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【平方根】平方根の応用問題と入試対策【alg-sqrt-015】【応用】

平方根へいほうこんの基本は理解できたはずなのに、入試問題になると手が止まってしまう——そんな経験はないだろうか。

「計算はできるのに、文章題になると何をすればいいかわからない」「複数の知識を組み合わせる問題が苦手」という声をよく聞く。これは、平方根の計算力と応用力の間にギャップがあるからである。

実は、入試で出題される平方根の応用問題には、いくつかの典型パターンがある。そのパターンを知り、手順を身につければ、どんな問題も分解して解けるようになる。この記事では、入試頻出の応用問題を5つのパターンに分類し、それぞれの解法を徹底解説する。

対象:中学3年 所要時間:約15分
目次

入試で狙われる平方根の5つのパターン

高校入試における平方根の応用問題は、大きく以下の5パターンに分類できる。

パターン 内容 出題頻度
パターン1 整数せいすうになる条件を求める問題 ★★★
パターン2 式の値を求める問題 ★★★
パターン3 大小比較・範囲はんいを求める問題 ★★☆
パターン4 図形と平方根の融合問題 ★★★
パターン5 規則性きそくせいと平方根の問題 ★★☆

出題頻度は、過去の公立高校入試を分析した目安である。★が多いほど頻出。

パターン1:整数になる条件を求める問題

「$\sqrt{n}$ が整数となる最小の自然数 $n$ を求めよ」という形式の問題は、入試で最も頻出のパターンである。

解法の手順

1

$\sqrt{\text{(中身)}}$ が整数になるためには、中身が「完全平方数かんぜんへいほうすう」である必要がある。

完全平方数とは、$1, 4, 9, 16, 25, \ldots$ のように、整数の2乗で表せる数のことである。

2

中身を素因数分解そいんすうぶんかいし、各素因数の指数しすうが偶数になるよう調整する。

例題1

問題. $\sqrt{72n}$ が整数となる最小の自然数 $n$ を求めよ。

解答

まず、$72$ を素因数分解する。

$$72 = 2^3 \times 3^2$$

$\sqrt{72n} = \sqrt{2^3 \times 3^2 \times n}$ が整数となるためには、中身の各素因数の指数がすべて偶数でなければならない。

現在の状態を確認する:

  • $2$ の指数:$3$(奇数)→ あと $1$ つ必要
  • $3$ の指数:$2$(偶数)→ OK

したがって、$n = 2$ とすればよい。

$$\sqrt{72 \times 2} = \sqrt{144} = 12$$

答え:$n = 2$

例題2(発展)

問題. $\sqrt{180n}$ が整数となる最小の自然数 $n$ を求めよ。また、その整数の値も求めよ。

解答

$180$ を素因数分解する。

$$180 = 2^2 \times 3^2 \times 5$$

各素因数の指数を確認する:

  • $2$ の指数:$2$(偶数)→ OK
  • $3$ の指数:$2$(偶数)→ OK
  • $5$ の指数:$1$(奇数)→ あと $1$ つ必要

したがって、$n = 5$ とすればよい。

$$\begin{aligned} \sqrt{180 \times 5} &= \sqrt{900} \\[8pt] &= \sqrt{2^2 \times 3^2 \times 5^2} \\[8pt] &= 2 \times 3 \times 5 \\[8pt] &= 30 \end{aligned}$$

答え:$n = 5$、整数の値は $30$

パターン2:式の値を求める問題

$x = \sqrt{5} – 2$ のとき、$x^2 + 4x + 3$ の値を求めよ——このような「式の値」問題は、そのまま代入すると計算が複雑になる。工夫して解くことがポイントである。

解法の手順

1

与えられた条件を変形し、計算しやすい形を作る。

2

求める式を因数分解したり、条件式を利用して簡略化する。

3

最後に代入して計算する。

例題3

問題. $x = \sqrt{3} + 1$ のとき、$x^2 – 2x – 1$ の値を求めよ。

解答

条件 $x = \sqrt{3} + 1$ を変形する。

$$x – 1 = \sqrt{3}$$

両辺を2乗すると、

$$\begin{aligned} (x – 1)^2 &= 3 \\[8pt] x^2 – 2x + 1 &= 3 \\[8pt] x^2 – 2x &= 2 \end{aligned}$$

