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【文字式】乗法公式②(a+b)(a-b)の展開【中3数学】【必須】

乗法公式じょうほうこうしきって何種類もあって覚えられない」と感じていないだろうか。

公式を丸暗記しようとして、テスト本番で「あれ、どっちだっけ」と混乱した経験はないだろうか。実は、乗法公式がうまく使えない人の多くは、「なぜその形になるのか」を理解せずに覚えようとしている。

この記事では、$(a+b)(a-b)=a^2-b^2$ という公式について、図と計算の両面から「なぜそうなるか」を徹底的に解説する。読み終わる頃には、この公式を見た瞬間に手が動くようになるはずだ。

対象:中学3年 所要時間:約8分
目次

そもそも $(a+b)(a-b)$ とは?

$(a+b)(a-b)$ は、「和と差の積」と呼ばれる形である。

とは足し算の結果、とは引き算の結果のことである。つまり「$(a+b)$」が和、「$(a-b)$」が差であり、これらをかけ合わせたものが「和と差の積」である。

具体的な数で考えてみよう。

$$(3+2)(3-2) = 5 \times 1 = 5$$

一方、$3^2 – 2^2$ を計算すると、

$$3^2 – 2^2 = 9 – 4 = 5$$

同じ答えになった。これが偶然ではないことを、次のセクションで確認しよう。

公式の導出:なぜ $a^2 – b^2$ になるのか

$(a+b)(a-b)$ を、分配法則を使って丁寧に展開てんかいしてみよう。

1

$(a+b)$ の各項を $(a-b)$ にかける

$$\begin{aligned} (a+b)(a-b) &= a \times (a-b) + b \times (a-b) \end{aligned}$$
2

それぞれの括弧かっこを展開する

$$\begin{aligned} &= a \times a – a \times b + b \times a – b \times b \\[8pt] &= a^2 – ab + ab – b^2 \end{aligned}$$
3

$-ab$ と $+ab$ が打ち消し合う

$$\begin{aligned} &= a^2 \cancel{- ab} \cancel{+ ab} – b^2 \\[8pt] &= a^2 – b^2 \end{aligned}$$

これが公式の正体である。「$-ab$」と「$+ab$」が必ず打ち消し合うから、結果は $a^2 – b^2$ というシンプルな形になる。

$$\boxed{(a+b)(a-b) = a^2 – b^2}$$

この公式は「平方へいほうの差」とも呼ばれる。$a^2$ も $b^2$ も「2乗=平方」であり、その差(引き算)になっているからである。

図で理解する:面積で考える乗法公式

数式だけでなく、図形の面積で考えると、この公式がより直感的にわかる。

大きい正方形($a^2$)から、小さい正方形($b^2$)を引くと、L字型の図形が残る。この面積が $(a+b)(a-b)$ に等しいのである。

和と差の積の見つけ方

この公式を使うためには、与えられた式が「和と差の積」の形かどうかを見抜く必要がある。

確認1

2つの括弧の「共通部分」があるか

$(a+b)(a-b)$ では、$a$ が共通である。

確認2

片方が「$+$」、もう片方が「$-$」になっているか

$+b$ と $-b$ のように、符号だけが違う形である。

この2つの条件を満たしていれば、公式が使える。

例題:実際に公式を使ってみよう

公式 $(a+b)(a-b) = a^2 – b^2$ を使って、次の式を展開してみよう。

例題1:$(x+3)(x-3)$

1

$a$ と $b$ を特定する

この式では $a = x$、$b = 3$ である。

2

公式に当てはめる

$$\begin{aligned} (x+3)(x-3) &= x^2 – 3^2 \\[8pt] &= x^2 – 9 \end{aligned}$$

例題2:$(2x+5)(2x-5)$

1

$a$ と $b$ を特定する

この式では $a = 2x$、$b = 5$ である。

$a$ は「$2x$ 全体」であることに注意。$2$ と $x$ を別々に考えない。

2

公式に当てはめる

$$\begin{aligned} (2x+5)(2x-5) &= (2x)^2 – 5^2 \\[8pt] &= 4x^2 – 25 \end{aligned}$$

