「乗法公式って、結局どれを使えばいいかわからない」——そんな悩みを抱えていないだろうか。
公式を丸暗記したのに、テストになると手が止まる。似たような式がいくつもあって、どれがどれだかごちゃごちゃになる。これは公式を「形」で覚えようとしているからである。
実は、$(a+b)^2$ と $(a-b)^2$ の展開は、「なぜそうなるか」を理解すれば、暗記しなくても自分で導ける。この記事では、面積図を使って公式の意味を視覚的に理解し、迷わず使えるようになるまで解説する。
そもそも「展開」とは?
展開とは、括弧を外して、式をシンプルな形にすることである。
例えば、$3(x+2)$ を展開すると $3x + 6$ になる。これは分配法則を使っている。
分配法則とは、$a(b+c) = ab + ac$ のように、括弧の外の数を括弧の中の各項にかけることである。
では、$(a+b)^2$ はどうだろうか。これは $(a+b)(a+b)$ という意味である。つまり、$(a+b)$ を2回かけることになる。
$(a+b)^2$ を図で理解する
$(a+b)^2$ の意味を、面積で考えてみよう。「1辺が $(a+b)$ の正方形の面積」と考えることができる。
このように、$(a+b)^2$ の正方形を4つの部分に分けると、$a^2$、$ab$、$ab$、$b^2$ の4つになる。$ab$ が2つあるので、合計は次のようになる。
「2ab」の「2」は、長方形が2つあることを表している。これを忘れるミスが非常に多いので、面積図をイメージして覚えよう。
$(a-b)^2$ を図で理解する
次に $(a-b)^2$ を考えよう。これは「1辺が $(a-b)$ の正方形の面積」である。
ただし、引き算なので少し工夫が必要だ。「1辺が $a$ の正方形から、はみ出た部分を引く」と考える。
$(a-b)^2$ は、元の $a^2$ から $2ab$ を引いて、引きすぎた $b^2$ を足し戻すと考えることができる。
$(a+b)^2$ との違いは、真ん中の項の符号だけである。$+2ab$ が $-2ab$ になる。これは「$-b$ を2回かける」ことを意味している。
公式のまとめと覚え方
2つの公式を並べてみよう。
覚え方のコツ:
- 「二乗」「2倍」「二乗」の順番($a^2$、$2ab$、$b^2$)
- 真ん中の符号は、括弧の中の符号と同じ($+$ なら $+2ab$、$-$ なら $-2ab$)
- 両端の $a^2$ と $b^2$ は必ずプラス(二乗は常に正)
例題で手順を確認する
実際に公式を使って展開してみよう。
例題1:$(x+3)^2$ を展開せよ
公式 $(a+b)^2 = a^2 + 2ab + b^2$ を使う。
ここで $a = x$、$b = 3$ と対応させる。
公式に当てはめる。
$2ab$ の部分は「$2 \times x \times 3 = 6x$」と、順番に計算するとミスが減る。
例題2:$(y-5)^2$ を展開せよ
公式 $(a-b)^2 = a^2 – 2ab + b^2$ を使う。
ここで $a = y$、$b = 5$ と対応させる。
公式に当てはめる。
例題3:$(2a+b)^2$ を展開せよ
$a$ の係数が1以外の場合も、同じように当てはめる。
$(□+○)^2$ の形で、$□ = 2a$、$○ = b$ と見る。
公式に当てはめる。
$(2a)^2 = 2^2 \times a^2 = 4a^2$ である。係数も忘れずに二乗すること。
よくある間違いと対策
「2ab」の2を忘れる
❌ $(x+3)^2 = x^2 + 3x + 9$
✅ $(x+3)^2 = x^2 + 6x + 9$
対策:面積図をイメージし、「長方形が2つある」と覚える。
符号のミス
❌ $(x-3)^2 = x^2 + 6x + 9$
✅ $(x-3)^2 = x^2 – 6x + 9$
対策:真ん中の項の符号は、括弧の中の符号と同じ。両端は常にプラス。
係数の二乗忘れ
❌ $(3x+2)^2 = 3x^2 + 12x + 4$
✅ $(3x+2)^2 = 9x^2 + 12x + 4$
対策:$(3x)^2 = 9x^2$ のように、係数も含めて二乗する。
この単元のよくある質問
Q. $(a+b)^2$ を $(a+b)(a+b)$ と展開してはいけないのですか?
A. いけなくはありません。実際、$(a+b)(a+b) = a^2 + ab + ab + b^2 = a^2 + 2ab + b^2$ と計算できます。ただし、公式を使えば1ステップで答えが出るため、計算ミスが減り、時間も短縮できます。テストでは公式を使う方が有利です。
Q. なぜ $(a-b)^2$ の $b^2$ はプラスになるのですか?
A. $(-b) \times (-b) = b^2$ となるからです。マイナス同士をかけるとプラスになります。$(a-b)^2 = (a-b)(a-b)$ と展開すると、$(-b) \times (-b) = +b^2$ が含まれていることがわかります。
Q. 公式を忘れてしまったらどうすればいいですか?
A. $(a+b)(a+b)$ を普通に展開すれば導けます。$a \times a + a \times b + b \times a + b \times b = a^2 + 2ab + b^2$ となります。ただし時間がかかるので、普段から公式を使って練習しておくことが大切です。
練習問題
まとめ
この記事では、乗法公式 $(a+b)^2$ と $(a-b)^2$ の展開について学んだ。ポイントは以下の通りである。
- $(a+b)^2 = a^2 + 2ab + b^2$(真ん中はプラス)
- $(a-b)^2 = a^2 – 2ab + b^2$(真ん中はマイナス、両端はプラス)
- 「2ab」の「2」は、面積図で長方形が2つあることを意味する
- 係数がある場合も、まとめて二乗することを忘れない
公式は暗記するだけでなく、面積図でイメージできるようになると、間違えにくくなる。繰り返し練習して、手が勝手に動くようになるまで慣れよう。
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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