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【文字式】因数分解の応用と複雑な式の因数分解【中3数学】【応用】

因数分解の応用と複雑な式の因数分解

「基本的な因数分解はできるのに、複雑ふくざつな式になると手が止まる」——そんな経験はないだろうか。

式が長くなったり、文字が2種類以上あったりすると、どこから手をつければいいのかわからなくなる。公式を知っていても使いどころが見えない、という悩みは非常に多い。

実は、複雑に見える式も「ある工夫」をすれば、基本の公式だけで解ける形に変わる。この記事では、その工夫——置き換えおきかえのテクニックを中心に、応用的な因数分解を順を追って解説する。

対象:中学3年 所要時間:約12分
目次

因数分解の応用とは?

中学3年で学ぶ基本的な因数分解の公式は、次の4つである。

$$\begin{aligned} &① \quad ma + mb = m(a + b) \quad \text{(共通因数のくくり出し)} \\[8pt] &② \quad x^2 + (a+b)x + ab = (x+a)(x+b) \\[8pt] &③ \quad a^2 + 2ab + b^2 = (a+b)^2 \\[8pt] &④ \quad a^2 – b^2 = (a+b)(a-b) \end{aligned}$$

因数分解いんすうぶんかいとは、多項式を「かけ算の形」に変形することである。展開の逆の操作と考えるとわかりやすい。

応用問題では、これらの公式が「そのままの形」では使えない。しかし、式を変形したり、一部を別の文字に置き換えおきかえたりすることで、公式が使える形に持っていける。

具体的には、次のような場面で応用力が求められる。

  • かっこを含む式
  • 同じかたまりが繰り返し現れる式
  • 文字が複数ある式
  • 次数が4以上の式

置き換えのテクニックを図で理解する

複雑な式を因数分解するとき、最も強力な武器が「置き換え」である。式の中に同じかたまりが見えたら、それを1つの文字で置き換える。すると、見慣れた公式の形が現れる。

上の図のように、$(x+1)$ という同じかたまりが2回現れている。これを $A$ と置くと、$A^2 + 5A + 6$ という見慣れた形になる。公式②を使えば $(A+2)(A+3)$ と因数分解でき、最後に $A$ を元に戻せばよい。

パターン別:応用因数分解の手順

パターン1:共通部分を置き換える

式の中に同じかたまりが繰り返し現れるとき、そのかたまりを1つの文字で置き換える。

例題1. $(x+2)^2 – 7(x+2) + 12$ を因数分解せよ。

1

共通部分を見つけて置き換える。

$(x+2)$ が2回現れているので、$A = x + 2$ と置く。

$$A^2 – 7A + 12$$
2

公式②を使って因数分解する。

かけて $12$、たして $-7$ になる2数は $-3$ と $-4$ である。

$$A^2 – 7A + 12 = (A – 3)(A – 4)$$
3

$A$ を元に戻す。

$$\begin{aligned} (A – 3)(A – 4) &= \{(x+2) – 3\}\{(x+2) – 4\} \\[8pt] &= (x – 1)(x – 2) \end{aligned}$$

置き換えた後は、必ず「元に戻す」ステップを忘れないこと。戻し忘れは減点対象である。

パターン2:平方の差の形を作る

$a^2 – b^2 = (a+b)(a-b)$ の公式は、$a$ や $b$ がかっこ式でも使える。

例題2. $(x+3)^2 – (x-1)^2$ を因数分解せよ。

1

$a^2 – b^2$ の形であることを確認する。

$a = x + 3$、$b = x – 1$ と見なせる。

2

公式④ $a^2 – b^2 = (a+b)(a-b)$ を適用する。

$$\begin{aligned} &(x+3)^2 – (x-1)^2 \\[8pt] &= \{(x+3) + (x-1)\}\{(x+3) – (x-1)\} \end{aligned}$$
3

かっこの中を計算する。

$$\begin{aligned} (x+3) + (x-1) &= 2x + 2 \\[8pt] (x+3) – (x-1) &= x + 3 – x + 1 = 4 \end{aligned}$$
4

