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【文字式】式の計算の利用(数の計算への応用)【中3数学】【必須】

「98×102」を筆算でやろうとして、計算ミスしたことはないだろうか。

途中で繰り上がりを間違えたり、桁がずれたり。大きな数の計算は、どうしてもミスが起きやすい。しかし、実はこの計算、乗法公式じょうほうこうしきを使えば、暗算でできてしまうのである。

この記事では、中学3年で学んだ「式の計算」を数の計算に応用する方法を解説する。一度身につければ、テストでも日常でも使える強力な武器になる。

対象:中学3年 所要時間:約8分
目次

そもそも「式の計算の利用」とは?

「式の計算の利用」とは、文字式で学んだ公式こうしきを、具体的な数の計算に当てはめる方法である。

例えば、$98 \times 102$ という計算を見てみよう。

ポイントは「100に近い数」という点である。$98 = 100 – 2$、$102 = 100 + 2$ と考えれば、$(100-2)(100+2)$ という形になる。

これは、乗法公式じょうほうこうしきの $(a-b)(a+b) = a^2 – b^2$ そのものである。

つまり、

$$98 \times 102 = (100-2)(100+2) = 100^2 – 2^2 = 10000 – 4 = 9996$$

筆算なしで、あっという間に答えが出る。

使う乗法公式を確認しよう

数の計算に応用できる乗法公式じょうほうこうしきは、主に次の3つである。

公式1

和と差の積

$$(a+b)(a-b) = a^2 – b^2$$

「100に近い2つの数の積」で威力を発揮する。

公式2

和の2乗

$$(a+b)^2 = a^2 + 2ab + b^2$$

「切りのいい数より少し大きい数の2乗」で使う。

公式3

差の2乗

$$(a-b)^2 = a^2 – 2ab + b^2$$

「切りのいい数より少し小さい数の2乗」で使う。

「切りのいい数」とは、10、20、50、100、1000 など、計算しやすい数のことである。

公式の使い分けを図で理解する

上の図は、計算したい式の形によって、どの公式を使うかを示している。

  • 2つの数の積(A × B):2つの数が「同じ数から同じだけ離れている」とき → 和と差の積
  • 2乗(A²):切りのいい数に近い数の2乗 → 和または差の2乗
  • 2乗の差(A² − B²):因数分解して簡単にする

パターン別の計算手順

パターン1:2数の積 → 和と差の積

例題:$97 \times 103$ を計算せよ。

1

中間の「切りのいい数」を見つける

$97$ と $103$ の中間は $100$ である。

2

差を確認する

$97 = 100 – 3$、$103 = 100 + 3$ と表せる。

どちらも $100$ から $3$ だけ離れている。

3

公式を適用する

$$\begin{aligned} 97 \times 103 &= (100 – 3)(100 + 3) \\[8pt] &= 100^2 – 3^2 \\[8pt] &= 10000 – 9 \\[8pt] &= 9991 \end{aligned}$$

公式 $(a-b)(a+b) = a^2 – b^2$ で、$a = 100$、$b = 3$ を代入した。

パターン2:2乗 → 和の2乗

例題:$53^2$ を計算せよ。

1

近い「切りのいい数」を見つける

$53$ に近い切りのいい数は $50$ である。

2

和の形で表す

$53 = 50 + 3$ と表せる。

3

公式を適用する

$$\begin{aligned} 53^2 &= (50 + 3)^2 \\[8pt] &= 50^2 + 2 \times 50 \times 3 + 3^2 \\[8pt] &= 2500 + 300 + 9 \\[8pt] &= 2809 \end{aligned}$$

公式 $(a+b)^2 = a^2 + 2ab + b^2$ で、$a = 50$、$b = 3$ を代入した。

パターン3:2乗 → 差の2乗

例題:$48^2$ を計算せよ。

1

近い「切りのいい数」を見つける

$48$ に近い切りのいい数は $50$ である。

2

差の形で表す

$48 = 50 – 2$ と表せる。

3

公式を適用する

$$\begin{aligned} 48^2 &= (50 – 2)^2 \\[8pt] &= 50^2 – 2 \times 50 \times 2 + 2^2 \\[8pt] &= 2500 – 200 + 4 \\[8pt] &= 2304 \end{aligned}$$

公式 $(a-b)^2 = a^2 – 2ab + b^2$ で、$a = 50$、$b = 2$ を代入した。

パターン4:2乗の差 → 因数分解

例題:$65^2 – 35^2$ を計算せよ。

1

2乗の差の形を確認

$65^2 – 35^2$ は $a^2 – b^2$ の形である。

2

因数分解いんすうぶんかいする

$$65^2 – 35^2 = (65 + 35)(65 – 35)$$
3

計算する

$$\begin{aligned} (65 + 35)(65 – 35) &= 100 \times 30 \\[8pt] &= 3000 \end{aligned}$$

$65^2 = 4225$、$35^2 = 1225$ を計算して引くより、圧倒的に楽である。

数の変形を可視化する

上の図は、$98 \times 102$ を面積図で表したものである。

  • $98 \times 102$ は、$100 \times 100$ の正方形より、右に $2$ 飛び出し、下に $2$ 足りない
  • 右の飛び出し部分を下に移動すると、$100 \times 102$ の長方形になる
  • ただし、右下に $2 \times 2 = 4$ の「穴」ができる
  • よって、$100^2 – 2^2 = 10000 – 4 = 9996$

よくある間違いと対策

間違い1

中間の数を間違える

$97 \times 103$ で、中間を $99$ や $101$ と思ってしまう。

対策:2つの数を足して2で割る。$(97 + 103) \div 2 = 100$

間違い2

差の2乗で符号を間違える

$(50-2)^2 = 50^2 – 2 \times 50 \times 2 – 2^2$ としてしまう。

対策:$(a-b)^2$ の最後は必ず $+b^2$。「2乗は常にプラス」と覚える。

間違い3

使える場面を見逃す

$51 \times 49$ を見ても、公式が使えると気づかない。

対策:「同じ数から等距離」のパターンを意識する。$51 = 50 + 1$、$49 = 50 – 1$ と分解。

よくある質問と答え

Q. どんな数でも乗法公式を使えますか?

A. 「切りのいい数」に近い数の計算で特に有効である。例えば $98 \times 102$(100に近い)、$53^2$(50に近い)など。123 × 456 のような計算には向かない。

Q. 筆算より本当に速くなりますか?

A. 慣れれば暗算でできるようになるため、筆算より圧倒的に速い。ただし、最初は公式を書き出して計算し、徐々に暗算に移行するとよい。

Q. テストでこの方法を使ってもいいですか?

A. 問題文に「筆算で計算せよ」などの指定がなければ、どの方法で計算しても構わない。むしろ「くふうして計算せよ」という問題では、この方法が求められている。

練習問題

問1. $99 \times 101$ を、乗法公式を使って計算せよ。
問2. $52^2$ を、乗法公式を使って計算せよ。
問3. $78^2 – 22^2$ を計算せよ。

まとめ

この記事では、乗法公式を数の計算に応用する方法を学んだ。ポイントは以下の通りである。

  • 和と差の積 $(a+b)(a-b) = a^2 – b^2$:$97 \times 103$ のような計算に有効
  • 和・差の2乗 $(a \pm b)^2$:$53^2$ や $48^2$ のような計算に有効
  • 因数分解:$78^2 – 22^2$ のような2乗の差を簡単にする
  • 「切りのいい数からどれだけ離れているか」を見抜くのがコツ

公式を覚えるだけでなく、「いつ使えるか」を意識して練習を重ねよう。

Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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