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【文字式】多項式どうしの乗法(展開の基本)【中3数学】【必須】

展開てんかい」と聞いて、カッコを外す計算だとはわかっているのに、いざ式が長くなると手が止まってしまう——そんな経験はないだろうか。

特に、$(x + 2)(x + 3)$ のような多項式たこうしきどうしの乗法じょうほうになると、「どこから手をつければいいのか」「掛け忘れがないか不安」という声をよく聞く。

実は、展開でつまずく人のほとんどは「分配法則ぶんぱいほうそくを2回使う」という基本手順を曖昧にしたまま進んでしまっているだけである。この記事では、その手順を1ステップずつ図解し、迷わず手が動く状態を目指す。

対象:中学3年 所要時間:約8分
目次

そもそも「展開」とは?

展開とは、カッコのついた式のカッコを外して、単項式たんこうしきの和の形に書き直すことである。

単項式とは、$3x$ や $-5y^2$ のように、数と文字の積だけでできた式のことである。$2x + 3$ のように足し算・引き算が入った式は多項式と呼ぶ。

例えば、$3(x + 2)$ を展開すると $3x + 6$ になる。これは分配法則を使って、カッコの中の各項に $3$ を掛けた結果である。

$$3(x + 2) = 3 \times x + 3 \times 2 = 3x + 6$$

では、$(x + 2)(x + 3)$ のように、カッコが2つある場合はどうするか。ここがこの記事のメインテーマである。

多項式どうしの乗法を図で理解する

$(x + 2)(x + 3)$ の展開を、面積図で考えてみよう。縦が $(x + 2)$、横が $(x + 3)$ の長方形の面積を求めるイメージである。

アニメーションを再生すると、4つの部分面積が順番に現れる。それぞれが展開で出てくる4つのこうに対応している。

項とは、多項式を構成する一つひとつの部分のこと。$x^2 + 5x + 6$ は3つの項($x^2$、$5x$、$6$)からなる多項式である。

展開の手順(分配法則を2回使う)

面積図のイメージを数式で表すと、次のような手順になる。ポイントは「分配法則を2回使う」ことである。

1

前のカッコの各項を、後ろのカッコ全体に掛ける

$$\begin{aligned} (x + 2)(x + 3) &= x \cdot (x + 3) + 2 \cdot (x + 3) \end{aligned}$$

まず $(x + 2)$ を $x$ と $2$ に分けて、それぞれに $(x + 3)$ を掛ける。

2

それぞれの掛け算を分配法則で展開する

$$\begin{aligned} &= x \cdot x + x \cdot 3 + 2 \cdot x + 2 \cdot 3 \\[8pt] &= x^2 + 3x + 2x + 6 \end{aligned}$$

$x \cdot (x + 3) = x^2 + 3x$、$2 \cdot (x + 3) = 2x + 6$ である。

3

同類項どうるいこうをまとめる

$$\begin{aligned} &= x^2 + (3x + 2x) + 6 \\[8pt] &= x^2 + 5x + 6 \end{aligned}$$

同類項とは、文字の部分が同じ項のこと。$3x$ と $2x$ は両方とも「$x$ の1乗」なので同類項である。

「掛け忘れ」を防ぐ図解

展開で最もよくあるミスは、「一部の掛け算を忘れる」ことである。$(x + 2)(x + 3)$ では、全部で4回の掛け算が必要になる。

矢印の図で確認しよう。

  • 青の矢印:$x \times x = x^2$
  • 赤の矢印:$x \times 3 = 3x$
  • 緑の矢印:$2 \times x = 2x$
  • 紫の矢印:$2 \times 3 = 6$

前のカッコの各項から、後ろのカッコの各項へ、全ての組み合わせで矢印を引く。これで「掛け忘れ」を防げる。

例題で手順を確認する

もう1問、別の例で手順を追ってみよう。

例題

$(x – 3)(x + 5)$ を展開せよ。

引き算が入っている場合も、考え方は同じである。$-3$ を1つの項として扱う。

$$\begin{aligned} (x – 3)(x + 5) &= x \cdot (x + 5) + (-3) \cdot (x + 5) \\[8pt] &= x \cdot x + x \cdot 5 + (-3) \cdot x + (-3) \cdot 5 \\[8pt] &= x^2 + 5x – 3x – 15 \\[8pt] &= x^2 + 2x – 15 \end{aligned}$$

符号に注意しよう。$(-3) \times 5 = -15$ である。

よくある間違いと対策

1

掛け算の数が足りない

❌ $(x + 2)(x + 3) = x^2 + 6$(途中の $3x$ と $2x$ が抜けている)

✅ 対策:矢印を4本引いて、4つの項を出す

2

同類項のまとめ忘れ

❌ $(x + 2)(x + 3) = x^2 + 3x + 2x + 6$(これで終わりにしてしまう)

✅ 対策:展開後、必ず「まとめられる項はないか」を確認する

3

符号のミス

❌ $(x – 3)(x + 5) = x^2 + 2x + 15$(最後の項の符号が間違い)

✅ 対策:負の数を掛けるときは、符号を丁寧に確認する。$(-3) \times 5 = -15$

この単元のよくある質問

Q. なぜ4回も掛け算をするのですか?

A. 分配法則を2回使うためである。前のカッコに2つの項、後ろのカッコに2つの項があるので、全ての組み合わせ(2×2=4通り)を掛け合わせる必要がある。面積図で考えると、長方形を4つに分けているイメージになる。

Q. 同類項はどうやって見分けるのですか?

A. 文字の部分が完全に同じ項が同類項である。例えば $3x$ と $2x$ は両方「$x$ の1乗」なので同類項。$x^2$ と $x$ は「$x$ の2乗」と「$x$ の1乗」で異なるので同類項ではない。数だけの項(定数項)どうしも同類項である。

Q. カッコの中が3つ以上の項でも同じ方法でできますか?

A. できる。例えば $(x + 2)(x + y + 3)$ の場合、前のカッコの2つの項を、後ろのカッコの3つの項それぞれに掛ける(2×3=6回の掛け算)。手順は同じで、全ての組み合わせを漏れなく掛けることがポイントである。

練習問題

問1. $(x + 4)(x + 1)$ を展開せよ。
問2. $(x – 2)(x + 6)$ を展開せよ。
問3. $(x – 5)(x – 3)$ を展開せよ。

まとめ

この記事では、多項式どうしの乗法(展開)について学んだ。ポイントは以下の通りである。

  • 展開とは、カッコを外して単項式の和に直すこと
  • $(a + b)(c + d)$ の形では、分配法則を2回使って4つの項を作る
  • 全ての組み合わせを掛け合わせ、最後に同類項をまとめる
  • 面積図や矢印の図を使うと、掛け忘れを防げる

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