求める式に代入する。

$$\begin{aligned} x^2 – 2x – 1 &= (x^2 – 2x) – 1 \\[8pt] &= 2 – 1 \\[8pt] &= 1 \end{aligned}$$

答え:$1$

例題4(有理化を使う)

問題. $\dfrac{1}{\sqrt{5} – 2} – \dfrac{1}{\sqrt{5} + 2}$ の値を求めよ。

解答

それぞれの分数を有理化ゆうりかする。

$$\begin{aligned} \frac{1}{\sqrt{5} – 2} &= \frac{1 \times (\sqrt{5} + 2)}{(\sqrt{5} – 2)(\sqrt{5} + 2)} \\[8pt] &= \frac{\sqrt{5} + 2}{5 – 4} \\[8pt] &= \sqrt{5} + 2 \end{aligned}$$
$$\begin{aligned} \frac{1}{\sqrt{5} + 2} &= \frac{1 \times (\sqrt{5} – 2)}{(\sqrt{5} + 2)(\sqrt{5} – 2)} \\[8pt] &= \frac{\sqrt{5} – 2}{5 – 4} \\[8pt] &= \sqrt{5} – 2 \end{aligned}$$

したがって、

$$\begin{aligned} \frac{1}{\sqrt{5} – 2} – \frac{1}{\sqrt{5} + 2} &= (\sqrt{5} + 2) – (\sqrt{5} – 2) \\[8pt] &= \sqrt{5} + 2 – \sqrt{5} + 2 \\[8pt] &= 4 \end{aligned}$$

答え:$4$

パターン3:大小比較・範囲を求める問題

平方根の大小を比較する問題、または平方根を含む数の範囲を求める問題である。

解法のポイント

大小比較の基本:$a > 0, b > 0$ のとき、$\sqrt{a}$ と $\sqrt{b}$ の大小は、$a$ と $b$ の大小と一致する。

例題5

問題. $3\sqrt{2}$、$2\sqrt{5}$、$\sqrt{19}$ を小さい順に並べよ。

解答

すべて根号の中に入れて比較する。

$$\begin{aligned} 3\sqrt{2} &= \sqrt{9 \times 2} = \sqrt{18} \\[8pt] 2\sqrt{5} &= \sqrt{4 \times 5} = \sqrt{20} \\[8pt] \sqrt{19} &= \sqrt{19} \end{aligned}$$

$18 < 19 < 20$ より、$\sqrt{18} < \sqrt{19} < \sqrt{20}$

答え:$3\sqrt{2} < \sqrt{19} < 2\sqrt{5}$

例題6

問題. $\sqrt{50 – n}$ が整数となる自然数 $n$ をすべて求めよ。

解答

$\sqrt{50 – n}$ が整数となるためには、$50 – n$ が完全平方数でなければならない。

$50 – n > 0$($n$ は自然数)なので、$50 – n$ は $1$ 以上 $49$ 以下の完全平方数である。

該当する完全平方数は $1, 4, 9, 16, 25, 36, 49$ である。

それぞれについて $n$ を求める:

$50 – n$ $n$ $\sqrt{50 – n}$
$49$ $1$ $7$
$36$ $14$ $6$
$25$ $25$ $5$
$16$ $34$ $4$
$9$ $41$ $3$
$4$ $46$ $2$
$1$ $49$ $1$

答え:$n = 1, 14, 25, 34, 41, 46, 49$

パターン4:図形と平方根の融合問題

図形の辺の長さや面積に平方根が現れる問題は、入試で必出である。三平方さんへいほうの定理と組み合わせて出題されることが多い。

例題7

問題. 1辺が $2$ cm の正方形の対角線の長さを求めよ。

解答

正方形の対角線は、直角二等辺三角形の斜辺である。

三平方の定理より、

$$\begin{aligned} (\text{対角線})^2 &= 2^2 + 2^2 \\[8pt] &= 4 + 4 \\[8pt] &= 8 \end{aligned}$$

