【連立方程式】増減(○割増・○%引)と食塩水の問題
連立方程式の文章題で、「昨年より2割増」「10%引き」といった割合の問題や、「濃度8%の食塩水」といった食塩水の問題に苦戦していないだろうか。
「式の立て方がわからない」「何を $x$、$y$ にすればいいか迷う」という声は非常に多い。
安心してほしい。これらの問題は、割合の基本公式と「何が等しいか」を見つけるコツさえ押さえれば、確実に解けるようになる。
この記事を読めば、増減問題と食塩水問題の立式パターンが身につき、文章題への苦手意識が薄れるはずである。
割合の基本をおさらいしよう
増減や食塩水の問題を解く前に、割合の基本を確認しておこう。
割合の基本公式:(比べる量)=(もとにする量)×(割合)
この公式は、すべての割合問題の土台である。
「○割」と「○%」の変換
まず、割合の表し方を整理する。
| 表現 | 小数 | 分数 |
|---|---|---|
| 1割 | 0.1 | $\dfrac{1}{10}$ |
| 2割 | 0.2 | $\dfrac{2}{10}$ |
| 10% | 0.1 | $\dfrac{10}{100}$ |
| 25% | 0.25 | $\dfrac{25}{100}$ |
「割」は10等分、「%」は100等分と覚えよう。1割=10%=0.1 である。
「○割増」「○%引」の計算
増減の計算で最も重要なのは、次の2つの公式である。
具体例で確認しよう。
例1:100円の2割増
例2:100円の3割引
例3:500円の20%引
「増」は足し算、「引(減)」は引き算。$(1 \pm \text{割合})$ を掛ける形を徹底しよう。
増減問題の解き方
増減問題では、「昨年と今年」「定価と売価」など、2つの時点や状態を比較することが多い。
例題1:人数の増減
ある中学校の昨年の生徒数は、男子と女子を合わせて500人だった。
今年は昨年に比べて、男子が10%増え、女子が5%減ったので、全体で490人になった。
昨年の男子と女子の人数をそれぞれ求めよ。
解き方の手順
何を $x$、$y$ とするか決める
問われているものを文字で置くのが基本である。
昨年の男子を $x$ 人、昨年の女子を $y$ 人とする。
「等しい関係」を2つ見つける
【関係①】昨年の合計は500人
【関係②】今年の合計は490人
・今年の男子:$x$ の10%増 → $x \times 1.1 = 1.1x$
・今年の女子:$y$ の5%減 → $y \times 0.95 = 0.95y$
連立方程式を解く
①の式より $y = 500 – x$ を②に代入する。
$y = 500 – 100 = 400$
答えを確認する
・昨年の合計:$100 + 400 = 500$ ✓
・今年の合計:$100 \times 1.1 + 400 \times 0.95 = 110 + 380 = 490$ ✓
答え:昨年の男子 100人、女子 400人
例題2:売買の問題(定価と売価)
ある店で、商品Aと商品Bを定価で買うと合計3000円である。
商品Aを2割引、商品Bを1割引で買うと合計2500円になる。
商品A、Bの定価をそれぞれ求めよ。
定価とは、値引き前の元の価格のことである。売価は実際に売る価格(値引き後)を指す。
解き方
商品Aの定価を $x$ 円、商品Bの定価を $y$ 円とする。
【関係①】定価の合計は3000円
【関係②】値引き後の合計は2500円
・Aの2割引:$x \times 0.8 = 0.8x$
・Bの1割引:$y \times 0.9 = 0.9y$
連立方程式を解く。
①より $y = 3000 – x$ を②に代入。
$y = 3000 – 2000 = 1000$
答え:商品Aの定価 2000円、商品Bの定価 1000円
食塩水問題の解き方
食塩水の問題は、「食塩の量」に着目するのがポイントである。
食塩水の基本公式
濃度とは、食塩水全体に対する食塩の割合を%で表したものである。濃度8%なら、食塩水100gあたり食塩8gが溶けている。
関連する公式をまとめておく。
| 求めるもの | 公式 |
|---|---|
| 食塩の量 | 食塩水 × $\dfrac{\text{濃度}}{100}$ |
| 濃度 | $\dfrac{\text{食塩}}{\text{食塩水}} \times 100$ |
| 食塩水の量 | 食塩 ÷ $\dfrac{\text{濃度}}{100}$ |
食塩水問題の鉄則
混ぜる前の食塩の合計 = 混ぜた後の食塩の量
食塩は混ぜても消えない。この「食塩の保存」が立式の要である。
例題3:2種類の食塩水を混ぜる
濃度が8%の食塩水と濃度が3%の食塩水を混ぜて、濃度が5%の食塩水を600g作りたい。
それぞれ何gずつ混ぜればよいか。
解き方の手順
何を $x$、$y$ とするか決める
8%の食塩水を $x$ g、3%の食塩水を $y$ gとする。
「等しい関係」を2つ見つける
【関係①】食塩水の量の合計
【関係②】食塩の量の合計(これが最重要!)
