「面積が◯◯になるとき、辺の長さを求めよ」——この手の問題で、式を立てた後に手が止まってしまった経験はないだろうか。
文章を読んで、図を描いて、式を立てて……ここまではできるのに、最後の計算で躓く。あるいは、答えが2つ出てきて「どっちが正解?」と迷ってしまう。
実は、図形の面積問題でミスをする人のほとんどは、「式の立て方」ではなく「答えの吟味」で失敗している。この記事では、式の立て方から答えの選び方まで、順を追って解説する。
そもそも「図形の面積問題」とは?
図形の面積に関する二次方程式の問題とは、次のような形式である。
「ある図形の辺の長さを $x$ とおいたとき、面積が与えられた値になる $x$ を求める問題」
具体的には、以下のようなパターンがある。
- 長方形の縦横をそれぞれ伸ばしたり縮めたりする
- 正方形の辺を何cmか長くする/短くする
- 道幅や余白を考える
どのパターンでも、解き方の流れは同じである。
吟味とは、「出てきた答えが問題に合っているかどうかを確認すること」である。図形問題では長さが負になることはないため、この確認が特に重要である。
図形の面積問題を図で理解する
言葉だけでは分かりにくいので、具体的な問題を図で見てみよう。
例題:縦 $8$ cm、横 $12$ cm の長方形がある。縦と横をそれぞれ同じ長さだけ短くしたところ、面積が $35$ cm² になった。何 cm 短くしたか。
ボタンを押して、$x$ の値を変えてみよう。$x = 5$ のとき、面積が $35$ cm² になることが確認できる。
では、このことを式で表してみよう。
式の立て方の手順
図形の面積問題では、次の手順で式を立てる。
「何 cm 短くしたか」を求めるので、短くした長さを $x$ cm とおく。
縦は $8 – x$ cm、横は $12 – x$ cm となる。
長方形の面積 = 縦 × 横 なので、
$(8 – x)(12 – x) = 35$
展開して整理し、解の公式または因数分解で解く。
出てきた答えが問題の条件に合うか確認する。
例題を最後まで解いてみよう
先ほどの例題を、手順に沿って解いていく。
例題:縦 $8$ cm、横 $12$ cm の長方形がある。縦と横をそれぞれ同じ長さだけ短くしたところ、面積が $35$ cm² になった。何 cm 短くしたか。
【手順1・2】短くした長さを $x$ cm とおくと、新しい長方形は
- 縦:$(8 – x)$ cm
- 横:$(12 – x)$ cm
【手順3】面積が $35$ cm² だから、
【手順4】左辺を展開する。
展開のポイント:$(8-x)(12-x) = 8 \times 12 – 8 \times x – x \times 12 + x \times x = 96 – 8x – 12x + x^2$
この二次方程式は因数分解しにくいので、解の公式を使う。
解の公式:$ax^2 + bx + c = 0$ のとき、$x = \dfrac{-b \pm \sqrt{b^2 – 4ac}}{2a}$
$a = 1$、$b = -20$、$c = 61$ を代入する。
$\sqrt{156} = \sqrt{4 \times 39} = 2\sqrt{39}$ と変形した。
よって、$x = 10 + \sqrt{39}$ または $x = 10 – \sqrt{39}$
【手順5】答えの吟味
ここが最も重要なステップである。$\sqrt{39} \fallingdotseq 6.24$ なので、
- $x = 10 + \sqrt{39} \fallingdotseq 16.24$
- $x = 10 – \sqrt{39} \fallingdotseq 3.76$
問題の条件を確認しよう。
- $x > 0$(長さは正の数)
- $8 – x > 0$(縦が正の数)→ $x < 8$
- $12 – x > 0$(横が正の数)→ $x < 12$
つまり、$0 < x < 8$ である必要がある。
- $x = 10 + \sqrt{39} \fallingdotseq 16.24$ → $8$ より大きいので 不適
- $x = 10 – \sqrt{39} \fallingdotseq 3.76$ → 条件を満たす ✓
答え:$(10 – \sqrt{39})$ cm
数直線で見ると、なぜ一方の解が不適なのかが一目でわかる。$x = 10 + \sqrt{39}$ では縦の長さが負になってしまうのである。
よくある間違いと対策
図形の面積問題で、多くの人がやってしまう間違いを紹介する。
二次方程式の解が2つ出たとき、どちらも答えにしてしまう。
→ 対策:必ず「長さは正」「元の辺より短い」などの条件を確認する。
「$x$ cm 長くする」なのに $(8 – x)$ と書いてしまう。
→ 対策:「長くする」→ 足し算、「短くする」→ 引き算と確認する。
$(8-x)(12-x)$ の展開で、符号を間違える。
→ 対策:$(a-b)(c-d) = ac – ad – bc + bd$ を確認してから展開する。
別のパターン:辺を伸ばす問題
逆に、辺を伸ばす問題も見てみよう。
例:一辺が $6$ cm の正方形がある。縦を $x$ cm 伸ばし、横を $x$ cm 縮めたところ、面積が $27$ cm² になった。$x$ を求めよ。
この場合、新しい長方形は
- 縦:$(6 + x)$ cm(伸ばすので足す)
- 横:$(6 – x)$ cm(縮めるので引く)
$(6+x)(6-x) = 6^2 – x^2 = 36 – x^2$ は和と差の積の公式である。
吟味:$x > 0$ かつ $6 – x > 0$ より $0 < x < 6$ が条件。
- $x = 3$ → 条件を満たす ✓
- $x = -3$ → 負なので 不適
答え:$3$ cm
この単元のよくある質問
Q. なぜ答えが2つ出てくるのですか?
A. 二次方程式は数学的には最大2つの解を持つためである。しかし、図形の問題では「長さは正の数」「元の辺より短い」などの条件があるため、問題の答えとしては1つだけが適切になることが多い。だから「吟味」が必要なのである。
Q. 吟味で「不適」になる解をどうやって見分けますか?
A. 次の3つを確認する。①求めた値が正か(長さは負にならない)、②その値を代入して各辺が正か、③問題文の条件を満たすか。これらのどれかに反する解は不適である。
Q. 道幅の問題や余白の問題も同じ考え方ですか?
A. はい、基本的な考え方は同じである。「道幅を $x$ とおく」「余白を $x$ とおく」として、残りの部分の面積を式で表せばよい。ただし、道が十字に交差する問題では重なる部分に注意が必要である。
練習問題
まとめ
この記事では、図形の面積に関する二次方程式の問題について学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 式の立て方:変化後の辺の長さを $x$ で表し、面積の式を作る
- 計算:展開して整理し、因数分解または解の公式で解く
- 吟味が最重要:長さは正、かつ元の辺を超えないことを確認する
図形の面積問題は、「式を立てる力」と「答えを吟味する力」の両方が問われる良問である。繰り返し練習して、確実に得点できるようになろう。
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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