「傾きが同じなのに、グラフが重なったり重ならなかったりするのはなぜ?」と混乱していないだろうか。
実は、傾きが同じ2つの直線には、「平行」と「一致」という2つのパターンしかない。この違いを理解していないと、連立方程式の解の判定や図形問題でつまずいてしまう。
この記事では、傾きが等しい2直線の関係を、グラフのアニメーションで視覚的に理解できるようになるまで順を追って解説する。
そもそも「傾き」とは何か?
1次関数 $y = ax + b$ において、$a$ のことを傾きという。
傾きとは、$x$ が1増えたときに $y$ がどれだけ変化するかを表す数である。傾きが正なら右上がり、負なら右下がりのグラフになる。
例えば、$y = 2x + 3$ の傾きは $2$ である。これは「$x$ が1増えると $y$ が2増える」ことを意味する。
切片とは、グラフが $y$ 軸と交わる点の $y$ 座標のことである。$y = 2x + 3$ なら、切片は $3$ である。
傾きが同じ2直線の関係
傾きが等しい2つの直線には、次の2パターンしかない。
2直線は交わらず、どこまでいっても同じ間隔を保つ。
2直線は完全に重なり、実質的に同じ直線である。
式で表すと、次のようになる。
グラフで理解する「平行」と「一致」
言葉だけではイメージしにくいので、実際にグラフを動かして確認しよう。
平行のグラフ
$y = 2x + 3$ と $y = 2x – 1$ のグラフを見てみよう。どちらも傾きは $2$ だが、切片が異なる。
2つの直線は同じ傾き $2$ を持つため、どこまで延ばしても交わらない。これが「平行」である。
切片の差が $3 – (-1) = 4$ なので、$y$ 軸方向に4だけずれた位置にある。この距離はどの $x$ の位置でも一定である。
一致のグラフ
$y = 2x + 3$ と $y = 2x + 3$ のグラフを見てみよう。傾きも切片も同じである。
2つの直線は完全に重なってしまう。赤い破線で示した直線が、青い直線の上にぴったり乗っているのがわかるだろうか。これが「一致」である。
切片を動かして変化を見る
切片の値を変えると、2直線の関係がどう変わるか確認しよう。
切片を変えると直線が上下に移動する。切片が3のとき(青い直線と同じ)に一致し、それ以外は平行になる。
判定の手順
2つの1次関数が平行か一致かを判定する手順を整理しよう。
→ 傾きが異なれば「交わる」(1点で交差)
→ 切片が異なれば「平行」
→ 切片も同じなら「一致」
例題
次の2直線の関係を調べよ。
解答
まず、直線2を $y = ax + b$ の形に変形する。
直線1と直線2は、どちらも $y = 3x – 2$ である。
傾きが $3$ で同じ、切片が $-2$ で同じ。よって、2直線は一致する。
連立方程式との関係
2直線の関係は、連立方程式の解と深く関わっている。
| 2直線の関係 | 連立方程式の解 | グラフ上での意味 |
|---|---|---|
| 交わる | 1組の解 | 交点が1つ |
| 平行 | 解なし | 交点がない |
| 一致 | 無数の解 | 全ての点が共通 |
連立方程式を解いたとき「解なし」や「無数の解」になるのは、2直線が平行または一致しているからである。
よくある間違いと対策
$y = 2x + 1$ と $2x – y + 1 = 0$ を「傾きが違う」と判断してしまう。
→ 必ず $y = ax + b$ の形に変形してから比較する。
傾きが同じでも、切片まで同じなら「一致」である。
→ 傾きが同じ場合は、必ず切片も確認する。
$y = -2x + 3$ と $y = 2x + 3$ を「切片が同じだから一致」と判断してしまう。
→ 傾きの符号も含めて正確に比較する。
この単元のよくある質問
Q. 傾きが同じで切片も同じ2直線は、なぜ「2本」ではなく「1本」なのですか?
A. 数学では、式が異なっていても同じグラフを表すなら「同じ直線」と考える。$y = 2x + 3$ と $2y = 4x + 6$ は式は違うが、変形すると同じになるため、1本の直線である。
Q. 傾きが同じ2直線の「距離」はどうやって求めますか?
A. $y$ 軸方向の距離は切片の差の絶対値である。例えば $y = 2x + 5$ と $y = 2x + 1$ なら、$|5 – 1| = 4$ が $y$ 軸方向の距離となる。厳密な最短距離は高校で学ぶ。
Q. 「平行」と「一致」以外に、傾きが同じ2直線のパターンはありますか?
A. ない。傾きが同じ2直線は、切片が違えば平行、切片も同じなら一致の2パターンのみである。これは直線の定義から必然的に決まる。
練習問題
$y = -x + 4$ と $y = -x – 2$
$2x + y = 5$ と $4x + 2y = 10$
まとめ
この記事では、傾きが同じ2直線の関係について学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 傾きが同じ2直線は、「平行」か「一致」の2パターンしかない
- 切片が異なれば平行、切片も同じなら一致
- 判定するときは、必ず $y = ax + b$ の形に変形してから比較する
- 連立方程式の「解なし」は平行、「無数の解」は一致に対応する
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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