「放物線上に平行四辺形を作れ」「面積が等しくなる点を求めよ」——こうした問題が出てきたとき、何から手をつけていいかわからない、という経験はないだろうか。
座標と図形が組み合わさると、途端に難しく感じてしまうのは当然である。
しかし実は、「ベクトル的な考え方」と「底辺×高さ」という2つの道具を使いこなせれば、どんな問題も同じ手順で解ける。
🔰 初めての方へ:この記事では、難しい公式は使わない。「平行四辺形の条件」と「面積の計算」の2つだけで解けることを、順を追って説明する。
この記事で使う用語
先に、この記事で登場する専門用語をまとめておく。わからない言葉が出てきたら、ここに戻って確認しよう。
- 放物線
- $y = ax^2$ や $y = ax^2 + bx + c$ のグラフの形。U字型(または逆U字型)の曲線である。
- 平行四辺形
- 向かい合う2組の辺がそれぞれ平行な四角形のこと。
- 頂点
- 図形の角にあたる点のこと。四角形なら4つある。
- ベクトル
- 「向き」と「大きさ」を持つ量。ここでは「点Aから点Bへの移動量」として使う。AからBへ行くには「x方向に+3、y方向に+2」のように表す。
- 等積
- 「面積が等しい」という意味。
- 座標
- 平面上の点の位置を $(x, y)$ の形で表したもの。
道具(考え方)を手に入れる
この単元では「公式を覚える」というより、「考え方を身につける」ことが大切である。
道具1:平行四辺形になる条件
4つの点が平行四辺形を作るかどうかを判定できる。また、3点が決まったとき、残り1点の座標を求められる。
平行四辺形ABCDでは、向かい合う辺が平行で長さも等しい。これを座標で表すと:
もう少し具体的に言うと:
- AからBへ行くときの「x方向の移動量」と「y方向の移動量」
- DからCへ行くときの「x方向の移動量」と「y方向の移動量」
この2つが完全に一致すれば、ABとDCは平行で長さも等しい(=平行四辺形の条件を満たす)。
「ベクトルが等しい」とは「同じ方向に、同じ距離だけ移動する」という意味である。難しく考えず、「AからBへの移動」と「DからCへの移動」が同じかどうかをチェックすればよい。
道具2:三角形の面積公式(座標バージョン)
座標がわかっている三角形の面積を求められる。「等積な点」の問題で必須。
底辺がx軸やy軸に平行な場合、面積は簡単に計算できる:
座標を使うと:
- 底辺:2点のx座標の差(またはy座標の差)
- 高さ:底辺から対頂点までの距離
道具3:「等積な点」の見つけ方
「三角形ABCと面積が等しい三角形ABPを作る点Pはどこか?」という問題が解ける。
重要な事実:底辺が共通なら、高さが等しい点はすべて「底辺に平行な直線上」にある。
使い方マニュアル
パターン1:平行四辺形の4つ目の頂点を求める
3つの頂点の座標を確認し、どの点を結ぶかを決める。
(なぜ?:平行四辺形ABCDでは、AとC、BとDが対角線で結ばれる。どの順番で結ぶかによって、4つ目の点の位置が変わる)
「向かい合う辺のベクトルが等しい」という条件を式にする。
(なぜ?:$\overrightarrow{AB} = \overrightarrow{DC}$ から、未知の点Dの座標を求められる)
x成分、y成分それぞれの方程式を解いて、座標を求める。
(なぜ?:ベクトルの等式は「x成分どうし」「y成分どうし」が等しいので、2つの方程式が得られる)
パターン2:等積な点を求める
基準となる三角形の面積を計算する。
(なぜ?:「これと同じ面積になる」という条件式を作るため)
共通の底辺を決め、求める点が満たす条件を考える。
(なぜ?:底辺が同じなら、面積が等しい=高さが等しい、と言い換えられる)
「高さが等しい」条件と「放物線上」の条件を連立して解く。
(なぜ?:放物線 $y = ax^2$ 上という制約があるので、そこから点を絞り込める)
図で理解する
これから表示する図は、放物線上に平行四辺形を作る様子を示している。
- 青い曲線:放物線 $y = x^2$
- 赤い点A, B, C:与えられた3つの頂点
- 緑の点D:求める4つ目の頂点
- 矢印:ベクトル(移動の向きと大きさ)
- 3点A, B, Cが決まると、「ABとDCが平行で等しい」という条件から、Dの位置が1つに決まる
- ベクトルAB = (2, -1) とベクトルDC = (2, -1) が一致している
- 点Dは放物線上にはない(放物線上に4つ目の頂点を置く問題もある)
実際に解いてみよう
ステップ1:まずは簡単な問題で練習
3点 A(0, 0)、B(3, 0)、C(4, 2) がある。四角形ABCDが平行四辺形になるとき、点Dの座標を求めよ。
