「98×102」を筆算でやろうとして、計算ミスしたことはないだろうか。
途中で繰り上がりを間違えたり、桁がずれたり。大きな数の計算は、どうしてもミスが起きやすい。しかし、実はこの計算、乗法公式を使えば、暗算でできてしまうのである。
この記事では、中学3年で学んだ「式の計算」を数の計算に応用する方法を解説する。一度身につければ、テストでも日常でも使える強力な武器になる。
そもそも「式の計算の利用」とは?
「式の計算の利用」とは、文字式で学んだ公式を、具体的な数の計算に当てはめる方法である。
例えば、$98 \times 102$ という計算を見てみよう。
ポイントは「100に近い数」という点である。$98 = 100 – 2$、$102 = 100 + 2$ と考えれば、$(100-2)(100+2)$ という形になる。
これは、乗法公式の $(a-b)(a+b) = a^2 – b^2$ そのものである。
つまり、
筆算なしで、あっという間に答えが出る。
使う乗法公式を確認しよう
数の計算に応用できる乗法公式は、主に次の3つである。
和と差の積
「100に近い2つの数の積」で威力を発揮する。
和の2乗
「切りのいい数より少し大きい数の2乗」で使う。
差の2乗
「切りのいい数より少し小さい数の2乗」で使う。
「切りのいい数」とは、10、20、50、100、1000 など、計算しやすい数のことである。
公式の使い分けを図で理解する
上の図は、計算したい式の形によって、どの公式を使うかを示している。
- 2つの数の積(A × B):2つの数が「同じ数から同じだけ離れている」とき → 和と差の積
- 2乗(A²):切りのいい数に近い数の2乗 → 和または差の2乗
- 2乗の差(A² − B²):因数分解して簡単にする
パターン別の計算手順
パターン1:2数の積 → 和と差の積
例題:$97 \times 103$ を計算せよ。
中間の「切りのいい数」を見つける
$97$ と $103$ の中間は $100$ である。
差を確認する
$97 = 100 – 3$、$103 = 100 + 3$ と表せる。
どちらも $100$ から $3$ だけ離れている。
公式を適用する
公式 $(a-b)(a+b) = a^2 – b^2$ で、$a = 100$、$b = 3$ を代入した。
パターン2:2乗 → 和の2乗
例題:$53^2$ を計算せよ。
近い「切りのいい数」を見つける
$53$ に近い切りのいい数は $50$ である。
和の形で表す
$53 = 50 + 3$ と表せる。
公式を適用する
公式 $(a+b)^2 = a^2 + 2ab + b^2$ で、$a = 50$、$b = 3$ を代入した。
パターン3:2乗 → 差の2乗
例題:$48^2$ を計算せよ。
近い「切りのいい数」を見つける
$48$ に近い切りのいい数は $50$ である。
差の形で表す
$48 = 50 – 2$ と表せる。
公式を適用する
公式 $(a-b)^2 = a^2 – 2ab + b^2$ で、$a = 50$、$b = 2$ を代入した。
パターン4:2乗の差 → 因数分解
例題:$65^2 – 35^2$ を計算せよ。
2乗の差の形を確認
$65^2 – 35^2$ は $a^2 – b^2$ の形である。
因数分解する
計算する
$65^2 = 4225$、$35^2 = 1225$ を計算して引くより、圧倒的に楽である。
数の変形を可視化する
上の図は、$98 \times 102$ を面積図で表したものである。
- $98 \times 102$ は、$100 \times 100$ の正方形より、右に $2$ 飛び出し、下に $2$ 足りない
- 右の飛び出し部分を下に移動すると、$100 \times 102$ の長方形になる
- ただし、右下に $2 \times 2 = 4$ の「穴」ができる
- よって、$100^2 – 2^2 = 10000 – 4 = 9996$
よくある間違いと対策
中間の数を間違える
$97 \times 103$ で、中間を $99$ や $101$ と思ってしまう。
対策:2つの数を足して2で割る。$(97 + 103) \div 2 = 100$
差の2乗で符号を間違える
$(50-2)^2 = 50^2 – 2 \times 50 \times 2 – 2^2$ としてしまう。
対策:$(a-b)^2$ の最後は必ず $+b^2$。「2乗は常にプラス」と覚える。
使える場面を見逃す
$51 \times 49$ を見ても、公式が使えると気づかない。
対策:「同じ数から等距離」のパターンを意識する。$51 = 50 + 1$、$49 = 50 – 1$ と分解。
よくある質問と答え
Q. どんな数でも乗法公式を使えますか?
A. 「切りのいい数」に近い数の計算で特に有効である。例えば $98 \times 102$(100に近い)、$53^2$(50に近い)など。123 × 456 のような計算には向かない。
Q. 筆算より本当に速くなりますか?
A. 慣れれば暗算でできるようになるため、筆算より圧倒的に速い。ただし、最初は公式を書き出して計算し、徐々に暗算に移行するとよい。
Q. テストでこの方法を使ってもいいですか?
A. 問題文に「筆算で計算せよ」などの指定がなければ、どの方法で計算しても構わない。むしろ「くふうして計算せよ」という問題では、この方法が求められている。
練習問題
まとめ
この記事では、乗法公式を数の計算に応用する方法を学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 和と差の積 $(a+b)(a-b) = a^2 – b^2$:$97 \times 103$ のような計算に有効
- 和・差の2乗 $(a \pm b)^2$:$53^2$ や $48^2$ のような計算に有効
- 因数分解:$78^2 – 22^2$ のような2乗の差を簡単にする
- 「切りのいい数からどれだけ離れているか」を見抜くのがコツ
公式を覚えるだけでなく、「いつ使えるか」を意識して練習を重ねよう。
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

コメント