「速さの問題が出ると、何から手をつければいいかわからない」——そんな経験はないだろうか。
式を立てようとしても、どの数字をどこに当てはめればいいか迷う。グラフを描けと言われても、何を縦軸にすればいいのか混乱する。そうして時間だけが過ぎていく。
実は、速さ・時間・距離の問題は、「グラフの読み方」と「式の立て方」の2つのパターンを押さえるだけで、ほとんど解けるようになる。この記事では、1次関数を使った速さの問題を、図解とアニメーションで順を追って解説する。
速さ・時間・距離の関係を確認しよう
速さの問題を解く前に、基本の関係式を確認しておこう。
この式を変形すると、次の3つの公式が得られる。
傾きという言葉がこの後出てくるが、これは「1進んだときにどれだけ上がるか(または下がるか)」を表す数である。速さの問題では、傾きが速さに対応することが多い。
1次関数のグラフで「動き」を表す
速さの問題では、横軸を「時間」、縦軸を「距離」としてグラフを描くことが多い。
例えば、「分速60mで歩く人」を考えよう。出発してから $x$ 分後に進んだ距離を $y$ mとすると、次の式で表せる。
この式は1次関数であり、グラフは原点を通る直線になる。
グラフを見てみよう。
- 横軸(x軸)は「時間(分)」を表す
- 縦軸(y軸)は「距離(m)」を表す
- 5分後には300m、10分後には600m進んでいる
グラフの傾きは「5分で300m進む」つまり「1分で60m進む」ことを表している。これが分速60mという速さに対応する。
2人が出会う問題を解こう
ここから、実際の問題を解いてみよう。まずは「2人が出会う」パターンである。
A君は家から学校に向かって分速60mで歩き始めた。その4分後に、B君が学校から家に向かって分速80mで歩き始めた。家から学校までの距離は1000mである。2人が出会うのは、A君が出発してから何分後か。
グラフで状況を把握する
まず、A君とB君の動きをグラフで確認しよう。
グラフの見方を確認しよう。
- 赤い線(A君):原点(家)から右上に向かって伸びている。分速60mで進むので、傾きは60である。
- 青い線(B君):4分後に学校(1000m地点)を出発し、家に向かって進む。傾きは−80(マイナスは家に近づく向き)である。
- 緑の点:2人が出会う場所と時刻を表す。
式を立てて解く
それでは、式を立てて正確な時刻を求めよう。
A君が $x$ 分後に家から進んだ距離を $y$ mとすると
B君は4分後に出発するので、出発してからの時間は $(x – 4)$ 分である。
学校(1000m地点)から家に向かうので、家からの距離は
これを整理すると
2人が出会うとき、家からの距離が等しいので
この方程式を解く。
A君が出発してから $\displaystyle 9\frac{3}{7}$ 分後に出会う。
追いつく問題を解こう
次に「追いつく」パターンを見てみよう。
弟が家を出発して分速50mで歩き始めた。その6分後に、兄が家を出発して分速80mで弟を追いかけた。兄が弟に追いつくのは、弟が出発してから何分後か。
グラフで状況を把握する
グラフのポイントは次の通りである。
- 弟は原点から出発し、傾き50の直線を描く
- 兄は6分後に出発するので、点(6, 0)から傾き80の直線を描く
- 傾きが大きい(速い)ほど、グラフは急になる
- 追いつく点は、2つのグラフの交点である
式を立てて解く
弟が $x$ 分後に家から進んだ距離を $y$ mとすると
兄は6分後に出発するので、出発してからの時間は $(x – 6)$ 分である。
追いつくとき、家からの距離が等しいので
方程式を解く。
弟が出発してから 16分後 に追いつく。
問題を解くための3ステップ
速さの問題は、次の3ステップで考えるとよい。
変数を決める
「基準となる人が出発してから $x$ 分後」を時間の変数にする。
家(または基準点)からの距離を $y$ mとする。
それぞれの式を立てる
各人物について「$y = $ (速さ)$\times$(時間)$+$(初期位置)」の形で式を立てる。
遅れて出発する人は $(x – $ 遅れ時間$)$ を時間に使う。
逆方向に進む人は、速さにマイナスをつける。
条件に合わせて方程式を立てる
- 「出会う」「追いつく」→ 2人の $y$ が等しい
- 「○○m離れる」→ 2人の $y$ の差が○○
よくある間違いと対策
遅れて出発する人の時間を間違える
6分遅れで出発する人の式を $y = 80x$ としてしまう。
→ 正しくは $y = 80(x – 6)$ である。出発してからの時間は $(x – 6)$ 分だからである。
向きを考えない
反対方向に進む人も同じ符号で式を立ててしまう。
→ 基準点から離れる向きをプラス、近づく向きをマイナスと統一する。
答えの確認をしない
→ 求めた時刻を式に代入して、確かに出会う(追いつく)ことを確認しよう。
この単元のよくある質問
Q. グラフの傾きと速さの関係がわかりません。
A. グラフの傾きは「1分あたりに進む距離」を表す。つまり、傾きの値がそのまま分速(m/分)になる。傾きが大きいほど速く、グラフは急になる。
Q. 「出会う」と「追いつく」の違いは何ですか?
A. 「出会う」は反対方向から進んできた2人がすれ違うこと。「追いつく」は同じ方向に進んでいて、後から出発した人(または速い人)が先に出発した人(または遅い人)に並ぶことである。どちらもグラフでは2つの直線の交点として現れる。
Q. 式を立てるとき、どちらを基準にすればよいですか?
A. 基本的には「最初に出発した人が出発してからの時間」を $x$ とするとよい。そうすると、遅れて出発した人の式で $(x – $ 遅れ時間$)$ を使うだけで済む。
練習問題
まとめ
この記事では、1次関数を使った速さ・時間・距離の問題について学んだ。ポイントは以下の通りである。
- グラフの横軸は時間、縦軸は距離にする
- グラフの傾きが速さを表す
- 遅れて出発する人は $(x – $ 遅れ時間$)$ を時間に使う
- 「出会う」「追いつく」はグラフの交点で、式を等しいとおいて解く
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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