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【平面図形】三平方の定理と空間図形|立体への応用【中3数学】【応用】

「三平方の定理は使えるけど、立体になると途端にわからなくなる」——そう感じたことはないだろうか。

直方体の対角線や、円錐の母線の長さを求める問題で手が止まってしまう。図が複雑に見えて、どこに三平方の定理を使えばいいのかわからない。

実は、空間図形の問題も「平面を切り出す」というたった一つのコツがわかれば、今まで通りの三平方の定理で解ける。この記事では、立体図形への三平方の定理の応用方法を、ステップごとに図解で解説する。

対象:中学3年 所要時間:約15分
目次

そもそも空間図形への応用とは?

三平方の定理は、直角三角形の3辺の関係を表す公式である。

$$a^2 + b^2 = c^2$$

三平方の定理さんへいほうのていりとは、直角三角形において「直角をはさむ2辺の2乗の和」が「斜辺しゃへんの2乗」に等しいという関係である。

この定理は平面上の直角三角形だけでなく、立体の中に隠れている直角三角形にも使える。

空間図形の問題で求めるものは、主に次の3つである。

  • 直方体の対角線:箱の中を斜めに貫く線の長さ
  • 円錐・角錐の高さ:底面から頂点までの垂直距離
  • 円錐の母線:底円の周上の点から頂点までの長さ

これらはすべて、「立体の中から直角三角形を見つけ出す」ことで解ける。

空間図形の攻略法:平面を切り出す

立体を見て混乱するのは、3次元のまま考えようとするからである。

解決策はシンプル:立体を切って、断面を取り出す。

断面は2次元の平面図形になる。その中に直角三角形があれば、三平方の定理が使える。

上の図では、直方体の対角線を含む断面を取り出している。断面は長方形になり、その対角線が直方体の対角線である。長方形の対角線を求めるには、三平方の定理を使えばよい。

パターン①:直方体の対角線

直方体の対角線とは、向かい合う頂点を結ぶ線分のことである。

対角線たいかくせんとは、多角形や立体において、隣り合わない頂点どうしを結ぶ線分のことである。

縦 $a$、横 $b$、高さ $c$ の直方体の対角線の長さを $l$ とすると、次の公式が成り立つ。

$$l = \sqrt{a^2 + b^2 + c^2}$$

この公式がなぜ成り立つのか、図で確認しよう。

直方体の対角線:考え方

1

底面の対角線を求める

底面は長方形である。縦 $a$、横 $b$ の長方形の対角線 $d$ は、三平方の定理より

$$d^2 = a^2 + b^2$$
2

立体の対角線を求める

底面の対角線 $d$ と高さ $c$ を2辺とする直角三角形ができる。この斜辺が立体の対角線 $l$ である。

$$l^2 = d^2 + c^2$$
3

2つの式を合わせる

$d^2 = a^2 + b^2$ を代入すると

$$l^2 = a^2 + b^2 + c^2$$

したがって

$$l = \sqrt{a^2 + b^2 + c^2}$$

例題:直方体の対角線

問題:縦3cm、横4cm、高さ5cmの直方体の対角線の長さを求めよ。

$$\begin{aligned} l &= \sqrt{a^2 + b^2 + c^2} \\[8pt] &= \sqrt{3^2 + 4^2 + 5^2} \\[8pt] &= \sqrt{9 + 16 + 25} \\[8pt] &= \sqrt{50} \\[8pt] &= \sqrt{25 \times 2} \\[8pt] &= 5\sqrt{2} \text{ cm} \end{aligned}$$

答えを簡単にするため、$\sqrt{50}$ を $5\sqrt{2}$ に変形した。$50 = 25 \times 2$ と分解し、$\sqrt{25} = 5$ を外に出す。

パターン②:円錐の母線・高さ・底面の半径

円錐えんすいは、「母線」「高さ」「底面の半径」の3つの長さが直角三角形を作る。

母線ぼせんとは、円錐の頂点から底面の円周上の点までを結ぶ線分のことである。円錐の側面を作る線と考えるとよい。

円錐の公式は次の通りである。

$$l^2 = h^2 + r^2$$
  • $l$:母線の長さ
  • $h$:高さ
  • $r$:底面の半径

3つのうち2つがわかれば、残りの1つが求まる。

例題:円錐の高さを求める

問題:母線の長さが10cm、底面の半径が6cmの円錐の高さを求めよ。

$$\begin{aligned} l^2 &= h^2 + r^2 \\[8pt] 10^2 &= h^2 + 6^2 \\[8pt] 100 &= h^2 + 36 \\[8pt] h^2 &= 100 – 36 \\[8pt] h^2 &= 64 \\[8pt] h &= 8 \text{ cm} \end{aligned}$$