最終的な答えを書く。

$$(2x + 2) \times 4 = 4(2x + 2) = 8(x + 1)$$

または、$(2x+2) \cdot 4$ をそのまま因数分解して

$$2(x+1) \times 4 = 8(x+1)$$

パターン3:4次式を2次式として扱う

$x^4$ を含む式は、$x^2 = A$ と置くと2次式になる。

例題3. $x^4 – 5x^2 + 4$ を因数分解せよ。

1

$x^2 = A$ と置き換える。

$$x^4 – 5x^2 + 4 = A^2 – 5A + 4$$
2

公式②で因数分解する。

かけて $4$、たして $-5$ になる2数は $-1$ と $-4$ である。

$$A^2 – 5A + 4 = (A – 1)(A – 4)$$
3

$A$ を元に戻す。

$$(x^2 – 1)(x^2 – 4)$$
4

さらに因数分解できる形がないか確認する。

$x^2 – 1$ と $x^2 – 4$ はどちらも $a^2 – b^2$ の形である。

$$\begin{aligned} x^2 – 1 &= (x+1)(x-1) \\[8pt] x^2 – 4 &= (x+2)(x-2) \end{aligned}$$
5

最終的な答えを書く。

$$(x+1)(x-1)(x+2)(x-2)$$

因数分解は「これ以上因数分解できない」ところまで行うのが原則である。途中で止めると減点されることがある。

複雑な式の因数分解:視覚的に理解する

置き換えがどのように式を単純化するか、具体的な変化をアニメーションで確認しよう。

ステップ 1/5

置き換えが必要な式の見分け方

どんなときに置き換えを使えばよいか、判断のポイントを整理しておこう。

式の特徴 置き換え方
同じかっこが繰り返す かっこを $A$ に $(x+1)^2 + 3(x+1)$
$x^4$ と $x^2$ だけ $x^2 = A$ $x^4 – 10x^2 + 9$
$x^6$ と $x^3$ だけ $x^3 = A$ $x^6 + 7x^3 – 8$
同じ式が2乗されている $a^2 – b^2$ を適用 $(2x+1)^2 – 9$

置き換えを使うかどうか迷ったら、「同じ形が2回以上あるか」をまず確認しよう。

よくある間違いと対策

1

置き換えた文字を元に戻し忘れる

$A = x + 1$ と置いたまま答えを $(A-2)(A+3)$ と書いてしまう。

対策:答えを書く前に「$A$ や $B$ が残っていないか」を必ず確認する。

2

因数分解を途中で止める

$(x^2 – 4)(x^2 – 9)$ で終わりにしてしまう。

対策:因数分解した後も「さらに分解できる式がないか」を確認する。特に $a^2 – b^2$ の形は見逃しやすい。

3

かっこを外すとき符号を間違える

$(x+2) – 3$ を計算するとき、$x + 2 – 3 = x – 1$ を $x + 5$ などと誤る。

対策:かっこの前の符号に注意し、一度展開してから計算する。

この単元のよくある質問

Q. 置き換える文字は何でもいいですか?

A. 基本的には $A$ や $B$ など、問題に登場していない文字を使う。$x$ や $y$ がすでに使われているなら、それ以外の文字を選ぶ。何を置き換えたかを「$A = x + 1$ とおく」のように必ず書くこと。

Q. いつ「これ以上因数分解できない」と判断しますか?

A. 各因数が「$ax + b$(1次式)」または「公式が使えない2次式」になったら完成である。例えば $(x+1)$ や $(x^2 + 1)$(実数の範囲では分解不可)はそれ以上分解できない。

Q. 置き換えを使わずに解くことはできますか?

A. できる場合もあるが、式が複雑なほど計算ミスが増える。置き換えは「ミスを減らすための道具」と考えて積極的に使おう。慣れれば置き換えの方が速く解ける。

練習問題

問1. $(x-3)^2 + 6(x-3) + 8$ を因数分解せよ。
問2. $x^4 – 13x^2 + 36$ を因数分解せよ。
問3. $(2x+1)^2 – (x-2)^2$ を因数分解せよ。

まとめ

この記事では、因数分解の応用テクニックについて学んだ。ポイントは以下の通りである。

  • 同じかたまりが繰り返し現れたら、それを1文字に置き換える
  • $x^4$ を含む式は $x^2 = A$ と置くと2次式になる
  • $(かっこ)^2 – (かっこ)^2$ の形は $a^2 – b^2$ の公式で処理する
  • 因数分解は「これ以上分解できない」ところまで行う
  • 置き換えた後は、必ず元の文字に戻す

置き換えは、複雑な式を「見慣れた形」に変える強力な道具である。最初は面倒に感じるかもしれないが、慣れれば計算ミスが減り、むしろ速く解けるようになる。繰り返し練習して、自然に使えるようにしよう。

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