二次関数のグラフを描くとき、「aの値が何だと、どんな形になるのか?」と迷ったことはないだろうか。
公式は覚えているのに、グラフの向きや開き具合がごちゃごちゃになって、テストで失点してしまう──そんな経験を持つ人は多い。
実は、aの符号と絶対値さえ押さえれば、グラフの形は一瞬で判断できる。この記事では、「aを見ただけでグラフの形がわかる」状態を目指す。
🔰 初めての方へ:数学が苦手でも大丈夫。この記事では、難しい理論は一切省略し、「aの値を見るだけでグラフの形がわかる」シンプルなルールをお伝えする。
この記事で使う用語
先に、この記事で登場する専門用語をまとめておく。わからない言葉が出てきたら、ここに戻って確認しよう。
- 二次関数
- $y = ax^2$ や $y = ax^2 + bx + c$ のように、xの2乗を含む関数のこと。グラフは必ず放物線になる。
- 放物線
- 二次関数のグラフの形。お椀のような曲線で、左右対称である。
- 係数
- 文字の前についている数のこと。$3x^2$ なら「3」が係数である。
- 比例定数
- $y = ax^2$ のaのこと。xの2乗にかける数で、グラフの形を決める。
- 上に凸
- グラフが山の形(∩の形)になること。頂点が一番高い位置にある。
- 下に凸
- グラフが谷の形(∪の形)になること。頂点が一番低い位置にある。
- 絶対値
- 数直線上で0からの距離のこと。符号を取り除いた値。$|{-3}| = 3$、$|3| = 3$ である。
- 頂点
- 放物線の折り返し点。$y = ax^2$ の場合、頂点は原点(0, 0)にある。
道具(ルール)を手に入れる
証明は不要。「こういうルールがある」と知っていれば、あとは使い方を覚えるだけである。
$y = ax^2$ のaの値を見るだけで、グラフが「上向きか下向きか」「開き具合はどのくらいか」がわかる。
二次関数 $y = ax^2$ のグラフの形は、aの値だけで決まる。
| aの条件 | グラフの向き | 覚え方 |
|---|---|---|
| $a > 0$(正の数) | 下に凸(∪の形) | プラスは上向き(谷の形) |
| $a < 0$(負の数) | 上に凸(∩の形) | マイナスは下向き(山の形) |
| |a|の大きさ | グラフの開き具合 | 覚え方 |
|---|---|---|
| $|a|$ が大きい | グラフが狭い(急な形) | 「大きいと狭い」 |
| $|a|$ が小さい | グラフが広い(なだらかな形) | 「小さいと広い」 |
「|a|が大きいと狭い」は直感と逆に感じる人が多い。
理由:aが大きいと、同じxに対してyの値が大きくなる。つまり、縦方向に引き伸ばされるので、結果として狭く見える。
今は「大きいと狭い」と丸暗記でOK。
使い方マニュアル
$y = ax^2$ のグラフの形を判断する手順は以下の通りである。
まず、aの符号を確認する。
(なぜ?:符号でグラフの「向き」が決まるため)
- $a > 0$ → 下に凸(∪の形)
- $a < 0$ → 上に凸(∩の形)
次に、aの絶対値を確認する。
(なぜ?:絶対値でグラフの「開き具合」が決まるため)
- $|a|$ が大きい → 狭い(急な放物線)
- $|a|$ が小さい → 広い(なだらかな放物線)
最後に、向きと開き具合を組み合わせてグラフをイメージする。
(なぜ?:2つの情報を合わせると、グラフの全体像がわかる)
図で理解する
これから表示する図は、aの値を変えたときの放物線の形の変化を示している。
- 横軸:xの値
- 縦軸:yの値
- 色の違い:aの値の違いを表す
- すべての放物線:原点(0, 0)を通る
aの符号と向きの関係
- 青い放物線($a = 0.5 > 0$)は「下に凸」(∪の形)
- 赤い放物線($a = -0.5 < 0$)は「上に凸」(∩の形)
- どちらも原点を通り、y軸について左右対称である
|a|の大きさと開き具合の関係
- 赤($a = 2$):$|a|$が大きい → グラフが狭い(急な形)
- 青($a = 1$):標準的な開き具合
- 緑($a = 0.25$):$|a|$が小さい → グラフが広い(なだらかな形)
aの値とグラフの形(総合)
- $a > 0$(青・緑)は上半分、$a < 0$(赤・橙)は下半分に広がる
- $|a| = 1$(青・赤)は標準的な開き具合
- $|a| = 0.3$(緑・橙)は広く開いた形
実際に判断してみよう
ステップ1:まずは簡単な問題で練習
$y = 2x^2$ のグラフは、上に凸か、下に凸か。
(💡 aの符号だけを見ればOK!)
