二次関数の文章題で「制動距離」や「平均の速さ」が出てくると、何をどう代入すればよいのかわからなくなる人が多い。
「公式は知っているのに、問題文を読んでも式が立てられない」「どの数字をどこに入れればいいのかわからない」と困っていないだろうか。
実は、これらの問題は「問題文から数値を読み取り、公式に代入する」という同じ手順で解けるのである。この記事では、制動距離と平均の速さの問題を、手順通りに解く方法を身につける。
🔰 初めての方へ:物理っぽい言葉が出てきて難しそうに見えるが、やることは「公式に数字を入れて計算するだけ」である。手順を覚えれば必ず解ける。
この記事で使う用語
先に、この記事で登場する専門用語をまとめておく。わからない言葉が出てきたら、ここに戻って確認しよう。
- 制動距離
- ブレーキをかけてから車が完全に止まるまでに進む距離のこと。速さが速いほど長くなる。
- 平均の速さ
- 移動した距離の合計を、かかった時間の合計で割った値のこと。「全体でならすとどのくらいの速さか」を表す。
- 比例定数
- $y = ax^2$ の $a$ のこと。$x$ と $y$ の関係を決める定数である。
- 代入
- 文字の代わりに具体的な数値を入れること。$x = 3$ を代入する、など。
道具(公式)を手に入れる
証明は不要。「こういう道具がある」と知っていれば、あとは使い方を覚えるだけである。
制動距離の公式
車の速さがわかれば、ブレーキをかけてから止まるまでの距離がわかる。速さが2倍になると、制動距離は4倍になる。
この公式の各記号の意味は以下の通りである。
- $y$:制動距離(m)
- $x$:速さ(km/h)
- $a$:比例定数(道路の状態などで決まる定数)
制動距離は速さの「2乗」に比例する。つまり、速さが2倍になると制動距離は $2^2 = 4$ 倍、速さが3倍になると $3^2 = 9$ 倍になる。
平均の速さの公式
行きと帰りで速さが違うとき、全体としての平均の速さを求められる。
平均の速さは「行きの速さと帰りの速さを足して2で割る」のではない。これは非常によくある間違いである。必ず「距離÷時間」で計算すること。
使い方マニュアル
制動距離の問題の解き方
まず、問題文から「速さ」と「制動距離」のペアを読み取る。
(なぜ?:この数値のペアを使って、比例定数 $a$ を求めるため)
次に、$y = ax^2$ に値を代入して、$a$ を求める。
(なぜ?:$a$ がわかれば、どんな速さでも制動距離が計算できるようになる)
最後に、求めた $a$ を使った式 $y = ax^2$ に、問われている値を代入して答えを出す。
(なぜ?:$a$ が決まった式に速さを入れれば、制動距離が計算できる)
平均の速さの問題の解き方
まず、行きと帰りそれぞれの「距離」と「速さ」を読み取る。
(なぜ?:距離と速さがわかれば、時間が計算できる)
次に、それぞれの時間を「時間 = 距離 ÷ 速さ」で計算する。
(なぜ?:平均の速さを求めるには、合計の時間が必要だから)
最後に、「合計の距離 ÷ 合計の時間」で平均の速さを求める。
(なぜ?:これが平均の速さの定義だから)
図で理解する
制動距離と速さの関係
これから表示する図は「速さと制動距離の関係」をグラフにしたものである。
- 横軸:速さ(km/h)
- 青い曲線:制動距離(速さの2乗に比例して増える)
- 赤い点線:速さ40km/hと80km/hのときの制動距離を比較
- 速さ40km/hのとき、制動距離は16m
- 速さ80km/h(2倍)のとき、制動距離は64m(4倍)
- 曲線が「放物線」の形をしている → 速さの2乗に比例している
実際に解いてみよう
ステップ1:まずは簡単な問題で練習
制動距離 $y$ m は、速さ $x$ km/h の2乗に比例する。速さが 20 km/h のとき、制動距離は 4 m であった。速さが 40 km/h のとき、制動距離は何 m か。
(💡 まずは $a$ を求め、それから代入するだけ!)
問題文から読み取れる情報を整理する。
- $y = ax^2$ の形である(速さの2乗に比例)
- $x = 20$ のとき $y = 4$
$y = ax^2$ に $x = 20$, $y = 4$ を代入して $a$ を求める。
$a = 0.01$ がわかったので、式は $y = 0.01x^2$ である。
ここに $x = 40$ を代入する。
答え:16 m
(💡 答えの意味:速さが2倍(20→40)になると、制動距離は4倍(4→16)になった。$2^2 = 4$ なので正しい!)
