「展開と因数分解、どっちがどっちかわからなくなる」——そんな経験はないだろうか。
公式を暗記しているのに、問題を見た瞬間に「これは展開?因数分解?」と迷ってしまう。式変形の途中で手が止まる。そんな状態では、計算スピードも正確さも上がらない。
実は、展開と因数分解は「逆の操作」である。この関係をしっかり理解すれば、どちらの問題を解くときも迷わなくなる。この記事では、展開と因数分解の全体像を図解で整理し、両者の関係をはっきりさせる。
そもそも展開・因数分解とは?
まず、2つの言葉の意味を確認しよう。
展開とは
展開とは、カッコをはずして多項式の形に直すことである。
多項式とは、$2x^2 + 3x – 5$ のように、いくつかの項が足し算や引き算でつながった式のことである。
具体例を見てみよう。
左辺のカッコ同士のかけ算を、右辺の足し算・引き算の形に変えた。これが展開である。
因数分解とは
因数分解とは、多項式をカッコのかけ算の形に直すことである。
因数とは、かけ算の「もと」になる式のこと。$6 = 2 \times 3$ の $2$ と $3$ が因数であるように、$(x+2)(x+3)$ の $(x+2)$ と $(x+3)$ も因数である。
具体例を見てみよう。
右辺の足し算の形を、左辺のカッコのかけ算に変えた。これが因数分解である。
展開と因数分解は逆の関係
ここで気づいただろうか。展開と因数分解は、矢印の向きが逆なだけである。
つまり、展開は「ほどく」操作、因数分解は「まとめる」操作と言える。
展開と因数分解を図で理解する
展開と因数分解の関係を、面積図を使って視覚的に確認しよう。
この面積図のポイントは次の通りである。
- 長方形の面積は「縦 × 横」で計算できる → $(x+2)(x+3)$
- 4つの部分の面積の和でも計算できる → $x^2 + 3x + 2x + 6$
- どちらも同じ面積を表しているので、等しい
展開は「全体を分けて考える」、因数分解は「分かれた部分を全体にまとめる」という見方ができる。
展開と因数分解の使い分け
問題を見たとき、「展開するのか、因数分解するのか」を判断する基準を整理しよう。
展開すべき場面
例:$(x+1)^2 – (x-1)^2$ を計算しなさい → 展開してから計算する
因数分解すべき場面
例:$x^2 – 5x + 6 = 0$ を解きなさい → 因数分解してから解く
展開と因数分解の公式一覧
主な公式を表にまとめておこう。展開の公式を左から右に読めば展開、右から左に読めば因数分解の公式になる。
| 展開(カッコ → 多項式) | 因数分解(多項式 → カッコ) |
|---|---|
| $(x+a)(x+b) = x^2 + (a+b)x + ab$ | $x^2 + (a+b)x + ab = (x+a)(x+b)$ |
| $(x+a)^2 = x^2 + 2ax + a^2$ | $x^2 + 2ax + a^2 = (x+a)^2$ |
| $(x-a)^2 = x^2 – 2ax + a^2$ | $x^2 – 2ax + a^2 = (x-a)^2$ |
| $(x+a)(x-a) = x^2 – a^2$ | $x^2 – a^2 = (x+a)(x-a)$ |
これらの公式は、次の記事以降で一つずつ詳しく学んでいく。今は「展開と因数分解は逆の関係」ということだけ押さえておこう。
展開と因数分解の関係をアニメーションで確認
最後に、展開と因数分解が「逆の操作」であることをアニメーションで確認しよう。
よくある質問と答え(FAQ)
Q. 展開と因数分解、どちらを先に勉強すべきですか?
A. 展開を先に学ぶのが一般的である。カッコをはずす操作のほうが、まとめる操作よりも機械的にできるからだ。展開の計算に慣れてから因数分解を学ぶと、「逆の操作」という感覚がつかみやすくなる。
Q. 公式は全部覚えないといけませんか?
A. 最終的には覚えるほうが速く計算できる。ただし、まずは公式の意味を理解することが大切である。なぜその公式が成り立つのかを面積図で確認してから暗記すると、忘れにくくなる。
Q. 因数分解できない式もありますか?
A. ある。例えば $x^2 + x + 1$ は、整数の範囲では因数分解できない。中学数学では「因数分解しなさい」と言われた問題は必ず因数分解できるので、因数の組み合わせを探す練習をしっかりしよう。
練習問題
(1) $(x+4)(x-2)$ を $x^2 + 2x – 8$ にする
(2) $x^2 – 9$ を $(x+3)(x-3)$ にする
$(x+5)(x+1)$
$x^2 + 7x + 12$
まとめ
この記事では、展開と因数分解の全体像を学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 展開:カッコをはずして多項式にする(積の形 → 和の形)
- 因数分解:多項式をカッコのかけ算にする(和の形 → 積の形)
- 展開と因数分解は逆の操作である
- 面積図で考えると、両者の関係がイメージしやすい
次の記事からは、展開の公式を一つずつ学んでいく。まずは展開の基本パターンをしっかり身につけよう。
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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