線、中点を結ぶ線などが見当たらない
補助線の6つの定番パターン
ここからは、中学数学で最も使う補助線パターンを6つ紹介する。「この形を見たら、この補助線」という対応を覚えておこう。
パターン1:平行線を引いて錯角・同位角を作る
使う場面:離れた2つの角の関係を求めたいとき
なぜこの補助線か:平行線 ℓ と m があり、斜めの線が交わる点で角度を求めたいとき、途中に平行な補助線 n を引く。すると、ℓ と n、n と m のそれぞれで錯角が等しいことが使える。
交点を通り、平行線と平行な補助線を引く
上側の平行線との錯角を見つける(角 a)
下側の平行線との錯角を見つける(角 b)
求める角 = a + b として計算する
パターン2:頂点から対辺に垂線を下ろす
使う場面:三角形の面積、高さ、または三平方の定理を使いたいとき
なぜこの補助線か:三角形の面積は「底辺 × 高さ ÷ 2」で求める。高さがわからないとき、頂点から対辺(またはその延長)に垂線を下ろせば、直角三角形ができる。これで三平方の定理が使えるようになる。
垂線を下ろす先は、必ずしも辺の上とは限らない。鈍角三角形では、辺の延長線上に垂線の足が来ることもある。
パターン3:中点を結んで中点連結定理を使う
使う場面:「〜の中点」という条件があるとき
なぜこの補助線か:三角形の2辺の中点を結ぶと、中点連結定理が使える。この定理により、
- 中点を結んだ線分は、残りの辺に平行
- 中点を結んだ線分の長さは、残りの辺の半分
という2つの性質が一度に得られる。
パターン4:対角線を引いて三角形を作る
使う場面:四角形の問題を解くとき
なぜこの補助線か:四角形の性質は覚えにくいが、対角線を引けば三角形に分割できる。三角形なら合同・相似・三平方の定理など、使える道具が一気に増える。
平行四辺形なら対角線が互いに他を二等分する、ひし形なら対角線が直交する、など、四角形の種類によって対角線の性質が異なる。これらの性質を使う問題では、対角線を引くのが定石である。
パターン5:円の中心と円周上の点を結ぶ
使う場面:円に関する問題で、半径の長さを使いたいとき
なぜこの補助線か:円の半径はすべて等しい。中心から円周上の2点に線を引けば、二等辺三角形ができる。二等辺三角形は底角が等しいので、角度の計算に役立つ。
パターン6:平行線を延長して相似な三角形を作る
使う場面:線分の比を求めたいとき
なぜこの補助線か:DE // BC のとき、△ADE と △ABC は相似である。相似な図形では対応する辺の比が等しいので、
という関係が成り立つ。この比を使えば、長さがわからない辺も求められる。
例題で補助線の引き方を確認する
ここまでの6パターンを実際に使ってみよう。
例題
下の図で、四角形ABCDは平行四辺形であり、点Eは辺BC上の点である。AEとBDの交点をFとするとき、AF : FE を求めよ。ただし、BE : EC = 1 : 2 とする。
解答
相似な三角形を探す
△ABF と △EDF に注目する。AD // BC(平行四辺形の性質)なので、AD // BE である。
相似の証明
∠AFB = ∠EFD(対頂角)
∠ABF = ∠EDF(錯角、AD // BE)
よって、△ABF ∽ △EDF(2角相等)
辺の比を求める
BE : EC = 1 : 2 より、BE = $\dfrac{1}{3}$BC
平行四辺形では AD = BC なので、AD : BE = BC : $\dfrac{1}{3}$BC = 3 : 1
AF : FE を求める
△ABF ∽ △EDF より、対応する辺の比は AD : BE = 3 : 1
したがって、AF : FE = 3 : 1
補助線を引くときの考え方
6つのパターンを覚えたら、次は「どのパターンを使うか」を判断する力をつけよう。
判断のポイント
| 問題の条件 | 試す補助線 |
|---|---|
| 「平行」が出てきた | パターン1(平行線)、パターン6(相似) |
| 「面積」「高さ」を求める | パターン2(垂線) |
| 「中点」が出てきた | パターン3(中点連結) |
| 四角形の問題 | パターン4(対角線) |
| 円が出てきた | パターン5(半径) |
| 「〜の比」を求める | パターン6(相似) |
よくある間違いと対策
補助線を引きすぎる
何本も引くと図が複雑になり、かえって混乱する。まずは1本だけ引いて、そこから何がわかるか考えよう。
「なんとなく」で引く
補助線は目的を持って引くものである。「合同を作りたいから」「三平方を使いたいから」と理由を明確にしてから引こう。
問題の条件を使い忘れる
「〜の中点」「〜に平行」などの条件は、補助線を引くヒントである。使っていない条件がないか確認しよう。
この単元のよくある質問
Q. 補助線が思いつかないときはどうすればいい?
A. まずは問題文の条件を確認しよう。「平行」「中点」「円」などのキーワードがあれば、それに対応するパターンを試す。条件を全く使っていない場合は、その条件を活かす補助線を考えてみよう。
Q. 補助線を引いたのに解けないときは?
A. 別のパターンを試してみよう。補助線は「試して確認」の繰り返しである。最初に引いた線で解けなくても、別の線を引けばうまくいくことが多い。
Q. 補助線は何本まで引いていい?
A. 必要最小限にとどめるのが理想だが、制限はない。ただし、多く引きすぎると図が複雑になるので、1〜2本で足りることが多い。解けたら、余分な線は消しても問題ない。
練習問題
まとめ
この記事では、図形問題における補助線の引き方を6つのパターンに分けて解説した。ポイントは以下の通りである。
- 補助線はセンスではなく、定番パターンの知識である
- 問題の条件(平行、中点、円など)が補助線のヒントになる
- 1本引いてダメなら、別のパターンを試す
- 補助線を引く目的(合同、相似、三平方など)を明確にする
6つのパターンを繰り返し練習して、「この形を見たら、この補助線」が自然に浮かぶようにしよう。
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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