「$x^2 – 9$ を因数分解せよ」という問題を見て、手が止まった経験はないだろうか。
展開の逆をやればいいとは聞いたものの、$x^2 – 9$ のような式を見ると「どう括弧でくくるの?」と迷ってしまう。これは、ある公式を知らないだけで起きる現象である。
この記事では、$x^2 – a^2$(平方の差)の因数分解公式を、図解とアニメーションで「なぜそうなるのか」から順を追って解説する。読み終える頃には、このパターンの問題を見た瞬間に手が動くようになっているはずだ。
そもそも「$x^2 – a^2$」とは?
まず、$x^2 – a^2$ という式がどんな形をしているか確認しよう。
$x^2$ は「$x$ の2乗」、$a^2$ は「$a$ の2乗」である。つまり $x^2 – a^2$ は「何かの2乗 − 何かの2乗」という形をしている。この形を平方の差と呼ぶ。
具体例を見てみよう。
- $x^2 – 9 = x^2 – 3^2$($x$ の2乗 − $3$ の2乗)
- $x^2 – 25 = x^2 – 5^2$($x$ の2乗 − $5$ の2乗)
- $4x^2 – 1 = (2x)^2 – 1^2$($2x$ の2乗 − $1$ の2乗)
このように、2つの項がそれぞれ「何かの2乗」になっていて、それらを引き算している式が対象である。
公式:$x^2 – a^2 = (x + a)(x – a)$
平方の差は、次の公式で因数分解できる。
この公式の意味は「2乗の引き算は、足し算と引き算の積になる」ということである。$(x + a)$ と $(x – a)$ は、$a$ を足すか引くかの違いだけで、とても覚えやすい形をしている。
なぜこの公式が成り立つのか、展開して確かめてみよう。
$-ax$ と $+ax$ が打ち消し合って $0$ になるのがポイントである。だから結果は $x^2 – a^2$ だけが残る。
図で理解する「平方の差」
この公式を面積図で視覚的に理解しよう。$x^2 – a^2$ という式は「大きな正方形の面積から小さな正方形の面積を引いたもの」と考えることができる。
このように、$x^2 – a^2$ は面積的にも $(x + a)(x – a)$ と等しいことがわかる。大きな正方形から小さな正方形を引いた残りは、縦 $(x + a)$、横 $(x – a)$ の長方形として並べ替えられるのである。
因数分解の手順
$x^2 – a^2$ の形を見つけたら、次の手順で因数分解しよう。
両方の項が何かの2乗になっているか、引き算になっているかをチェックする。
$x^2$ なら元は $x$、$9$ なら元は $3$($3^2 = 9$ だから)。
$(x + a)(x – a)$ の形に書き換える。順番は $(+a)$ が先でも $(-a)$ が先でもよい。
例題1:$x^2 – 9$ を因数分解せよ
$9 = 3^2$ なので、$a = 3$ である。
例題2:$x^2 – 49$ を因数分解せよ
$49 = 7^2$ なので、$a = 7$ である。
例題3:$4x^2 – 25$ を因数分解せよ
$x^2$ の係数が $1$ でない場合も、同じ考え方でできる。
$4x^2 = (2x)^2$、$25 = 5^2$ である。つまり「$2x$ の2乗 − $5$ の2乗」という形になっている。
よくある間違いと対策
$x^2 + 9$ のような足し算の形は、この公式では因数分解できない。必ず引き算であることを確認しよう。
$16$ の元は $4$($4^2 = 16$)であり、$8$($8 \times 2 = 16$)ではない。「何を2回かけたらその数になるか」を考えよう。
$(x – 3)^2 = x^2 – 6x + 9$ であり、$x^2 – 9$ とは違う。平方の差の公式は $(+a)$ と $(-a)$ の両方が必要である。
公式を使いこなすアニメーション
数字を変えて、公式がどう適用されるか見てみよう。
よくある質問と答え(FAQ)
Q. $x^2 + 9$ は $(x + 3)(x – 3)$ で因数分解できますか?
A. できません。$(x + 3)(x – 3) = x^2 – 9$ であり、$x^2 + 9$ とは符号が違います。$x^2 + a^2$ の形は、中学数学の範囲ではこれ以上因数分解できません。
Q. $(x – 3)(x + 3)$ と $(x + 3)(x – 3)$ は同じですか?
A. 同じです。かけ算の順番を入れ替えても結果は変わりません(交換法則)。どちらで答えても正解です。
Q. $x^2 – 5$ のように、$5$ が2乗の形でない場合はどうしますか?
A. $5 = (\sqrt{5})^2$ と考えれば $x^2 – 5 = (x + \sqrt{5})(x – \sqrt{5})$ と因数分解できます。ただし、中学では整数や有理数の範囲で因数分解することが多いので、「因数分解できない」と答える場合もあります。
練習問題
まとめ
この記事では、$x^2 – a^2$(平方の差)の因数分解について学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 公式:$x^2 – a^2 = (x + a)(x – a)$
- 適用条件:「2乗 − 2乗」の引き算の形になっていること
- 手順:それぞれの2乗の「元の数」を見つけて、$(+a)$ と $(-a)$ の積で表す
- 注意:$x^2 + a^2$(足し算)の形にはこの公式は使えない
この公式は見た目がシンプルなので、繰り返し練習すればすぐに使いこなせるようになる。$16, 25, 36, 49, 64, 81, 100$ などの平方数を覚えておくと、さらに素早く解けるようになるだろう。
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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