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【二次方程式】解の公式の導き方(なぜ成り立つのか)【alg-quad-eq-009】【応用】

「解の公式は覚えたけど、なぜこんな複雑な式になるのかわからない」——そう感じたことはないだろうか。

公式をただ暗記するだけでは、少し形が変わった問題で手が止まってしまう。また、符号を間違えたときに「どこがおかしいのか」を自分で確認できない。

実は、解の公式は「平方完成へいほうかんせい」という中学で習うテクニックだけで導くことができる。この記事では、解の公式がなぜ成り立つのかを、1行ずつ丁寧に追いかけていく。導き方を理解すれば、公式を忘れても自分で作り直せるようになる。

対象:中学3年 所要時間:約12分
目次

そもそも解の公式とは?

二次方程式にじほうていしき $ax^2 + bx + c = 0$($a \neq 0$)の解を、係数けいすう $a$, $b$, $c$ だけで表したものが解の公式かいのこうしきである。

$$x = \frac{-b \pm \sqrt{b^2 – 4ac}}{2a}$$

「$\pm$」は「プラスマイナス」と読み、$+$ の場合と $-$ の場合の2つの解があることを表している。

この公式を使えば、どんな二次方程式でも解を求められる。しかし、なぜこのような形になるのだろうか。これから、一般形 $ax^2 + bx + c = 0$ を出発点として、ステップごとに変形していく。

導出の全体像を図で理解する

解の公式を導く流れは、大きく分けて4つのステップからなる。まずは全体の見通しを持っておこう。

ポイントは「STEP3:平方完成」である。$(x + ○)^2 = △$ の形を作ることで、平方根をとって $x$ を求められるようになる。

解の公式を導く手順

それでは、実際に $ax^2 + bx + c = 0$ を変形して、解の公式を導いていこう。

1

両辺りょうへんを $a$ で割る

$x^2$ の係数を $1$ にするため、方程式全体を $a$ で割る。

$$ax^2 + bx + c = 0$$

両辺を $a$($a \neq 0$)で割ると:

$$x^2 + \frac{b}{a}x + \frac{c}{a} = 0$$

$a$ で割ることで、$ax^2$ が $x^2$ になる。係数が $1$ になると、次の平方完成がしやすくなる。

2

定数項を移項いこうする

$\dfrac{c}{a}$ を右辺に移す。

$$x^2 + \frac{b}{a}x = -\frac{c}{a}$$

移項とは、項を等号の反対側に移すこと。移すと符号が変わる。

3

平方完成を行う

これが最も重要なステップである。左辺を $(x + ○)^2$ の形にしたい。

公式 $(x + p)^2 = x^2 + 2px + p^2$ を思い出そう。今、左辺は $x^2 + \dfrac{b}{a}x$ である。

$2p = \dfrac{b}{a}$ と比較すると、$p = \dfrac{b}{2a}$ である。

$(x + p)^2$ を作るには、$p^2 = \left(\dfrac{b}{2a}\right)^2 = \dfrac{b^2}{4a^2}$ を両辺に加える。

$$x^2 + \frac{b}{a}x + \frac{b^2}{4a^2} = -\frac{c}{a} + \frac{b^2}{4a^2}$$

左辺は $(x + \dfrac{b}{2a})^2$ にまとまる:

$$\left(x + \frac{b}{2a}\right)^2 = -\frac{c}{a} + \frac{b^2}{4a^2}$$
4

右辺を整理する

右辺を通分して1つの分数にまとめる。

$$\begin{aligned} -\frac{c}{a} + \frac{b^2}{4a^2} &= -\frac{c \times 4a}{a \times 4a} + \frac{b^2}{4a^2} \\[8pt] &= -\frac{4ac}{4a^2} + \frac{b^2}{4a^2} \\[8pt] &= \frac{b^2 – 4ac}{4a^2} \end{aligned}$$

