「$3x(2x+5)$ を計算しなさい」と言われて、かっこの中の $+5$ をどう扱えばいいか迷った経験はないだろうか。
展開の問題でミスをする人の多くは、分配法則のかけ方が曖昧なまま練習を重ねている。公式を暗記しても、なぜその形になるのかがわからないと、少し形が変わっただけで手が止まってしまう。
この記事では、単項式と多項式の乗法を、図解と具体例で「見てわかる」レベルまで落とし込む。読み終えるころには、どんな形の式でも迷わず展開できるようになる。
そもそも単項式・多項式とは?
まず、用語を整理しておこう。
単項式とは、数や文字の積だけでできている式のことである。例えば $3x$、$-2a^2b$、$5$ などが単項式である。
多項式とは、単項式が足し算や引き算でつながった式のことである。例えば $2x+5$、$a^2-3a+1$ などが多項式である。
単項式と多項式の乗法とは、「$3x \times (2x+5)$」のように、単項式と多項式をかけ合わせる計算のことである。
分配法則を図で理解する
単項式と多項式の乗法で使うのは、小学校で習った分配法則である。
この式が意味することを、面積図で確認しよう。
つまり、$a(b+c)$ は「縦が $a$、横が $(b+c)$ の長方形の面積」であり、これを2つの長方形 $ab$ と $ac$ に分けて考えることができる。
計算の手順
単項式と多項式の乗法は、次の手順で計算する。
単項式を、多項式の各項にかける
係数どうし、文字どうしをそれぞれかけ算する
同類項があればまとめる
係数とは、文字の前についている数のことである。$3x$ の係数は $3$ である。
例題で手順を確認する
例題1:$3x(2x + 5)$ を展開せよ
途中式を丁寧に書くと、次のようになる。
$3x \times 2x$ は、係数どうし($3 \times 2 = 6$)と文字どうし($x \times x = x^2$)を別々にかけて $6x^2$ となる。
例題2:$-2a(3a - 4b)$ を展開せよ
マイナスを含む場合も、手順は同じである。符号に注意しよう。
$(-2a) \times (-4b) = +8ab$ である。マイナス×マイナス=プラスを忘れないこと。
例題3:$5x^2(2x - 3y + 1)$ を展開せよ
項が3つあっても、それぞれにかけるだけである。
よくある間違いと対策
一部の項にしかかけない
$3x(2x + 5) = 6x^2 + 5$ ←間違い
$+5$ にも $3x$ をかけ忘れている。すべての項にかけること。
符号のミス
$-2a(3a - 4b) = -6a^2 - 8ab$ ←間違い
$(-2a) \times (-4b) = +8ab$ である。マイナス×マイナス=プラス。
文字の指数の計算ミス
$x \times x = 2x$ ←間違い
$x \times x = x^2$ である。同じ文字をかけると指数が増える。
この単元のよくある質問
Q. 分配法則はなぜ成り立つのですか?
A. 面積図で考えるとわかりやすい。縦が $a$、横が $(b+c)$ の長方形の面積は、縦 $a$・横 $b$ の長方形と、縦 $a$・横 $c$ の長方形の面積の和に等しい。つまり $a(b+c) = ab + ac$ となる。
Q. 単項式が後ろにあるとき $(2x+5) \times 3x$ はどう計算しますか?
A. かけ算の順番を入れ替えても結果は同じである。$3x(2x+5)$ と同じように計算すればよい。答えは $6x^2 + 15x$ である。
Q. 展開した後、同類項をまとめる必要がありますか?
A. 同類項(文字の部分が同じ項)があればまとめる。例えば $2x(x+3) + x(x-1)$ を展開すると $2x^2 + 6x + x^2 - x$ となり、これをまとめて $3x^2 + 5x$ が答えになる。
練習問題
まとめ
この記事では、単項式と多項式の乗法について学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 分配法則 $a(b+c) = ab + ac$ を使う
- 単項式を、多項式のすべての項にかける
- 係数どうし・文字どうしを別々にかけ算する
- 符号のミス(特にマイナス×マイナス)に注意する
展開は、因数分解や方程式の計算で繰り返し使う基本技術である。手順を体に覚え込ませよう。
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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