角錐の体積を求める問題で、「高さがわからない」と手が止まった経験はないだろうか。
底面の形や斜辺の長さは与えられているのに、肝心の高さが書いていない。公式は知っているのに使えない——そんなもどかしさを感じている人は多い。
実は、角錐の高さは三平方の定理を使えば必ず求められる。この記事では、高さを求める手順と体積計算までを、図解とアニメーションで順を追って解説する。
そもそも角錐とは?
角錐とは、底面が多角形で、頂点が1つに集まっている立体である。底面が三角形なら三角錐、四角形なら四角錐と呼ぶ。
「錐」という字は「きり(穴をあける道具)」を意味する。先がとがった形をしているから、この名前がついている。
角錐の体積を求める公式は次の通りである。
角柱の体積が「底面積 × 高さ」であるのに対し、角錐は $\dfrac{1}{3}$ をかける。同じ底面と高さなら、角錐は角柱の3分の1の体積になる。
この公式を使うには、高さが必要である。しかし問題では、高さが直接与えられないことが多い。そこで三平方の定理を使う。
角錐の高さを図で理解する
四角錐を例に、高さがどこにあるかを確認しよう。
上の図で赤い線が「高さ $h$」である。高さとは、頂点Oから底面に垂直に下ろした線の長さのことである。
底面が正方形や長方形の場合、高さの足H(垂線の足)は対角線の交点になる。底面が正三角形の場合は、重心の位置になる。
高さを求める手順
角錐の高さを求めるには、三平方の定理を使う。具体的な例題で手順を確認しよう。
例題
底面が1辺6cmの正方形、側面の稜(頂点から底面の頂点までの辺)の長さがすべて7cmである四角錐の高さと体積を求めよ。
稜とは、立体の辺のことである。この問題では、頂点Oから底面の各頂点A, B, C, Dまでの長さが全て7cmということである。
直角三角形を見つける
頂点O、高さの足H、底面の頂点Aを結ぶと、直角三角形OHAができる。
∠OHA = 90°(高さは底面に垂直)
AHの長さを求める
底面は1辺6cmの正方形なので、対角線ACの長さを求める。
Hは対角線の交点(中点)なので、
三平方の定理で高さを求める
直角三角形OHAにおいて、
- OA = 7cm(稜の長さ)
- AH = $3\sqrt{2}$ cm
- OH = $h$(求める高さ)
三平方の定理より、
体積を計算する
底面積は $6 \times 6 = 36$ cm²
手順の整理
角錐の高さと体積を求める手順をまとめると、次のようになる。
高さの足の位置を確認する
正四角錐 → 対角線の交点
正三角錐 → 重心
「底面の頂点」「高さの足」「角錐の頂点」で直角三角形を作る
底面内の距離(AHなど)を計算する
対角線の長さや、重心までの距離を求める
三平方の定理で高さを求める
$(\text{稜})^2 = (\text{高さ})^2 + (\text{底面内の距離})^2$
体積の公式に代入する
$V = \dfrac{1}{3} \times \text{底面積} \times \text{高さ}$
よくある間違いと対策
角錐の高さを求める際に、多くの人がつまずくポイントを確認しておこう。
間違い①:稜の長さを高さだと思ってしまう
稜(OAなど)と高さ(OH)は違う。稜は斜めの辺であり、高さは底面に垂直な線である。
「高さ」という言葉が出てきたら、必ず「底面に垂直」であることを意識しよう。
間違い②:AHの長さを「底面の1辺÷2」と計算してしまう
AHは対角線ACの半分であって、底面の1辺の半分ではない。
1辺が $a$ の正方形の場合、
- 対角線の長さ:$a\sqrt{2}$
- AH(対角線の半分):$\dfrac{a\sqrt{2}}{2}$
間違い③:体積の公式で $\dfrac{1}{3}$ を忘れる
角柱は「底面積 × 高さ」だが、角錐は必ず $\dfrac{1}{3}$ をかける。
「錐」がついたら $\dfrac{1}{3}$、「柱」なら $\dfrac{1}{3}$ は不要。この区別を覚えておこう。
この単元のよくある質問
Q. 高さの足Hが底面の中心にならない場合はあるか?
A. ある。底面が正多角形で、かつすべての稜の長さが等しい「正角錐」の場合のみ、Hは底面の中心になる。そうでない角錐では、Hの位置は問題文から読み取る必要がある。
Q. 三角錐のときは、どうやってAHの長さを求めるのか?
A. 底面が正三角形の場合、Hは重心の位置になる。正三角形の1辺を $a$ とすると、頂点から重心までの距離は $\dfrac{a}{\sqrt{3}} = \dfrac{a\sqrt{3}}{3}$ である。
Q. 体積の答えに√が残っても良いのか?
A. 良い。$12\sqrt{31}$ cm³ のように、ルートのままで答えることが多い。問題文に「小数で答えよ」などの指示がない限り、無理に計算する必要はない。
練習問題
まとめ
この記事では、角錐の高さを三平方の定理で求め、体積を計算する方法を学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 角錐の体積 = $\dfrac{1}{3}$ × 底面積 × 高さ
- 高さを求めるには、「頂点」「高さの足」「底面の頂点」で直角三角形を作る
- 底面内の距離(対角線の半分など)を正しく求めることが重要
- 「錐」がついたら必ず $\dfrac{1}{3}$ をかける
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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