「傾きはわかっている。通る点もわかっている。なのに式が書けない」——そんな経験はないだろうか。
テストで「傾きが2で、点(3, 5)を通る直線の式を求めよ」という問題が出たとき、何から手をつければいいかわからず手が止まってしまう。公式を覚えたはずなのに、いざ使おうとすると混乱する。
実は、つまずきの原因は「手順」が整理できていないだけである。この記事では、傾きと1点がわかっているときの式の求め方を、迷わず手が動くようになるまで徹底的に解説する。
そもそも1次関数の式とは?
1次関数の式は、次の形で表される。
この式に登場する文字の意味を確認しよう。
傾きとは、$x$ が1増えるときに $y$ がどれだけ変化するかを表す数である。式では $a$ の部分にあたる。
切片とは、グラフが $y$ 軸と交わる点の $y$ 座標である。式では $b$ の部分にあたる。
つまり、1次関数の式を求めるとは、$a$ と $b$ の値を特定することである。
今回のテーマ「傾きと1点から求める」では、傾き $a$ はすでに与えられている。したがって、切片 $b$ を求めるだけで式が完成する。
式の求め方を図で理解する
傾きと1点から式を求める流れを、図で確認しよう。
アニメーションの流れを確認しよう。
- 与えられた点(3, 5)をプロット——この点を直線が必ず通る
- 傾き2を確認——$x$ が1増えると $y$ が2増える
- 傾き2の直線を引く——点(3, 5)を通るように
- $y$ 軸との交点を読み取る——これが切片 $b$
- 式が完成——$y = 2x – 1$
図から読み取る方法も有効だが、計算で正確に求める方法をマスターしよう。
式を求める手順
傾きと1点がわかっているときの式の求め方は、次の3ステップである。
$y = ax + b$ に傾き $a$ を代入する
傾きがわかっているので、まず $a$ の部分を埋める。
通る点の座標 $(x, y)$ を代入する
直線がその点を通るということは、その $x$ と $y$ の値が式を満たすということである。
$b$ について解く
代入後の式を整理して、$b$ の値を求める。
例題で手順を確認する
例題1
傾きが2で、点(3, 5)を通る直線の式を求めよ。
手順に沿って解いていこう。
ステップ1:傾きを代入する
傾き $a = 2$ を $y = ax + b$ に代入する。
ステップ2:通る点の座標を代入する
点(3, 5)を通るので、$x = 3$、$y = 5$ を代入する。
ステップ3:$b$ について解く
答え
$b = -1$ を式に戻すと、求める式は次のようになる。
例題2
傾きが $-3$ で、点(2, 1)を通る直線の式を求めよ。
ステップ1:傾きを代入する
ステップ2:通る点の座標を代入する
点(2, 1)を通るので、$x = 2$、$y = 1$ を代入する。
ステップ3:$b$ について解く
答え
例題3(分数の傾き)
傾きが $\dfrac{1}{2}$ で、点(4, 5)を通る直線の式を求めよ。
ステップ1:傾きを代入する
ステップ2:通る点の座標を代入する
点(4, 5)を通るので、$x = 4$、$y = 5$ を代入する。
ステップ3:$b$ について解く
答え
よくある間違いと対策
式を求めるときに、多くの人がつまずくポイントを確認しよう。
間違い1:$x$ と $y$ を逆に代入する
点(3, 5)のとき、$x = 5$、$y = 3$ と代入してしまう間違いが多い。
座標は必ず $(x, y)$ の順番で書かれている。カッコの中の左が $x$、右が $y$ と覚えよう。
間違い2:符号のミス
傾きがマイナスのとき、計算で符号を間違えやすい。
例:$1 = -3 \times 2 + b$ のとき、右辺を $1 = 6 + b$ としてしまう。
マイナス × プラス = マイナス である。$-3 \times 2 = -6$ と確実に計算しよう。
間違い3:$b$ の符号を式に書くときのミス
$b = -1$ と求めたのに、答えを $y = 2x + -1$ と書いてしまう。
$b$ がマイナスのときは $y = 2x – 1$ と書く。$+ -$ と続けて書かないこと。
よくある質問と答え
Q. なぜ通る点の座標を代入するとうまくいくのですか?
A. 直線の式 $y = ax + b$ は、「直線上のすべての点が満たす関係」を表している。つまり、直線上の点であれば、その $x$ 座標と $y$ 座標を式に代入したとき、等式が成り立つ。逆に言えば、通る点の座標を代入すれば、未知の $b$ を求める方程式ができあがる。
Q. 傾きが分数のときも同じ手順でいいですか?
A. まったく同じ手順でよい。傾きが $\dfrac{1}{2}$ でも $\dfrac{2}{3}$ でも、ステップ1で傾きを代入し、ステップ2で点を代入し、ステップ3で $b$ を求める。分数の計算に注意すれば、整数のときと変わらない。
Q. 切片 $b$ が0になることはありますか?
A. ある。例えば、傾きが2で点(1, 2)を通る直線を考えると、$2 = 2 \times 1 + b$ より $b = 0$ となる。このとき式は $y = 2x$ となり、原点を通る直線になる。
練習問題
まとめ
この記事では、傾きと1点から1次関数の式を求める方法を学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 1次関数の式 $y = ax + b$ を完成させるには、傾き $a$ と切片 $b$ を特定する
- 傾きが与えられているときは、$b$ だけを求めればよい
- 手順は3ステップ:①傾きを代入 → ②通る点を代入 → ③ $b$ について解く
- 座標の代入では、左が $x$、右が $y$ の順番を守ること
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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