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【二次方程式】いろいろな二次方程式(係数が分数・小数)【alg-quad-eq-011】【必須】

「二次方程式の解き方は覚えたのに、係数が分数や小数になった途端、手が止まる」という経験はないだろうか。

公式に当てはめようとしても、計算が複雑になりすぎてミスが続く。途中で何をしているのかわからなくなる。そんな悩みを抱えている人は多い。

実は、分数や小数の係数けいすうを持つ二次方程式には、最初に「整数係数に直す」という一手間を加えるだけで、いつもの解き方がそのまま使える。この記事では、その変形テクニックを順を追って解説する。

対象:中学3年 所要時間:約12分
目次

そもそも「整数係数に直す」とは?

二次方程式 $ax^2 + bx + c = 0$ を解くとき、係数 $a, b, c$ が整数であれば計算しやすい。しかし、係数が分数や小数の場合、そのまま解の公式かいのこうしきに代入すると計算が煩雑になる。

係数けいすうとは、$x^2$ や $x$ の前についている数のことである。例えば $3x^2 – 2x + 5 = 0$ では、$x^2$ の係数が $3$、$x$ の係数が $-2$、定数項が $5$ である。

「整数係数に直す」とは、方程式の両辺りょうへんに同じ数をかけて、すべての係数を整数にする操作のことである。

具体例を見てみよう。

$$\frac{1}{2}x^2 – \frac{3}{4}x + \frac{1}{8} = 0$$

この方程式の両辺に $8$ をかけると:

$$4x^2 – 6x + 1 = 0$$

係数がすべて整数になった。これなら普段どおりの方法で解ける。

変形のしくみを図で理解する

なぜ両辺に同じ数をかけても方程式の解は変わらないのか。これを視覚的に確認しよう。

天秤のように、左辺と右辺が等しい状態(つり合い)があるとき、両方に同じ操作をすれば、つり合いは崩れない。これが「両辺に同じ数をかけても解は変わらない」理由である。

分数係数の二次方程式を解く手順

分数係数の二次方程式を解くには、次の手順で進める。

1
分母の最小公倍数を見つける
方程式に登場するすべての分数の分母を確認し、その最小公倍数さいしょうこうばいすうを求める。
2
両辺にその数をかける
方程式の両辺に最小公倍数をかけて、分数を消す。
3
整数係数の方程式を解く
因数分解いんすうぶんかい、平方完成、または解の公式を使って解く。

例題1:分数係数の二次方程式

次の方程式を解いてみよう。

$$\frac{1}{2}x^2 – \frac{3}{4}x – 1 = 0$$

ステップ1:分母の最小公倍数を見つける

分母は $2$ と $4$ である。最小公倍数は $4$。

ステップ2:両辺に $4$ をかける

$$\begin{aligned} 4 \times \frac{1}{2}x^2 – 4 \times \frac{3}{4}x – 4 \times 1 &= 4 \times 0 \\[8pt] 2x^2 – 3x – 4 &= 0 \end{aligned}$$

$4 \times \frac{1}{2} = \frac{4}{2} = 2$、$4 \times \frac{3}{4} = \frac{12}{4} = 3$ と計算する。

ステップ3:解の公式で解く

$a = 2$、$b = -3$、$c = -4$ を解の公式に代入する。

$$\begin{aligned} x &= \frac{-b \pm \sqrt{b^2 – 4ac}}{2a} \\[8pt] &= \frac{-(-3) \pm \sqrt{(-3)^2 – 4 \times 2 \times (-4)}}{2 \times 2} \\[8pt] &= \frac{3 \pm \sqrt{9 + 32}}{4} \\[8pt] &= \frac{3 \pm \sqrt{41}}{4} \end{aligned}$$

答え:$x = \dfrac{3 + \sqrt{41}}{4}, \dfrac{3 – \sqrt{41}}{4}$

小数係数の二次方程式を解く手順

小数係数の場合も考え方は同じである。小数を整数に直すために、$10$、$100$ などをかける。

1
小数点以下の桁数を確認する
最も桁数が多い小数を見つける。
2
10の累乗をかける
小数点以下1桁なら $10$、2桁なら $100$ をかける。
3
整数係数の方程式を解く
因数分解、平方完成、または解の公式を使って解く。

