「連続する2つの整数の和は奇数になることを証明せよ」——この手の問題を見た瞬間、何をどう書けばいいのか固まってしまう人は多い。
計算問題ならできるのに、証明になると手が止まる。途中で何を言いたいのかわからなくなる。そんな経験をしていないだろうか。
実は、文字式の証明には「型」がある。この型さえ覚えれば、どんな証明問題も同じ手順で解けるようになる。この記事では、その型を3ステップで完全マスターする。
そもそも「文字を使った証明」とは?
数学の証明とは、「ある性質がいつでも成り立つこと」を筋道立てて説明することである。
証明とは、「たまたま」ではなく「必ず」成り立つことを、誰もが納得できる形で示すことである。
例えば、「連続する2つの整数の和は奇数になる」という性質を考えてみよう。
いくつ試しても奇数になる。しかし、これは証明ではない。すべての整数を試すことは不可能だからである。
ここで登場するのが文字式である。文字を使えば、「すべての整数」を一度に表すことができる。
証明の型を図で理解する
文字式の証明には、決まった「型」がある。この型を覚えれば、どんな問題でも同じ流れで解ける。
整数の表し方をマスターする
証明のStep 1で最も重要なのは、「どう文字で表すか」である。ここを間違えると、正しい結論に辿り着けない。
倍数の表し方
倍数とは、ある数の「○倍」になっている数のことである。例えば、6, 9, 12 は3の倍数である。
| 表したいもの | 文字での表し方 | 具体例 |
|---|---|---|
| 2の倍数(偶数) | $2n$ | $n=3$ のとき $2 \times 3 = 6$ |
| 3の倍数 | $3n$ | $n=4$ のとき $3 \times 4 = 12$ |
| 5の倍数 | $5n$ | $n=2$ のとき $5 \times 2 = 10$ |
ポイントは「$n$ を整数とする」と書くことである。$n$ がどんな整数でも、$2n$ は必ず偶数になる。
奇数の表し方
奇数は「偶数 + 1」または「偶数 − 1」と考えればよい。
$n = 0, 1, 2, 3, \cdots$ を代入すると:
連続する整数の表し方
| 表したいもの | 文字での表し方 |
|---|---|
| 連続する2つの整数 | $n, \, n+1$ |
| 連続する3つの整数 | $n, \, n+1, \, n+2$ |
| 連続する2つの偶数 | $2n, \, 2n+2$ |
| 連続する2つの奇数 | $2n+1, \, 2n+3$ |
例題で型をマスターする
例題1:連続する2つの整数の和は奇数になる
文字で表す
$n$ を整数とすると、連続する2つの整数は $n$ と $n + 1$ と表せる。
計算する
2つの整数の和を計算する。
結論を述べる
$n$ は整数だから、$2n$ は偶数である。
よって、$2n + 1$ は奇数である。
したがって、連続する2つの整数の和は奇数である。
例題2:連続する3つの整数の和は3の倍数になる
文字で表す
$n$ を整数とすると、連続する3つの整数は $n$、$n + 1$、$n + 2$ と表せる。
計算する
最後に共通因数 $3$ でくくるのがポイント。「$3 \times$(整数)」の形にする。
結論を述べる
$n$ は整数だから、$n + 1$ も整数である。
よって、$3(n + 1)$ は3の倍数である。
したがって、連続する3つの整数の和は3の倍数である。
例題3:2つの奇数の和は偶数になる
文字で表す
$m$、$n$ を整数とすると、2つの奇数は $2m + 1$ と $2n + 1$ と表せる。
2つの奇数が「異なる奇数」でもよいので、別々の文字 $m$、$n$ を使う。
計算する
結論を述べる
$m$、$n$ は整数だから、$m + n + 1$ も整数である。
よって、$2(m + n + 1)$ は2の倍数、すなわち偶数である。
したがって、2つの奇数の和は偶数である。
証明の書き方を可視化する
実際の答案でどのように書くか、アニメーションで確認しよう。
よくある間違いと対策
「$n$ を整数とする」を書き忘れる
文字を使う以上、「何を表す文字か」を宣言しなければならない。書き忘れると減点対象である。
答案の冒頭に「$n$ を整数とすると」と書く習慣をつけよう。
最後の「くくり出し」を忘れる
「$3n + 3$」で終わらず、「$3(n + 1)$」の形にすること。「○の倍数」を示すには「$○ \times$(整数)」の形が必要である。
結論を書かない
計算だけして終わる答案が多い。「したがって、〜は○○である」と、問題の主張を結論として明記すること。
この単元のよくある質問
Q. なぜ「nを整数とする」と書かなければいけないのですか?
A. 文字 n が「どんな数でもよい」のか「整数に限る」のかを明確にするためである。証明では「すべての整数について成り立つ」ことを示すので、n が整数であることを宣言する必要がある。この宣言がないと、n が小数や分数でもよいことになり、証明として不完全になる。
Q. 連続する整数をなぜ n, n+1 と表すのですか?n, n-1 ではだめですか?
A. n, n-1 でも問題ない。どちらで表しても「連続する2つの整数」を正しく表現できる。ただし、n, n+1 と表すほうが一般的で、計算もしやすいことが多い。慣れないうちは n, n+1 を使うことをおすすめする。
Q. 「2つの奇数」を同じ文字 n で表してはいけないのですか?
A. 同じ文字で表すと「同じ奇数」を表すことになってしまう。「2つの奇数」が異なる場合も含めるには、別々の文字 m, n を使う必要がある。もし問題文に「同じ奇数の和」と書いてあれば、同じ文字を使ってよい。
練習問題
まとめ
この記事では、文字式を使った証明の「型」を学んだ。ポイントは以下の通りである。
- Step 1:「$n$ を整数とすると」から始め、求めたいものを文字で表す
- Step 2:式を計算し、「$○ \times$(整数)」の形にくくり出す
- Step 3:「〇〇は整数だから、〜は○の倍数である」と結論を述べる
この3ステップを繰り返し練習すれば、どんな証明問題も同じ流れで解けるようになる。
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

コメント