(💡 まずは放物線を使わず、平行四辺形の条件だけで解く練習)
平行四辺形ABCDでは、$\overrightarrow{AB} = \overrightarrow{DC}$ である。
(💡 向かい合う辺ABとDCが平行で長さも等しい)
$\overrightarrow{AB}$ を計算する。
(💡 AからBへの移動は「x方向に+3、y方向に+0」)
$\overrightarrow{DC} = \overrightarrow{AB}$ より、Dの座標を求める。
Dの座標を $(p, q)$ とすると、$\overrightarrow{DC} = (4 - p, 2 - q) = (3, 0)$
答え:$D(1, 2)$
(💡 検算:$\overrightarrow{DC} = (4-1, 2-2) = (3, 0) = \overrightarrow{AB}$ ✓)
ステップ2:放物線上の平行四辺形
放物線 $y = x^2$ 上に3点 A(-1, 1)、B(0, 0)、C(2, 4) がある。
四角形ABCDが平行四辺形になるとき、点Dの座標を求めよ。
$\overrightarrow{AB}$ を計算する。
$\overrightarrow{DC} = \overrightarrow{AB}$ より、Dの座標を求める。
Dの座標を $(p, q)$ とすると、$\overrightarrow{DC} = (2 - p, 4 - q) = (1, -1)$
Dが放物線上にあるか確認する。
$y = x^2$ に $x = 1$ を代入すると $y = 1$。しかし $D(1, 5)$ なので $y = 5 \neq 1$。
したがって、点Dは放物線上にない。
答え:$D(1, 5)$(放物線上にはない)
放物線上の3点から平行四辺形を作っても、4つ目の頂点が放物線上にあるとは限らない。問題文で「放物線上の点D」と指定されていなければ、放物線の外にあってもよい。
ステップ3:等積な点を求める
放物線 $y = x^2$ と直線 $y = 2x + 3$ の交点をA、Bとする。
放物線上の点Pで、$\triangle OAB$(Oは原点)と $\triangle PAB$ の面積が等しくなる点Pの座標を求めよ。
ただし、Pは線分AB上にないものとする。
- $\triangle OAB$ と $\triangle PAB$ は底辺ABが共通
- 面積が等しい=高さが等しい
- 高さが等しい点は、ABに平行な直線上にある
- その直線と放物線の交点を求めればよい
交点A、Bの座標を求める。
$x^2 = 2x + 3$ を解く。
$x = 3$ のとき $y = 9$、$x = -1$ のとき $y = 1$
よって $A(-1, 1)$、$B(3, 9)$
原点OからABまでの距離(高さ $h_1$)を求める。
(💡 直線 $y = 2x + 3$ を $2x - y + 3 = 0$ の形にして、点と直線の距離の公式を使う)
Pは「ABに平行で、ABからの距離が $h_1$ の直線」上にある。
ABに平行な直線は $y = 2x + k$ の形。原点からの距離が $\dfrac{3}{\sqrt{5}}$ となる $k$ を求める。
原点は直線 $2x - y + 3 = 0$ から $\dfrac{3}{\sqrt{5}}$ の距離にあるので、Pは原点のABに関して反対側にある。
反対側は $y = 2x + k$ で $k < 0$。距離が $\dfrac{3}{\sqrt{5}}$ となる条件:
(💡 Oの反対側なので、OからABの距離の2倍の位置にある直線を考える)
$|k - 3| = 6$ より $k = 9$ または $k = -3$
$k = 3$ はABそのもの。反対側は $k = -3$。
直線 $y = 2x - 3$ と放物線 $y = x^2$ の交点を求める。
判別式 $D = 4 - 12 = -8 < 0$ なので交点なし。
(💡 この場合、別のアプローチが必要。底辺をAB以外にとるか、面積を直接計算する)
「ABに平行な直線」と放物線が交わらない場合がある。その場合は、別の方法(面積を直接式で表す)で解く必要がある。次の例題でその方法を見てみよう。
ステップ4:面積を直接計算する方法
放物線 $y = x^2$ 上の2点 A(-2, 4)、B(1, 1) と原点Oがある。
放物線上の点P(Pは第1象限)で、$\triangle OAB$ と $\triangle PAB$ の面積が等しくなる点Pの座標を求めよ。
$\triangle OAB$ の面積を求める。