よって、対角線 $= \sqrt{8} = 2\sqrt{2}$ cm

答え:$2\sqrt{2}$ cm

例題8

問題. 底辺が $6$ cm、他の2辺がともに $5$ cm の二等辺三角形の面積を求めよ。

解答

二等辺三角形の頂点から底辺に垂線を下ろすと、底辺は二等分される。

垂線の足を H とすると、AH = BH = $3$ cm である。

直角三角形 ACH について、三平方の定理より、

$$\begin{aligned} CH^2 + AH^2 &= AC^2 \\[8pt] CH^2 + 3^2 &= 5^2 \\[8pt] CH^2 &= 25 – 9 \\[8pt] CH^2 &= 16 \\[8pt] CH &= 4 \text{ cm} \end{aligned}$$

したがって、三角形の面積は、

$$\begin{aligned} \text{面積} &= \frac{1}{2} \times \text{底辺} \times \text{高さ} \\[8pt] &= \frac{1}{2} \times 6 \times 4 \\[8pt] &= 12 \text{ cm}^2 \end{aligned}$$

答え:$12$ cm²

パターン5:規則性と平方根の問題

数列や図形の規則性に平方根が関わる問題は、難関校で出題されることが多い。

例題9

問題. $\sqrt{1}, \sqrt{2}, \sqrt{3}, \sqrt{4}, \ldots$ のうち、整数であるものは何番目か。$n$ 番目が整数であるための条件を求めよ。

解答

$\sqrt{n}$ が整数となるのは、$n$ が完全平方数のときである。

完全平方数は $1, 4, 9, 16, 25, \ldots$(つまり $1^2, 2^2, 3^2, 4^2, 5^2, \ldots$)である。

したがって、$\sqrt{n}$ が整数となるのは、

$$n = k^2 \text{(}k \text{ は自然数)のとき}$$

答え:$n = 1, 4, 9, 16, 25, \ldots$(つまり $n$ が自然数の2乗のとき)

入試対策のための解法フローチャート

よくある質問と答え(FAQ)

Q. 素因数分解が苦手です。コツはありますか?

A. 小さい素数から順番に割っていくことである。2で割れなくなったら3、3で割れなくなったら5、という順序で試す。また、よく出る数(72=2³×3²、180=2²×3²×5など)は覚えておくと時間短縮になる。

Q. 「式の値」問題で、どの式を使えばいいかわかりません。

A. まず条件式を「$x – (\text{整数}) = \sqrt{\text{何か}}$」の形に変形する。その後、両辺を2乗すると、$x^2 – 2(\text{整数})x + (\text{整数})^2 = (\text{何か})$ という関係式が得られる。この関係式を利用して、求める式を簡略化する。

Q. 図形問題で平方根が出てきたとき、どう整理すればいいですか?

A. まず図を描き、わかっている長さを書き込む。次に、三平方の定理を使える直角三角形を見つける。辺の長さが平方根で表されても、計算手順は同じである。最後に $\sqrt{}$ の中を簡単にすることを忘れないこと。

練習問題

問1. $\sqrt{98n}$ が整数となる最小の自然数 $n$ を求めよ。
問2. $x = \sqrt{2} + 3$ のとき、$x^2 – 6x + 5$ の値を求めよ。
問3. $2\sqrt{7}$、$5$、$\sqrt{30}$ を小さい順に並べよ。

まとめ

この記事では、平方根の応用問題と入試対策について学んだ。ポイントは以下の通りである。

  • 「整数になる条件」→ 素因数分解して指数を偶数に調整
  • 「式の値」→ 条件式を変形して2乗、代入の前に式を簡略化
  • 「大小比較」→ すべて根号の中に入れて比較
  • 「図形」→ 三平方の定理と組み合わせて考える
  • 「規則性」→ 完全平方数のパターンを見つける

入試問題は難しそうに見えても、基本の組み合わせである。この5パターンを繰り返し練習し、どのパターンかを見抜く目を養おう。

Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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