ステップ2:標準的な問題に挑戦
ある自動車の制動距離 $y$ m は、ブレーキをかける直前の速さ $x$ km/h の2乗に比例する。速さが 60 km/h のとき、制動距離は 27 m であった。
(1) $y$ を $x$ の式で表せ。
(2) 制動距離が 48 m のとき、速さは何 km/h であったか。
【(1)の解き方】
$y = ax^2$ に $x = 60$, $y = 27$ を代入する。
答え:$y = \dfrac{3}{400}x^2$
【(2)の解き方】
(1)で求めた式に $y = 48$ を代入する。
$x^2 = 6400$ より、$x = \pm 80$
速さは正の値なので、$x = 80$
答え:80 km/h
(💡 検算:$y = \dfrac{3}{400} \times 80^2 = \dfrac{3}{400} \times 6400 = \dfrac{19200}{400} = 48$ ✓)
ステップ3:平均の速さの問題
A地点からB地点までの道のりは 12 km である。行きは時速 4 km で歩き、帰りは時速 6 km で歩いた。往復の平均の速さを求めよ。
$\dfrac{4 + 6}{2} = 5$ km/h と計算するのは間違いである!
平均の速さは「速さの平均」ではなく「距離÷時間」で計算する。
行きの時間を計算する。
(時間 = 距離 ÷ 速さ)
帰りの時間を計算する。
平均の速さを計算する。
答え:時速 4.8 km(または $\dfrac{24}{5}$ km/h)
(💡 答えの意味:「行き4km/h、帰り6km/h」の平均は5km/hではなく4.8km/h。行きに時間がかかる分、遅い方に引っ張られる)
よくある間違いと対策
制動距離で「2乗」を忘れる
$y = ax$ ではなく $y = ax^2$ である。
速さが2倍になったら制動距離も2倍と思い込む
✅ 正しくは:速さが2倍 → 制動距離は $2^2 = 4$ 倍
平均の速さを「速さの平均」で計算する
行き4km/h、帰り6km/hのとき、$(4+6) \div 2 = 5$ とするのは間違い。
平均の速さ = 合計の距離 ÷ 合計の時間
必ず「時間」を計算してから求める。
$x^2$ から $x$ を求めるとき、±を忘れる
$x^2 = 6400$ から $x = 80$ だけでなく、$x = -80$ も数学的には解である。
速さや距離など、負の値がありえない量の場合は正の値のみを答えにする。「速さは正なので」と一言添えると良い。
練習問題
(1) $y$ を $x$ の式で表せ。
(2) 制動距離が 45 m のとき、速さは何 km/h か。
この単元のよくある質問
Q. 「2乗に比例」と「比例」は何が違うのですか?
A. 「比例」は $y = ax$(1次関数)、「2乗に比例」は $y = ax^2$(二次関数)である。比例では $x$ が2倍になると $y$ も2倍になるが、2乗に比例では $x$ が2倍になると $y$ は4倍になる。グラフの形も、比例は直線、2乗に比例は放物線になる。
Q. なぜ平均の速さは「速さを足して2で割る」ではダメなのですか?
A. 行きと帰りで「かかる時間」が違うからである。遅い速さで進む区間は長い時間がかかるので、その影響が大きくなる。そのため、「合計の距離 ÷ 合計の時間」で正しく計算する必要がある。
Q. 制動距離の問題で比例定数 $a$ が分数になったとき、どうすればいいですか?
A. 分数のまま計算を進めれば問題ない。$a = \dfrac{3}{400}$ なら、$y = \dfrac{3}{400}x^2$ として使う。約分できる場合は約分し、最終的な答えが整数になることも多い。
まとめ
この記事では、二次関数の利用問題として「制動距離」と「平均の速さ」について学んだ。ポイントは以下の通りである。
✅ これができればOK
- □ 「2乗に比例」の意味がわかる($y = ax^2$ の形)
- □ 問題文から $x$ と $y$ の値を読み取り、$a$ を求められる
- □ 求めた $a$ を使って、別の $x$ や $y$ の値を計算できる
- □ 平均の速さは「距離÷時間」で計算すると覚えている
- □ $x^2 = k$ から $x$ を求めるとき、正負を意識できる
📝 覚えておくべき公式
Core-dorill — 基礎を、何度でも。

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