aの値を確認する。
$y = 2x^2$ なので、$a = 2$ である。
aの符号を確認する。
$a = 2 > 0$(正の数)である。
ルールを適用する。
$a > 0$ なので、下に凸(∪の形)である。
答え:下に凸
ステップ2:標準的な問題に挑戦
$y = -3x^2$ のグラフについて、次の問いに答えよ。
(1) 上に凸か、下に凸か。
(2) $y = x^2$ のグラフと比べて、開き具合はどうか。
aの値を確認する。
$y = -3x^2$ なので、$a = -3$ である。
(1) aの符号を確認する。
$a = -3 < 0$(負の数)なので、上に凸(∩の形)である。
(2) |a|の大きさを比較する。
$y = -3x^2$ の $|a| = |-3| = 3$
$y = x^2$ の $|a| = |1| = 1$
$3 > 1$ なので、$|a|$が大きい。
(💡 |a|が大きいと狭い)
よって、$y = x^2$ より狭い(急な形)。
答え:(1) 上に凸 (2) $y = x^2$ より狭い
ステップ3:複数のグラフを比較する
次の3つの二次関数のグラフを、開きの広い順に並べよ。
ア. $y = 2x^2$ イ. $y = -\dfrac{1}{2}x^2$ ウ. $y = -4x^2$
それぞれの|a|を求める。
ア. $|a| = |2| = 2$
イ. $|a| = \left|-\dfrac{1}{2}\right| = \dfrac{1}{2} = 0.5$
ウ. $|a| = |-4| = 4$
|a|の大きさを比較する。
$\dfrac{1}{2} < 2 < 4$
つまり、イ<ア<ウ の順に|a|が大きい。
開き具合の順を決める。
(💡 |a|が小さいほど広い → |a|が小さい順=広い順)
|a|が小さい順:イ → ア → ウ
よって、開きの広い順:イ → ア → ウ
答え:イ → ア → ウ
(💡 符号は開き具合には関係しない。絶対値だけで比較すればよい。)
よくある間違いと対策
「大きいと広い」と勘違い
|a|が大きいと、グラフは「広く」なると思いがちである。
$|a| = 3$ のとき、「3は大きい数だから広いグラフだ」
✅ 正しくは:$|a|$が大きいほど、グラフは狭くなる。
「大きいと狭い」と覚えよう。
開き具合の比較で符号を見てしまう
開き具合の比較では、符号は関係ない。絶対値だけを見る。
$a = 2$ と $a = -3$ を比較するとき、「$2 > -3$ だから…」と計算してしまう
✅ 正しくは:$|2| = 2$ と $|-3| = 3$ を比較する。$3 > 2$ なので、$a = -3$ の方が狭い。
「上に凸」「下に凸」の混同
「プラスは上向き(谷の形=下に凸)」「マイナスは下向き(山の形=上に凸)」
または「$a > 0$ → ニコニコ笑顔の口(∪)」「$a < 0$ → 悲しい口(∩)」と覚える。
練習問題
ア. $y = 3x^2$ イ. $y = \dfrac{1}{4}x^2$
ア. $y = x^2$ イ. $y = -2x^2$ ウ. $y = \dfrac{1}{2}x^2$ エ. $y = -\dfrac{1}{4}x^2$
この単元のよくある質問
Q. なぜ|a|が大きいと狭くなるのですか?
A. $y = ax^2$ で、aが大きいと同じxに対してyの値が大きくなる。つまり、縦方向に引き伸ばされた形になるので、結果として狭く見える。例えば、$x = 1$ のとき、$y = x^2$ なら $y = 1$ だが、$y = 3x^2$ なら $y = 3$ になる。同じx座標でもyが大きいので、グラフが急な形になる。
Q. 「上に凸」と「下に凸」の覚え方はありますか?
A. いくつかの覚え方がある。①「プラスは上向き」と覚える。$a > 0$ のとき、グラフは上に開く(∪の形)ので「下に凸」。②「ニコニコ」と「しょんぼり」で覚える。$a > 0$ は笑顔の口(∪)、$a < 0$ は悲しい口(∩)。③「a>0は、谷。aく0は、山」という語呂合わせもある。
Q. $y = ax^2 + bx + c$ の形でも同じルールが使えますか?
A. 使える。$y = ax^2 + bx + c$ の形でも、aの符号で向き(上に凸か下に凸か)が決まり、|a|の大きさで開き具合が決まる。bやcの値はグラフの位置(頂点の位置)を変えるだけで、向きや開き具合には影響しない。
まとめ
この記事では、二次関数 $y = ax^2$ のaの値とグラフの形の関係について学んだ。ポイントは以下の通りである。
✅ これができればOK
- □ aの符号で、向きを判断できる($a > 0$ → 下に凸、$a < 0$ → 上に凸)
- □ |a|の大きさで、開き具合を判断できる(大きいと狭い、小さいと広い)
- □ 複数のグラフの開き具合を比較できる(|a|を比較する)
📝 暗記ポイント
| 条件 | 結果 |
|---|---|
| $a > 0$ | 下に凸(∪) |
| $a < 0$ | 上に凸(∩) |
| $|a|$が大きい | 狭い(急) |
| $|a|$が小さい | 広い(なだらか) |
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