よって:

$$\left(x + \frac{b}{2a}\right)^2 = \frac{b^2 – 4ac}{4a^2}$$
5

両辺の平方根をとる

$(何か)^2 = A$ のとき、「何か $= \pm\sqrt{A}$」となる。

$$x + \frac{b}{2a} = \pm\sqrt{\frac{b^2 – 4ac}{4a^2}}$$

$\pm$ がつくのは、2乗して同じ値になる数は正と負の2つあるため。例:$3^2 = 9$、$(-3)^2 = 9$

$\sqrt{\dfrac{b^2 – 4ac}{4a^2}} = \dfrac{\sqrt{b^2 – 4ac}}{\sqrt{4a^2}} = \dfrac{\sqrt{b^2 – 4ac}}{2|a|}$

$\sqrt{4a^2} = 2|a|$ である。ただし、$a \neq 0$ かつ $2a$ で割る最終形を考えると、$\dfrac{1}{2|a|}$ は $\dfrac{1}{2a}$(または $\dfrac{-1}{2a}$)と書ける。$\pm$ がついているので、まとめて $\dfrac{\pm\sqrt{b^2 – 4ac}}{2a}$ と表記できる。

6

$x$ について解く

$\dfrac{b}{2a}$ を右辺に移項する。

$$\begin{aligned} x &= -\frac{b}{2a} \pm \frac{\sqrt{b^2 – 4ac}}{2a} \\[8pt] &= \frac{-b \pm \sqrt{b^2 – 4ac}}{2a} \end{aligned}$$

これで解の公式が導けた

$$\boxed{x = \frac{-b \pm \sqrt{b^2 – 4ac}}{2a}}$$

平方完成のポイントをアニメーションで確認

STEP3の「両辺に $\dfrac{b^2}{4a^2}$ を加える」部分が、導出の核心である。なぜこの値を加えるのか、具体例で確認しよう。

上の図では $x^2 + 6x$ を例にしている。$6x$ を $3x + 3x$ に分けて、$3^2 = 9$ を加えることで $(x+3)^2$ という完全な正方形が作れる。一般に、$x^2 + \dfrac{b}{a}x$ に対しては $\left(\dfrac{b}{2a}\right)^2$ を加える。

導出の各ステップを対話的に確認

自分のペースで1ステップずつ確認しよう。

ステップ 1/6

よくある質問と答え(FAQ)

Q. なぜ両辺を $a$ で割るのですか?

A. $x^2$ の係数を $1$ にすることで、平方完成の計算が格段に楽になるためである。係数が $a$ のままだと、$(○x + △)^2$ の形を作る必要があり、複雑になる。

Q. $\pm$ はなぜつくのですか?

A. $(何か)^2 = A$ のとき、「何か」は $+\sqrt{A}$ でも $-\sqrt{A}$ でも成り立つからである。例えば $x^2 = 9$ なら $x = 3$ と $x = -3$ の両方が解になる。二次方程式には基本的に2つの解がある。

Q. $b^2 - 4ac$ が負になったらどうなりますか?

A. $b^2 - 4ac < 0$ のとき、負の数の平方根を考えることになり、中学数学の範囲では「解なし」となる。この $b^2 - 4ac$ を判別式はんべつしきと呼び、解の個数を判定するのに使う。

練習問題

問1. 次の式を平方完成せよ:$x^2 + 4x$
問2. 次の式を平方完成せよ:$x^2 - 6x$
問3. 解の公式の導出において、両辺に $\dfrac{b^2}{4a^2}$ を加える理由を説明せよ。

まとめ

この記事では、解の公式がなぜ成り立つのかを、平方完成を使って導出した。ポイントは以下の通りである。

  • $x^2$ の係数を $1$ にするため、最初に $a$ で割る
  • $\left(\dfrac{b}{2a}\right)^2$ を両辺に加えて平方完成する
  • $(x + ○)^2 = △$ の形にして、平方根をとる
  • $\pm$ は解が2つあることを表す

公式を丸暗記するのではなく、導き方を理解していれば、忘れたときも自分で再構成できる。また、なぜその形になるのかがわかると、応用問題への対応力も上がる。

Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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