二次方程式を解いたのに、答えが合わない。そんな経験はないだろうか。
「計算は間違っていないはずなのに、問題の条件に合わない」「答えが2つ出たけど、どっちを書けばいいかわからない」——このような悩みを抱える人は多い。
実は、二次方程式には「解いただけでは終わらない」という特徴がある。出てきた答えが本当に問題の条件を満たすかどうか、確認する作業が必要なのだ。この確認作業を解の吟味という。
この記事では、解の吟味とは何か、なぜ必要なのか、そしてどのような場合に不適解が生じるのかを、具体例を通じて順を追って解説する。
そもそも「解の吟味」とは?
解の吟味とは、方程式を解いて得られた答えが、もとの問題の条件を満たすかどうかを確認する作業のことである。
吟味とは「よく調べて確かめる」という意味である。料理人が食材を吟味するように、数学でも答えを吟味する。
具体的な例で考えてみよう。
「ある正方形の1辺の長さを $x$ cmとすると、面積は $x^2$ cm²である。この面積が36 cm²のとき、1辺の長さを求めよ。」
方程式を立てると、
これを解くと、
つまり、$x = 6$ または $x = -6$ である。
しかし、ここで考えてほしい。$x$ は正方形の1辺の長さだ。長さが $-6$ cmというのは、現実にはありえない。
このように、方程式の解としては正しくても、問題の意味を考えると使えない解を不適解(または不適な解)という。
不適解とは「問題の条件に適さない解」の略である。方程式の解としては正しいが、問題の答えとしては不適切なものを指す。
したがって、この問題の答えは $x = 6$ のみである。$x = -6$ は不適解として除外する。
解の吟味が必要になる場面を図で理解する
解の吟味が必要になるのは、主に次の3つの場面である。
このアニメーションが示すように、解の吟味では「問題が何を求めているか」を常に意識することが大切である。
解の吟味の手順
解の吟味は、次の3ステップで行う。
問題文を読み、$x$ が何を表すかを確認する。長さなら正の数、人数なら正の整数、など。
通常通り二次方程式を解き、解をすべて求める。
求めた解が条件を満たすかどうかを1つずつ確認し、満たさないものは不適解として除外する。
例題で手順を確認しよう
例題1:長さを求める問題
問題:ある長方形の縦の長さは横の長さより3 cm長い。この長方形の面積が40 cm²のとき、横の長さを求めよ。
横の長さを $x$ cmとする。$x$ は長さなので、$x > 0$ が条件である。
縦の長さは $(x + 3)$ cmなので、面積について、
展開して整理すると、
因数分解すると、
$x$ は長さなので $x > 0$ でなければならない。
- $x = 5$:正の数なので適する ✓
- $x = -8$:負の数なので不適 ✗
答え:横の長さは 5 cm
答えを書くときは「$x = -8$ は不適」と明記すると、解の吟味をしたことが採点者に伝わる。
例題2:整数条件がある問題
問題:連続する2つの正の整数がある。それぞれを2乗した数の和が85になるとき、この2つの整数を求めよ。
小さい方の整数を $n$ とする。$n$ は正の整数なので、$n \geq 1$ かつ $n$ は整数という条件がある。
連続する2つの整数は $n$ と $n + 1$ なので、
展開して整理すると、
因数分解すると、
$n$ は正の整数でなければならない。
- $n = 6$:正の整数なので適する ✓
- $n = -7$:負の数なので不適 ✗
答え:2つの整数は 6と7
例題3:範囲制限がある問題
問題:地上20 mの高さから物体を投げ上げた。$t$ 秒後の高さ $h$ mは $h = -5t^2 + 15t + 20$ で表される。高さが30 mになるのは何秒後か。
$t$ は時間なので $t \geq 0$ が条件である。
$h = 30$ を代入すると、
整理すると、
$t \geq 0$ の条件を確認する。
- $t = 1$:0以上なので適する ✓
- $t = 2$:0以上なので適する ✓
この問題では両方の解が条件を満たす。物体は上昇中に1回、下降中に1回、高さ30 mを通過するからである。
答え:1秒後と2秒後
このように、2つの解がどちらも適する場合もある。解の吟味は「必ず1つに絞る」作業ではなく、「条件に合うかどうか確認する」作業である。
解の吟味の流れを図解で確認
このフローチャートが示すように、解の吟味では「各解を1つずつ条件と照らし合わせる」ことがポイントである。
よくある間違いと対策
| 間違い | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 解の吟味をせずに2つの解をそのまま答える | 吟味の必要性を忘れている | 問題文に「長さ」「個数」などの条件があるか必ず確認 |
| 不適解を答えに含めてしまう | $x > 0$ などの条件を見落としている | 方程式を立てる前に「$x$ の条件」を書き出す習慣をつける |
| 両方とも不適だと勘違いする | 条件を厳しく解釈しすぎている | 問題文の条件を正確に読み取る(「正の数」なら0は含まない、など) |
解の吟味で最も多いミスは「吟味を忘れること」である。「方程式を解いたら、必ず条件を確認」と覚えておこう。
この単元のよくある質問
Q. 不適解は答案に書かなくてもいいですか?
A. 書いた方がよい。答案には「$x = 5, -8$ だが、$x > 0$ より $x = -8$ は不適。よって $x = 5$」のように、解の吟味の過程を示すと、採点者に正しく理解していることが伝わる。
Q. 解の吟味はどんな問題でも必要ですか?
A. 文章題(応用問題)では必要になることが多い。単純に「$x^2 = 9$ を解け」のような問題では、$x = \pm 3$ がそのまま答えになる。問題文に「長さ」「個数」「時間」などの言葉があるときは要注意である。
Q. 2つの解がどちらも適する場合、どう書けばいいですか?
A. 「$t = 1, 2$ であり、どちらも $t \geq 0$ を満たす。よって答えは1秒後と2秒後」のように、両方が条件を満たすことを確認した上で、両方を答えとして書く。
練習問題
まとめ
この記事では、二次方程式の解の吟味について学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 解の吟味とは、求めた解が問題の条件を満たすか確認する作業である
- 長さ・個数・時間など、問題文の条件に合わない解は不適解として除外する
- 2つの解がどちらも適する場合もあれば、どちらか一方のみが適する場合もある
- 答案には「吟味の過程」を書くと、正しく理解していることが伝わる
方程式を解いて終わりではない。「出てきた答えが意味を持つかどうか」を確認する習慣を身につけよう。
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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