(💡 座標がわかっている三角形の面積は、公式 $\dfrac{1}{2}|x_1(y_2 - y_3) + x_2(y_3 - y_1) + x_3(y_1 - y_2)|$ で求められる)
O(0, 0)、A(-2, 4)、B(1, 1) を代入:
放物線上の点P $(t, t^2)$ に対して、$\triangle PAB$ の面積を $t$ の式で表す。
P$(t, t^2)$、A(-2, 4)、B(1, 1) を代入:
$S_P = 3$ となる $t$ を求める。
場合分け:
① $t^2 + t - 2 = 2$ のとき
② $t^2 + t - 2 = -2$ のとき
$t = 0$ はO、$t = -1$ はABの延長線上なので除外。
第1象限の点を選ぶ。
$t = \dfrac{-1 + \sqrt{17}}{2} > 0$ なので、この値を採用。
$t^2 = \left(\dfrac{-1 + \sqrt{17}}{2}\right)^2 = \dfrac{1 - 2\sqrt{17} + 17}{4} = \dfrac{18 - 2\sqrt{17}}{4} = \dfrac{9 - \sqrt{17}}{2}$
答え:$P\left(\dfrac{-1 + \sqrt{17}}{2}, \dfrac{9 - \sqrt{17}}{2}\right)$
図で理解する(等積な点)
底辺ABが共通のとき、高さが等しい点は「ABに平行な直線上」にある様子を示す。
- 赤い線:直線AB
- 緑の点線:ABに平行な直線(この上の点はすべて同じ高さ)
- 青い曲線:放物線
- 緑の点P:等積な点の候補
- 直線ABに平行な直線(緑の点線)上の点はすべて、ABからの距離(高さ)が等しい
- 底辺ABが共通なので、高さが同じ=面積が同じ
- 放物線との交点Pが「等積な点」の候補になる
よくある間違いと対策
平行四辺形の頂点の順番を間違える
ABCDの順番によって、どの辺が向かい合うかが変わる。
ABCDの順でなく、ACBDの順で考えてしまい、ベクトルの対応を間違える。
✅ 対策:問題で与えられた頂点の順番を図に書いて確認する。
ベクトルの向きを逆にする
$\overrightarrow{AB}$ と $\overrightarrow{BA}$ は符号が逆になる。
$\overrightarrow{AB} = (B_x - A_x, B_y - A_y)$ を $(A_x - B_x, A_y - B_y)$ と計算してしまう。
✅ 対策:「AからBへ」=「Bの座標 − Aの座標」と覚える。
「放物線上」という条件を忘れる
等積な点を求めるとき、放物線上という条件を無視して直線との交点だけ答える。
✅ 対策:最後に $y = ax^2$ を満たすか必ず確認する。
練習問題
この単元のよくある質問
Q. 平行四辺形の4つ目の頂点が複数ある場合はありますか?
A. ある。3点A, B, Cが与えられたとき、「平行四辺形ABCD」「平行四辺形ABDC」「平行四辺形ADBC」の3通りの並び方が考えられ、それぞれDの位置が異なる。問題文で「四角形ABCD」と頂点の順番が指定されている場合は1通りに決まる。
Q. 「面積を2等分する」と「等積な点」は同じことですか?
A. 違う。「等積な点」は、ある三角形と同じ面積の別の三角形を作る点。「面積を2等分する」は、1つの図形を半分ずつに分ける線や点を求める問題。アプローチが異なるので注意。
Q. ベクトルを使わずに平行四辺形の問題を解く方法はありますか?
A. ある。「対角線が互いに他を2等分する」という性質を使う方法。平行四辺形の対角線ACとBDの交点は、それぞれの中点である。この性質から、3点がわかれば4つ目の点が求まる。
まとめ
この記事では、放物線と平行四辺形・等積な点の問題について学んだ。
✅ これができればOK
- □ ベクトルを使って平行四辺形の4つ目の頂点を求められる
- □ 「底辺が共通→高さが同じ→面積が同じ」の論理がわかる
- □ 座標を使って三角形の面積を計算できる
- □ 放物線と直線の交点を連立方程式で求められる
📝 この単元のポイント
- 平行四辺形:$\overrightarrow{AB} = \overrightarrow{DC}$(向かい合う辺のベクトルが等しい)
- 等積な点:底辺が共通なら、高さが等しい点は底辺に平行な直線上
- 面積計算:$\dfrac{1}{2}|x_1(y_2 - y_3) + x_2(y_3 - y_1) + x_3(y_1 - y_2)|$
Core-dorill — 基礎を、何度でも。

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