平方根の基本は理解できたはずなのに、入試問題になると手が止まってしまう——そんな経験はないだろうか。
「計算はできるのに、文章題になると何をすればいいかわからない」「複数の知識を組み合わせる問題が苦手」という声をよく聞く。これは、平方根の計算力と応用力の間にギャップがあるからである。
実は、入試で出題される平方根の応用問題には、いくつかの典型パターンがある。そのパターンを知り、手順を身につければ、どんな問題も分解して解けるようになる。この記事では、入試頻出の応用問題を5つのパターンに分類し、それぞれの解法を徹底解説する。
入試で狙われる平方根の5つのパターン
高校入試における平方根の応用問題は、大きく以下の5パターンに分類できる。
| パターン | 内容 | 出題頻度 |
|---|---|---|
| パターン1 | 整数になる条件を求める問題 | ★★★ |
| パターン2 | 式の値を求める問題 | ★★★ |
| パターン3 | 大小比較・範囲を求める問題 | ★★☆ |
| パターン4 | 図形と平方根の融合問題 | ★★★ |
| パターン5 | 規則性と平方根の問題 | ★★☆ |
出題頻度は、過去の公立高校入試を分析した目安である。★が多いほど頻出。
パターン1:整数になる条件を求める問題
「$\sqrt{n}$ が整数となる最小の自然数 $n$ を求めよ」という形式の問題は、入試で最も頻出のパターンである。
解法の手順
$\sqrt{\text{(中身)}}$ が整数になるためには、中身が「完全平方数」である必要がある。
完全平方数とは、$1, 4, 9, 16, 25, \ldots$ のように、整数の2乗で表せる数のことである。
中身を素因数分解し、各素因数の指数が偶数になるよう調整する。
例題1
解答
まず、$72$ を素因数分解する。
$\sqrt{72n} = \sqrt{2^3 \times 3^2 \times n}$ が整数となるためには、中身の各素因数の指数がすべて偶数でなければならない。
現在の状態を確認する:
- $2$ の指数:$3$(奇数)→ あと $1$ つ必要
- $3$ の指数:$2$(偶数)→ OK
したがって、$n = 2$ とすればよい。
答え:$n = 2$
例題2(発展)
解答
$180$ を素因数分解する。
各素因数の指数を確認する:
- $2$ の指数:$2$(偶数)→ OK
- $3$ の指数:$2$(偶数)→ OK
- $5$ の指数:$1$(奇数)→ あと $1$ つ必要
したがって、$n = 5$ とすればよい。
答え:$n = 5$、整数の値は $30$
パターン2:式の値を求める問題
$x = \sqrt{5} – 2$ のとき、$x^2 + 4x + 3$ の値を求めよ——このような「式の値」問題は、そのまま代入すると計算が複雑になる。工夫して解くことがポイントである。
解法の手順
与えられた条件を変形し、計算しやすい形を作る。
求める式を因数分解したり、条件式を利用して簡略化する。
最後に代入して計算する。
例題3
解答
条件 $x = \sqrt{3} + 1$ を変形する。
両辺を2乗すると、
求める式に代入する。
答え:$1$
例題4(有理化を使う)
解答
それぞれの分数を有理化する。
したがって、
答え:$4$
パターン3:大小比較・範囲を求める問題
平方根の大小を比較する問題、または平方根を含む数の範囲を求める問題である。
解法のポイント
大小比較の基本:$a > 0, b > 0$ のとき、$\sqrt{a}$ と $\sqrt{b}$ の大小は、$a$ と $b$ の大小と一致する。
例題5
解答
すべて根号の中に入れて比較する。
$18 < 19 < 20$ より、$\sqrt{18} < \sqrt{19} < \sqrt{20}$
答え:$3\sqrt{2} < \sqrt{19} < 2\sqrt{5}$
例題6
解答
$\sqrt{50 – n}$ が整数となるためには、$50 – n$ が完全平方数でなければならない。
$50 – n > 0$($n$ は自然数)なので、$50 – n$ は $1$ 以上 $49$ 以下の完全平方数である。
該当する完全平方数は $1, 4, 9, 16, 25, 36, 49$ である。
それぞれについて $n$ を求める:
| $50 – n$ | $n$ | $\sqrt{50 – n}$ |
|---|---|---|
| $49$ | $1$ | $7$ |
| $36$ | $14$ | $6$ |
| $25$ | $25$ | $5$ |
| $16$ | $34$ | $4$ |
| $9$ | $41$ | $3$ |
| $4$ | $46$ | $2$ |
| $1$ | $49$ | $1$ |
答え:$n = 1, 14, 25, 34, 41, 46, 49$
パターン4:図形と平方根の融合問題
図形の辺の長さや面積に平方根が現れる問題は、入試で必出である。三平方の定理と組み合わせて出題されることが多い。
例題7
解答
正方形の対角線は、直角二等辺三角形の斜辺である。
三平方の定理より、
よって、対角線 $= \sqrt{8} = 2\sqrt{2}$ cm
答え:$2\sqrt{2}$ cm
例題8
解答
二等辺三角形の頂点から底辺に垂線を下ろすと、底辺は二等分される。
垂線の足を H とすると、AH = BH = $3$ cm である。
直角三角形 ACH について、三平方の定理より、
したがって、三角形の面積は、
答え:$12$ cm²
パターン5:規則性と平方根の問題
数列や図形の規則性に平方根が関わる問題は、難関校で出題されることが多い。
例題9
解答
$\sqrt{n}$ が整数となるのは、$n$ が完全平方数のときである。
完全平方数は $1, 4, 9, 16, 25, \ldots$(つまり $1^2, 2^2, 3^2, 4^2, 5^2, \ldots$)である。
したがって、$\sqrt{n}$ が整数となるのは、
答え:$n = 1, 4, 9, 16, 25, \ldots$(つまり $n$ が自然数の2乗のとき)
入試対策のための解法フローチャート
よくある質問と答え(FAQ)
Q. 素因数分解が苦手です。コツはありますか?
A. 小さい素数から順番に割っていくことである。2で割れなくなったら3、3で割れなくなったら5、という順序で試す。また、よく出る数(72=2³×3²、180=2²×3²×5など)は覚えておくと時間短縮になる。
Q. 「式の値」問題で、どの式を使えばいいかわかりません。
A. まず条件式を「$x – (\text{整数}) = \sqrt{\text{何か}}$」の形に変形する。その後、両辺を2乗すると、$x^2 – 2(\text{整数})x + (\text{整数})^2 = (\text{何か})$ という関係式が得られる。この関係式を利用して、求める式を簡略化する。
Q. 図形問題で平方根が出てきたとき、どう整理すればいいですか?
A. まず図を描き、わかっている長さを書き込む。次に、三平方の定理を使える直角三角形を見つける。辺の長さが平方根で表されても、計算手順は同じである。最後に $\sqrt{}$ の中を簡単にすることを忘れないこと。
練習問題
まとめ
この記事では、平方根の応用問題と入試対策について学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 「整数になる条件」→ 素因数分解して指数を偶数に調整
- 「式の値」→ 条件式を変形して2乗、代入の前に式を簡略化
- 「大小比較」→ すべて根号の中に入れて比較
- 「図形」→ 三平方の定理と組み合わせて考える
- 「規則性」→ 完全平方数のパターンを見つける
入試問題は難しそうに見えても、基本の組み合わせである。この5パターンを繰り返し練習し、どのパターンかを見抜く目を養おう。
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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