「空間図形の表面を通る最短距離を求めよ」という問題を見て、どこから手をつけていいかわからなくなったことはないだろうか。
立体の表面を這うように進む最短ルートなど、頭の中で想像しようとしても無理がある。図を描いてみても、曲がった面の上では直線が引けない。結局、何をどうすればいいのか見当もつかない——そんな経験をした人は多いはずだ。
実は、この問題には「展開図を描く」というたった一つの突破口がある。立体を平面に広げてしまえば、2点間の最短距離は単なる直線になる。この記事では、展開図を使った最短距離の求め方を、具体例とともに順を追って解説する。
そもそも「空間図形の最短距離」とは?
空間図形の最短距離問題とは、立体の表面上を通って、ある点から別の点まで行くときの最短ルートの長さを求める問題である。
表面上を通るとは、立体の内部を突き抜けずに、外側の面だけを移動することを意味する。例えば、円柱の側面をぐるりと回るような経路である。
ここで重要なのは、空中を飛ぶ直線距離とは違うということだ。2点間を空中で結べば一番短いが、この問題では表面に沿って移動しなければならない。
具体的には、次のような状況を考える。
- 直方体の1つの頂点から、反対側の頂点まで表面を通って移動する
- 円柱の底面の点から、側面を通って反対側の底面の点まで移動する
- 円錐の底面の点から、側面を通って別の点まで移動する
これらすべてに共通する解法が「展開図を使う」方法である。
なぜ展開図を使うのか?
立体の表面を通る最短距離を求めるとき、なぜ展開図が有効なのだろうか。
その理由は、平面上の2点間の最短距離は直線であるという、誰もが知っている事実にある。
立体のままでは、面が折れ曲がっていたり、曲がっていたりして、最短ルートがどこを通るのか想像しにくい。しかし、展開図にして平面に広げてしまえば、2点を直線で結ぶだけで最短距離がわかる。
上の図で示したように、立体のままでは「どこを通るのが最短か」がわからない。しかし、展開図に広げてしまえば、AとBを直線で結ぶだけで最短距離が求まる。
展開図を描くときのポイントは、通りたい面をつなげて広げることである。2点が異なる面にある場合、その2つの面を含むように展開図を描く必要がある。
展開図を使った最短距離の求め方
最短距離を求めたい2点が、それぞれ立体のどの面にあるかを確認する。
2点が同じ平面上に来るように、立体を展開する。必要な面だけを広げればよい。
展開図上で2点を直線で結ぶ。この直線の長さが最短距離である。
展開図上の直線の長さを、座標や三平方の定理を使って計算する。
例題1:直方体の最短距離
具体的な問題で練習しよう。
解き方
頂点Aは底面にあり、頂点Gは上面にある。AからGへ行くには、側面を通る必要がある。
展開図の描き方にはいくつかのパターンがあるが、ここでは前面と右側面をつなげて広げる方法を使う。
$\sqrt{97}$ はこれ以上簡単にならないので、このままが答えである。$\sqrt{97} \fallingdotseq 9.85$ cmだが、正確な値を聞かれたら $\sqrt{97}$ cmと答える。
展開図の描き方は複数ある
ここで重要な注意点がある。展開図の描き方は1通りではない。
先ほどの直方体の例では「前面→右側面」とつなげたが、「前面→上面」や「左側面→上面」など、別の広げ方も考えられる。
それぞれの広げ方で最短距離の候補が出てくるので、すべてのパターンを計算して、最も短いものを答える必要がある。
このように、同じ問題でも展開図の描き方によって距離が変わる。パターン2の $\sqrt{85}$ が最も小さいので、これが正解となる。
すべてのパターンを試す必要があるが、経験を積むとどのパターンが最短になりやすいか見当がつくようになる。基本的には「斜めの傾きが45°に近いほど短い」と覚えておこう。
例題2:円柱の最短距離
円柱の場合も考え方は同じである。
解き方
円柱の側面を展開すると、長方形になる。横の長さは底面の円周に等しく、$2\pi \times 3 = 6\pi$ cmである。
この問題では、AとBが「真上・真下」の関係にある。展開図を描くと、AとBは長方形の同じ縦のライン上に並ぶ。したがって、最短距離は単純に高さの $4$ cmとなる。
もしAとBが「真上・真下」ではなく、円周上で離れた位置にある場合は、展開図上でAとBを結ぶ直線を引き、三平方の定理で長さを計算する。
例題3:円錐の最短距離
円錐は展開図が扇形になるため、少し複雑になる。
解き方
円錐の側面を展開すると、半径が母線の長さ($6$ cm)である扇形になる。
扇形の中心角は、次の式で求まる。
ラジアンとは角度の別の表し方で、$\pi$ ラジアン $= 180°$ である。中学では「$180°$」と覚えておけば十分だ。
中心角が $180°$ ということは、展開図は半円になる。点Aと点A’(一周して戻ってきたA)は、半円の直径の両端に位置する。
したがって、最短距離は直径の長さと等しく、
よくある間違いと対策
直方体などでは、展開図の描き方によって最短距離の候補が変わる。必ず複数のパターンを試し、最も短いものを選ぶこと。
円柱の側面を展開したときの横幅は「底面の円周」$= 2\pi r$ である。直径 $2r$ と混同しないように注意。
円錐の展開図の中心角は「底面の円周 ÷ 母線」で求まる。この計算を忘れて適当に描くと、正しい答えが出ない。
この単元のよくある質問
Q. なぜ展開図を使うと最短距離がわかるのですか?
A. 平面上では2点間の最短距離は直線である。立体の表面を平面に広げることで、曲がった面の上でも最短ルートを直線として捉えられるようになる。
Q. 展開図を複数描いたとき、どれが正解になりますか?
A. 複数の展開図それぞれで最短距離の候補を計算し、その中で最も短いものが正解となる。1つのパターンだけで判断せず、必ず比較すること。
Q. 円錐の展開図で中心角がわからなくなったらどうすればいいですか?
A. 中心角(ラジアン)= 底面の円周 ÷ 母線 で求まる。度数法に直すには、この値に $\dfrac{180}{\pi}$ をかける。例えば、結果が $\pi$ なら $180°$、$\dfrac{\pi}{2}$ なら $90°$ となる。
練習問題
まとめ
この記事では、空間図形の表面を通る最短距離の求め方を学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 立体の表面を通る最短距離は、展開図を描いて直線で結ぶことで求まる
- 直方体では複数の展開パターンを試し、最短のものを選ぶ
- 円柱の側面は長方形に、円錐の側面は扇形に展開される
- 展開図上で2点を結んだら、三平方の定理で長さを計算する
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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