「傾きも切片もわからない。でも2点の座標だけは与えられている」——こんな問題で手が止まったことはないだろうか。
1点と傾きがわかれば式は作れる。でも2点しかないとき、どこから手をつければいいのか迷ってしまう。そんな声をよく聞く。
実は、2点の座標があれば連立方程式を使って、傾き $a$ と切片 $b$ の両方を求められる。特別な公式を覚える必要はない。この記事では、2点から1次関数の式を求める手順を、途中式を省略せずに解説する。
そもそも「2点から式を求める」とは?
1次関数の式は $y = ax + b$ という形である。この式を決めるには、$a$(傾き)と $b$(切片)の2つの値が必要になる。
傾き $a$ とは、$x$ が1増えたときに $y$ がどれだけ変化するかを表す数である。切片 $b$ とは、グラフが $y$ 軸と交わる点の $y$ 座標である。
2つの点がグラフ上にあるということは、その点の座標を $y = ax + b$ に代入すると等式が成り立つ、ということである。
例えば、点 $(1, 3)$ がグラフ上にあるなら、$x = 1$、$y = 3$ を代入して
つまり $a + b = 3$ という式が得られる。
2点あれば、このような式が2つできる。未知数が2つ($a$ と $b$)、式も2つ。これは連立方程式で解ける状態である。
2点から式を求める流れを図で理解する
アニメーションを見てほしい。2点 $(1, 3)$ と $(4, 9)$ がグラフ上にあるとき、それぞれの座標を $y = ax + b$ に代入すると、2つの式ができる。この2つの式を連立方程式として解けば、$a$ と $b$ が求まる仕組みである。
2点から式を求める手順
具体的な手順を、例題を使って確認しよう。
例題:2点 $(1, 3)$、$(4, 9)$ を通る直線の式を求めよ。
2点の座標を $y = ax + b$ に代入する
点 $(1, 3)$ を代入:
整理すると:
点 $(4, 9)$ を代入:
整理すると:
連立方程式を解く
② − ① を計算して $b$ を消去する:
もう一方の文字を求める
$a = 2$ を ① に代入:
式を完成させる
$a = 2$、$b = 1$ を $y = ax + b$ に代入:
これが答えである。
「傾きの公式」を使う別解
2点から傾きを先に求める方法もある。傾き $a$ は「$y$ の増加量 ÷ $x$ の増加量」で計算できる。
この公式は「変化の割合」と同じである。$x$ が増えた分だけ $y$ がどれだけ増えたかを計算している。
2点 $(1, 3)$、$(4, 9)$ の場合:
傾きが $a = 2$ とわかったら、どちらか1点の座標を使って $b$ を求める。点 $(1, 3)$ を使うと:
よって $y = 2x + 1$ となる。どちらの方法でも同じ答えが得られる。
2つの方法の比較
どちらの方法を使っても構わない。連立方程式に慣れているなら方法①、傾きの公式を覚えているなら方法②が速い。テストでは使いやすい方を選ぼう。
よくある間違いと対策
$x$ と $y$ を逆に代入する
点 $(1, 3)$ を代入するとき、$x = 3$、$y = 1$ としてしまうミス。
対策:座標は必ず $(x, y)$ の順。「横、縦」と覚えておく。
引き算の順番を間違える
傾きの公式で $\dfrac{y_1 – y_2}{x_1 – x_2}$ と $\dfrac{y_2 – y_1}{x_2 – x_1}$ を混ぜてしまう。
対策:分子と分母で「引く順番」を揃える。$(4, 9)$ から $(1, 3)$ を引くなら、分子も分母も「後 − 先」で統一する。
連立方程式の計算ミス
② − ① を計算するとき、符号を間違える。
対策:引き算するときは、すべての項の符号を確認。不安なら加減法ではなく代入法を使う。
この単元のよくある質問
Q. 2点のどちらを先に代入しても答えは同じですか?
A. 同じである。どちらの点を先に代入しても、最終的に得られる $a$ と $b$ の値は変わらない。計算しやすい方を先に使えばよい。
Q. 傾きがマイナスになることもありますか?
A. ある。右下がりのグラフは傾きがマイナスになる。例えば $(1, 5)$ と $(3, 1)$ を通る直線の傾きは $\dfrac{1-5}{3-1} = \dfrac{-4}{2} = -2$ である。
Q. 2点の $x$ 座標が同じ場合はどうなりますか?
A. その場合は1次関数ではなく、$y$ 軸に平行な直線($x = k$ の形)になる。1次関数 $y = ax + b$ の形では表せないので、問題として出題されることは少ない。
練習問題
まとめ
この記事では、2点の座標から1次関数の式を求める方法を学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 2点を $y = ax + b$ に代入すると、$a$ と $b$ についての式が2つできる
- その2つの式を連立方程式として解けば、$a$ と $b$ が求まる
- 傾きの公式 $a = \dfrac{y_2 – y_1}{x_2 – x_1}$ を使う方法もある
- $x$ と $y$ を逆に代入しないよう注意する
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