例題2:小数係数の二次方程式

次の方程式を解いてみよう。

$$0.2x^2 – 0.5x – 0.3 = 0$$

ステップ1:小数点以下の桁数を確認

すべて小数点以下1桁なので、$10$ をかければよい。

ステップ2:両辺に $10$ をかける

$$\begin{aligned} 10 \times 0.2x^2 – 10 \times 0.5x – 10 \times 0.3 &= 10 \times 0 \\[8pt] 2x^2 – 5x – 3 &= 0 \end{aligned}$$

ステップ3:因数分解で解く

$2x^2 – 5x – 3$ を因数分解する。

$a \times c = 2 \times (-3) = -6$ となる2数で、和が $b = -5$ になる組み合わせを探す。$-6$ と $1$ で $-6 + 1 = -5$。

$$\begin{aligned} 2x^2 – 5x – 3 &= 0 \\[8pt] 2x^2 – 6x + x – 3 &= 0 \\[8pt] 2x(x – 3) + 1(x – 3) &= 0 \\[8pt] (2x + 1)(x – 3) &= 0 \end{aligned}$$

したがって:

$$2x + 1 = 0 \quad \text{または} \quad x – 3 = 0$$

答え:$x = -\dfrac{1}{2}, 3$

変形の流れをアニメーションで確認

分数係数の方程式を整数係数に変形する過程をアニメーションで見てみよう。

ステップ 1/4

よくある間違いと対策

分数・小数係数の二次方程式でよくある間違いを確認しておこう。

間違いの例 なぜダメなのか 正しい方法
両辺ではなく一部だけにかける 等式の関係が崩れる すべての項に同じ数をかける
分母の1つだけをかける 他の分数が残る 最小公倍数をかける
小数のまま解の公式に代入 計算ミスが起きやすい 先に整数係数に直す

特に多いミスは「右辺の $0$ にかけ忘れる」ことである。$0$ に何をかけても $0$ だが、式を書くときは意識して両辺すべてにかけよう。

この単元のよくある質問

Q. 分母の最小公倍数がわからないときはどうすればいい?

A. 分母をすべてかけ合わせた数を使っても問題ない。例えば分母が 2, 3, 5 なら、最小公倍数は 30 だが、2 × 3 × 5 = 30 でも同じ結果になる。最小公倍数を使う方が係数が小さくなり計算しやすいが、正しい答えは出せる。

Q. 変形した後の方程式を解くとき、答えは分数でもいいの?

A. もちろん分数で答えてよい。整数係数に直すのは「計算しやすくするため」であり、解が分数になることは普通にある。例題2の答え $x = -\dfrac{1}{2}$ のように、きれいな分数で表そう。

Q. 小数を分数に直してから解く方法はある?

A. ある。例えば $0.2 = \dfrac{1}{5}$、$0.5 = \dfrac{1}{2}$ のように直せば、分数係数の方程式として解ける。どちらの方法でも正しい答えが出るので、自分がやりやすい方を選ぼう。

練習問題

問1. 次の方程式を解け。 $$\frac{1}{3}x^2 – \frac{1}{2}x – \frac{1}{6} = 0$$
問2. 次の方程式を解け。 $$0.1x^2 + 0.2x – 0.8 = 0$$
問3. 次の方程式を解け。 $$\frac{3}{4}x^2 – \frac{1}{2}x – \frac{1}{4} = 0$$

まとめ

この記事では、係数が分数や小数の二次方程式の解き方を学んだ。ポイントは以下の通りである。

  • 分数係数の場合:分母の最小公倍数を両辺にかける
  • 小数係数の場合:$10$ や $100$ を両辺にかける
  • 整数係数に直してから、いつもの方法(因数分解・解の公式)で解く
  • 両辺のすべての項に同じ数をかけることが大切

複雑そうに見える方程式も、最初の一手間で見慣れた形になる。繰り返し練習して、変形の感覚を身につけよう。

Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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