・8%の食塩水 $x$ gに含まれる食塩:$x \times \dfrac{8}{100} = 0.08x$ g
・3%の食塩水 $y$ gに含まれる食塩:$y \times \dfrac{3}{100} = 0.03y$ g
・5%の食塩水 600gに含まれる食塩:$600 \times \dfrac{5}{100} = 30$ g
連立方程式を解く
②の式を100倍して小数を消す。
①を3倍して②’から引く。
$y = 600 – 240 = 360$
答えを確認する
・食塩水の合計:$240 + 360 = 600$ g ✓
・食塩の合計:$240 \times 0.08 + 360 \times 0.03 = 19.2 + 10.8 = 30$ g ✓
答え:8%の食塩水 240g、3%の食塩水 360g
例題4:食塩水に水を加える
濃度10%の食塩水がある。これに水を200g加えたら濃度が6%になった。
最初の食塩水は何gあったか。
水は濃度0%の食塩水と考える。水を加えても食塩の量は変わらない。
解き方
最初の食塩水を $x$ gとする。
(この問題は未知数が1つなので、1つの方程式で解ける)
食塩の量は変わらないことを使う
・最初の食塩の量:$x \times \dfrac{10}{100} = 0.1x$ g
・水を加えた後の食塩水の量:$x + 200$ g
・水を加えた後の食塩の量:$(x + 200) \times \dfrac{6}{100} = 0.06(x + 200)$ g
食塩の量が等しいので、
方程式を解く。
答え:最初の食塩水は 300g
よくある間違いと対策
「2割増」を $\times 0.2$ としてしまう
「2割増」は「もとの量 + 2割」なので、$\times 1.2$ が正しい。
「増」がついたら必ず $(1 + \text{割合})$ を掛ける。
食塩水の問題で「食塩水の量」で等式を立ててしまう
混ぜると食塩水の量は変わるが、食塩の量は変わらない。
必ず「食塩の量」で等式を立てること。
小数の計算ミス
$0.08x + 0.03y = 30$ のような式は、100倍して整数に直すと計算しやすい。
$8x + 3y = 3000$ の方がミスが減る。
この単元のよくある質問
Q. 「○割増」と「○倍」はどう違うのですか?
A. 「2割増」は $\times 1.2$(もとの量の1.2倍)、「2倍」は $\times 2$ です。「増」がつくと「1 + 割合」を掛け、「○倍」はそのまま掛けます。例えば、100円の2割増は120円、100円の2倍は200円です。
Q. 食塩水に食塩を加える問題はどう考えますか?
A. 食塩は「濃度100%の食塩水」と考えます。加えた食塩の分だけ食塩の量も食塩水の量も増えます。例えば、100gの食塩水に食塩10gを加えると、食塩水の量は110g、食塩の量は「もとの食塩 + 10g」になります。
Q. 連立方程式を立てずに解ける方法はありますか?
A. 食塩水の問題では「てんびん図」という方法もありますが、連立方程式で解く方法を確実に身につけることをおすすめします。連立方程式なら、どんな複雑な問題にも対応できる汎用性があるからです。
練習問題
問題1
ある商店では、昨年の売上は商品Aと商品Bを合わせて100万円だった。今年は商品Aの売上が20%増え、商品Bの売上が10%減ったので、全体では5万円増えた。昨年の商品A、商品Bの売上をそれぞれ求めよ。
商品Aの昨年の売上を $x$ 万円、商品Bの昨年の売上を $y$ 万円とする。
【関係①】昨年の合計
【関係②】今年の合計は105万円
①より $y = 100 – x$ を②に代入。
$y = 100 – 50 = 50$
答え:商品A 50万円、商品B 50万円
問題2
定価の3割引で売ると1400円になる商品がある。この商品の定価を求めよ。
定価を $x$ 円とする。
3割引は $\times 0.7$ なので、
答え:定価 2000円
問題3
濃度12%の食塩水と濃度4%の食塩水を混ぜて、濃度6%の食塩水を400g作りたい。それぞれ何gずつ混ぜればよいか。
12%の食塩水を $x$ g、4%の食塩水を $y$ gとする。
【関係①】食塩水の量の合計
【関係②】食塩の量の合計
②を100倍:$12x + 4y = 2400$
①を4倍:$4x + 4y = 1600$
$y = 400 – 100 = 300$
答え:12%の食塩水 100g、4%の食塩水 300g
Core-dorill
基礎を、何度でも。
この記事で増減問題と食塩水問題の立式パターンは理解できた。
しかし正直なところ、「テスト本番で自信を持って解けるか」と聞かれたらどうだろう。
もし少しでも不安があるなら、あと10問だけ解いてみてほしい。
1ページに1問だけ
余計な情報ゼロ。目の前の1問に集中。
全問に途中式を完備
「なぜそうなるか」が独学でもわかる。
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連立方程式・文章題の基本パターン 30問 を収録
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まとめ
この記事では、連立方程式の増減問題と食塩水問題について学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 「○割増」は $\times (1 + 0.\text{○})$、「○割引」は $\times (1 – 0.\text{○})$
- 食塩水問題は「食塩の量は混ぜても変わらない」を使う
- 小数の式は100倍して整数に直すとミスが減る
- 求めるものを $x$、$y$ とし、「等しい関係」を2つ見つける
理解できたら、あとは手を動かすだけである。
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