$(2x)^2 = 2^2 \times x^2 = 4x^2$ である。括弧の中身全体を2乗することを忘れないこと。

例題3:$(3a+4b)(3a-4b)$

1

公式の $a$、$b$ と混同しないよう、式の構造を確認する

公式の「$a$」に当たるのは $3a$、公式の「$b$」に当たるのは $4b$ である。

2

公式に当てはめる

$$\begin{aligned} (3a+4b)(3a-4b) &= (3a)^2 – (4b)^2 \\[8pt] &= 9a^2 – 16b^2 \end{aligned}$$

数の計算への応用

この公式は、式の展開だけでなく、数の計算を楽にするためにも使える。

例:$47 \times 53$ を暗算で計算する

一見すると面倒な計算だが、よく見ると、

$$47 = 50 – 3, \quad 53 = 50 + 3$$

つまり、$(50-3)(50+3)$ の形である。これは $(a+b)(a-b)$ で $a=50$、$b=3$ の場合だ。

$$\begin{aligned} 47 \times 53 &= (50-3)(50+3) \\[8pt] &= 50^2 – 3^2 \\[8pt] &= 2500 – 9 \\[8pt] &= 2491 \end{aligned}$$

筆算するより、ずっと速く計算できた。

よくある間違いと対策

間違いの例 正しい答え 間違いの原因
$(x+3)(x-3) = x^2 + 9$ $x^2 – 9$ 符号を間違えている。結果は必ず「$-$」になる。
$(2x+5)(2x-5) = 2x^2 – 25$ $4x^2 – 25$ $(2x)^2$ を $2x^2$ としている。正しくは $4x^2$。
$(x+3)(x+3)$ に公式を使う 使えない 両方とも「$+$」なので、和と差の積ではない。

最も多い間違いは「$(2x)^2 = 2x^2$」である。必ず「$(2x)^2 = 4x^2$」と、係数けいすうも2乗することを忘れないこと。

公式の使い分け:他の乗法公式との比較

式を見たとき、まず「2つの括弧が同じかどうか」「符号だけ違うかどうか」をチェックしよう。

この単元のよくある質問

Q. なぜ結果が必ず「引き算」になるのですか?

A. 展開の途中で $+ab$ と $-ab$ が必ず出てきて、打ち消し合うからです。$(a+b)(a-b) = a^2 – ab + ab – b^2$ の $-ab$ と $+ab$ が消えて、$a^2 – b^2$ という引き算の形だけが残ります。

Q. $(a-b)(a+b)$ と $(a+b)(a-b)$ は同じ答えになりますか?

A. はい、同じです。かけ算の順番を入れ替えても結果は変わりません(交換法則)。どちらも $a^2 – b^2$ になります。

Q. $(x+3)(x+3)$ にこの公式は使えますか?

A. いいえ、使えません。$(x+3)(x+3)$ は両方とも「$+3$」なので、「和と差の積」ではありません。この場合は $(a+b)^2 = a^2 + 2ab + b^2$ の公式を使います。

練習問題

問1. 次の式を展開せよ。
$(x+5)(x-5)$
問2. 次の式を展開せよ。
$(3x+2)(3x-2)$
問3. $102 \times 98$ を乗法公式を使って計算せよ。

まとめ

この記事では、乗法公式 $(a+b)(a-b) = a^2 – b^2$ について学んだ。ポイントは以下の通りである。

  • 「和と差の積」とは、$(a+b)$ と $(a-b)$ の形のかけ算である
  • 展開すると $-ab$ と $+ab$ が打ち消し合い、$a^2 – b^2$ になる
  • $(2x)^2 = 4x^2$ のように、係数も忘れずに2乗する
  • 数の計算にも応用でき、暗算を楽にできる

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