「乗法公式って何種類もあって覚えられない」と感じていないだろうか。
公式を丸暗記しようとして、テスト本番で「あれ、どっちだっけ」と混乱した経験はないだろうか。実は、乗法公式がうまく使えない人の多くは、「なぜその形になるのか」を理解せずに覚えようとしている。
この記事では、$(a+b)(a-b)=a^2-b^2$ という公式について、図と計算の両面から「なぜそうなるか」を徹底的に解説する。読み終わる頃には、この公式を見た瞬間に手が動くようになるはずだ。
そもそも $(a+b)(a-b)$ とは?
$(a+b)(a-b)$ は、「和と差の積」と呼ばれる形である。
和とは足し算の結果、差とは引き算の結果のことである。つまり「$(a+b)$」が和、「$(a-b)$」が差であり、これらをかけ合わせたものが「和と差の積」である。
具体的な数で考えてみよう。
一方、$3^2 – 2^2$ を計算すると、
同じ答えになった。これが偶然ではないことを、次のセクションで確認しよう。
公式の導出:なぜ $a^2 – b^2$ になるのか
$(a+b)(a-b)$ を、分配法則を使って丁寧に展開してみよう。
$(a+b)$ の各項を $(a-b)$ にかける
それぞれの括弧を展開する
$-ab$ と $+ab$ が打ち消し合う
これが公式の正体である。「$-ab$」と「$+ab$」が必ず打ち消し合うから、結果は $a^2 – b^2$ というシンプルな形になる。
この公式は「平方の差」とも呼ばれる。$a^2$ も $b^2$ も「2乗=平方」であり、その差(引き算)になっているからである。
図で理解する:面積で考える乗法公式
数式だけでなく、図形の面積で考えると、この公式がより直感的にわかる。
大きい正方形($a^2$)から、小さい正方形($b^2$)を引くと、L字型の図形が残る。この面積が $(a+b)(a-b)$ に等しいのである。
和と差の積の見つけ方
この公式を使うためには、与えられた式が「和と差の積」の形かどうかを見抜く必要がある。
2つの括弧の「共通部分」があるか
$(a+b)(a-b)$ では、$a$ が共通である。
片方が「$+$」、もう片方が「$-$」になっているか
$+b$ と $-b$ のように、符号だけが違う形である。
この2つの条件を満たしていれば、公式が使える。
例題:実際に公式を使ってみよう
公式 $(a+b)(a-b) = a^2 – b^2$ を使って、次の式を展開してみよう。
例題1:$(x+3)(x-3)$
$a$ と $b$ を特定する
この式では $a = x$、$b = 3$ である。
公式に当てはめる
例題2:$(2x+5)(2x-5)$
$a$ と $b$ を特定する
この式では $a = 2x$、$b = 5$ である。
$a$ は「$2x$ 全体」であることに注意。$2$ と $x$ を別々に考えない。
公式に当てはめる
$(2x)^2 = 2^2 \times x^2 = 4x^2$ である。括弧の中身全体を2乗することを忘れないこと。
例題3:$(3a+4b)(3a-4b)$
公式の $a$、$b$ と混同しないよう、式の構造を確認する
公式の「$a$」に当たるのは $3a$、公式の「$b$」に当たるのは $4b$ である。
公式に当てはめる
数の計算への応用
この公式は、式の展開だけでなく、数の計算を楽にするためにも使える。
例:$47 \times 53$ を暗算で計算する
一見すると面倒な計算だが、よく見ると、
つまり、$(50-3)(50+3)$ の形である。これは $(a+b)(a-b)$ で $a=50$、$b=3$ の場合だ。
筆算するより、ずっと速く計算できた。
よくある間違いと対策
| 間違いの例 | 正しい答え | 間違いの原因 |
|---|---|---|
| $(x+3)(x-3) = x^2 + 9$ | $x^2 – 9$ | 符号を間違えている。結果は必ず「$-$」になる。 |
| $(2x+5)(2x-5) = 2x^2 – 25$ | $4x^2 – 25$ | $(2x)^2$ を $2x^2$ としている。正しくは $4x^2$。 |
| $(x+3)(x+3)$ に公式を使う | 使えない | 両方とも「$+$」なので、和と差の積ではない。 |
最も多い間違いは「$(2x)^2 = 2x^2$」である。必ず「$(2x)^2 = 4x^2$」と、係数も2乗することを忘れないこと。
公式の使い分け:他の乗法公式との比較
式を見たとき、まず「2つの括弧が同じかどうか」「符号だけ違うかどうか」をチェックしよう。
この単元のよくある質問
Q. なぜ結果が必ず「引き算」になるのですか?
A. 展開の途中で $+ab$ と $-ab$ が必ず出てきて、打ち消し合うからです。$(a+b)(a-b) = a^2 – ab + ab – b^2$ の $-ab$ と $+ab$ が消えて、$a^2 – b^2$ という引き算の形だけが残ります。
Q. $(a-b)(a+b)$ と $(a+b)(a-b)$ は同じ答えになりますか?
A. はい、同じです。かけ算の順番を入れ替えても結果は変わりません(交換法則)。どちらも $a^2 – b^2$ になります。
Q. $(x+3)(x+3)$ にこの公式は使えますか?
A. いいえ、使えません。$(x+3)(x+3)$ は両方とも「$+3$」なので、「和と差の積」ではありません。この場合は $(a+b)^2 = a^2 + 2ab + b^2$ の公式を使います。
練習問題
$(x+5)(x-5)$
$(3x+2)(3x-2)$
まとめ
この記事では、乗法公式 $(a+b)(a-b) = a^2 – b^2$ について学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 「和と差の積」とは、$(a+b)$ と $(a-b)$ の形のかけ算である
- 展開すると $-ab$ と $+ab$ が打ち消し合い、$a^2 – b^2$ になる
- $(2x)^2 = 4x^2$ のように、係数も忘れずに2乗する
- 数の計算にも応用でき、暗算を楽にできる
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