「因数分解で二次方程式を解けるようになったのに、ちょっと形が変わると手が止まる」——そんな経験はないだろうか。
基本の因数分解はできるのに、共通因数をくくり出す問題や、係数が複雑な問題になると急にわからなくなる。これは「因数分解の型」が1つしか身についていないことが原因である。
この記事では、応用問題でも迷わない因数分解の3つのパターンを、手順どおりに解説する。読み終える頃には「まず何を見るか」が明確になり、どんな形の問題でも最初の一手が打てるようになる。
因数分解で二次方程式を解く基本の確認
まずは基本を確認しよう。因数分解で二次方程式を解く原理は「積が0なら、少なくとも一方は0」である。
AB = 0 ならば A = 0 または B = 0
これが因数分解解法の土台である。左辺を積の形に変形できれば、方程式が解ける。
例えば $x^2 – 5x + 6 = 0$ なら、左辺を $(x – 2)(x – 3) = 0$ と変形できる。すると $x – 2 = 0$ または $x – 3 = 0$ となり、$x = 2, 3$ と求まる。
ここまでが基本である。では、応用問題ではどこが違うのか。それは「そのままでは因数分解できない形になっている」という点である。
応用パターンを図で理解する
応用問題は大きく3つのパターンに分類できる。下のアニメーションで、それぞれの特徴と解法の流れを確認しよう。
重要なのは「判断の順番」である。問題を見たら、必ずこの順で確認しよう。
パターン1:共通因数をくくり出す
最初に見るべきは「共通因数があるか」である。全ての項に共通する因数があれば、まずそれをくくり出す。
共通因数とは:全ての項に共通して含まれている数や文字のこと。例えば $2x^2 – 6x$ では、$2$ と $x$ が全ての項に含まれているので、$2x$ が共通因数である。
例題1:$2x^2 – 6x = 0$
注意:$2x = 0$ の解は $x = 0$ である。$x$ で割って $2 = 0$(矛盾)としてしまい、$x = 0$ を見落とす間違いが多い。共通因数に $x$ が含まれている場合、$x = 0$ は必ず解の1つになる。
例題2:$x^2 + 5x = 0$
これも共通因数パターンである。
共通因数は $x$ である。くくり出すと $x(x + 5) = 0$ となる。
パターン2:移項して右辺を0にする
因数分解で解くには、右辺が $0$ でなければならない。右辺に項がある場合は、まず移項して整理する。
例題3:$x^2 = 3x + 10$
例題4:$x^2 – 4x = 5$
パターン3:たすきがけ因数分解
$x^2$ の係数が $1$ でない場合は、たすきがけを使う。
たすきがけとは:$ax^2 + bx + c$ を $(px + q)(rx + s)$ の形に因数分解する方法。$p \times r = a$、$q \times s = c$、$p \times s + q \times r = b$ となる組み合わせを探す。
例題5:$2x^2 + 5x + 3 = 0$
$2x + 3 = 0$ の解き方:
例題6:$3x^2 – 7x + 2 = 0$
同様にたすきがけで解く。
パターン判別チャート
問題を見たときに、どのパターンかを素早く判断するためのチャートである。
よくある間違いと対策
| 間違い | 例 | 対策 |
|---|---|---|
| $x = 0$ の見落とし | $x^2 – 3x = 0$ で $x = 3$ のみ答える | 共通因数に $x$ があれば $x = 0$ は必ず解 |
| 移項し忘れ | $x^2 = 5x$ をそのまま因数分解しようとする | 右辺が $0$ でなければ必ず移項 |
| 符号ミス | $(x – 2)(x – 3) = 0$ から $x = -2, -3$ | $x – 2 = 0$ なら $x = +2$ |
| たすきがけの読み間違い | 因数の組み合わせを間違える | 展開して検算する習慣をつける |
検算の習慣:因数分解の結果は、展開して元の式に戻るか確認する。$(x + 1)(2x + 3) = 2x^2 + 3x + 2x + 3 = 2x^2 + 5x + 3$ ✓
この単元のよくある質問
Q. 共通因数とたすきがけ、どちらを先に試すべきですか?
A. 必ず共通因数を先に確認する。共通因数をくくり出すことで、その後の因数分解が格段に簡単になる。例えば $4x^2 + 8x + 4 = 0$ は、まず $4$ をくくり出して $4(x^2 + 2x + 1) = 0$ とすれば、カッコ内は $(x + 1)^2$ と簡単に因数分解できる。
Q. たすきがけで組み合わせが見つからないときはどうすればいいですか?
A. その二次方程式は因数分解では解けない可能性がある。中学範囲では、すべての二次方程式が因数分解で解けるわけではない。解の公式を使うか、問題の写し間違いがないか確認しよう。
Q. 答えが分数になることはありますか?
A. たすきがけのパターンでは分数になることがある。例えば $(2x + 1) = 0$ から $x = -\dfrac{1}{2}$ となる。分数の解も正しい解なので、整数にならないからといって間違いではない。
練習問題
$3x^2 – 12x = 0$
$x^2 + 2x = 15$
$2x^2 – 5x – 3 = 0$
まとめ
この記事では、因数分解による二次方程式の応用的な解き方を学んだ。ポイントは以下の3つである。
- パターン1:共通因数があれば、まずくくり出す。$x = 0$ を見落とさない
- パターン2:右辺が $0$ でなければ、必ず移項してから因数分解
- パターン3:$x^2$ の係数が $1$ でなければ、たすきがけを使う
問題を見たら「①共通因数 → ②右辺=0か → ③$x^2$の係数」の順に確認すれば、どのパターンかが必ずわかる。この判断を素早くできるようになるまで、練習を重ねよう。
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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