$h^2 = 64$ より $h = \pm 8$ だが、長さは正なので $h = 8$ となる。

パターン③:角錐の高さ

角錐かくすいでも、頂点から底面に垂線を下ろすと直角三角形ができる。

正四角錐(底面が正方形、頂点が底面の真上にある角錐)を例に考えよう。

角錐の高さを求める手順

1

どこに直角三角形があるか確認する

頂点Oから底面に垂線OHを下ろす。Hは底面の中心(正四角錐の場合、対角線の交点)である。

2

直角三角形の3辺を特定する

  • OH:角錐の高さ(求めるもの)
  • HM:底面の中心から辺の中点までの長さ
  • OM:頂点から辺の中点までの長さ(問題で与えられることが多い)
3

三平方の定理を適用する

$$OM^2 = OH^2 + HM^2$$

例題:正四角錐の高さ

問題:底面の1辺が6cm、側面の二等辺三角形の等辺が5cmの正四角錐の高さを求めよ。

考え方:底面の中心Hから辺ABの中点Mまでの距離は、1辺の半分で $3$ cm。頂点Oから中点Mまでの距離は $5$ cm(側面の二等辺三角形の高さではなく、斜辺)。

$$\begin{aligned} OM^2 &= OH^2 + HM^2 \\[8pt] 5^2 &= OH^2 + 3^2 \\[8pt] 25 &= OH^2 + 9 \\[8pt] OH^2 &= 25 – 9 \\[8pt] OH^2 &= 16 \\[8pt] OH &= 4 \text{ cm} \end{aligned}$$

答え:4 cm

よくある間違いと対策

1

直方体で「底面の対角線」を忘れる

直方体の対角線は、2段階で求める。底面の対角線 → 立体の対角線。いきなり $l^2 = a^2 + b^2 + c^2$ を使うと、途中経過がわからなくなる。

対策:底面に補助線を引いて、2つの直角三角形を意識する。

2

円錐で「母線」と「高さ」を混同する

母線は斜めの線、高さは垂直な線である。図を描いて確認すること。

対策:円錐を縦に切った断面を描き、直角三角形の辺にラベルを付ける。

3

角錐の「底面の中心」がどこかわからない

正四角錐なら対角線の交点、正三角錐なら重心じゅうしんである。

対策:「正」がつく角錐は、底面の中心の真上に頂点がある。底面の図形ごとに中心の位置を覚えておく。

この単元のよくある質問

Q. なぜ空間図形で三平方の定理が使えるのですか?

A. 三平方の定理は「直角三角形の3辺の関係」を表す公式である。空間図形の中にも直角三角形は存在する。立体を適切な平面で切ると、断面に直角三角形が現れるため、三平方の定理が適用できる。

Q. 直方体の対角線の公式 $l = \sqrt{a^2 + b^2 + c^2}$ を丸暗記してもいいですか?

A. 公式として覚えてもよいが、導出過程を理解しておくことを勧める。「底面の対角線 → 立体の対角線」の2段階で考えれば、どの立体でも応用が利く。暗記に頼ると、少し形が変わった問題で対応できなくなる。

Q. 円錐の母線の長さを求める問題と、高さを求める問題の違いは何ですか?

A. どちらも同じ直角三角形(母線・高さ・半径)を使う。違いは「どの辺が未知数か」だけである。$l^2 = h^2 + r^2$ の式を使い、わかっている2辺から残りの1辺を求める。問題文をよく読んで、何が与えられていて何を求めるのか確認すること。

練習問題

問1. 縦2cm、横3cm、高さ6cmの直方体の対角線の長さを求めよ。
問2. 母線の長さが13cm、高さが12cmの円錐がある。底面の半径を求めよ。
問3. 底面の1辺が8cm、側面の二等辺三角形の等辺が$\sqrt{41}$ cmの正四角錐の高さを求めよ。

まとめ

この記事では、三平方の定理を空間図形に応用する方法を学んだ。ポイントは以下の通りである。

  • 空間図形は「平面を切り出す」ことで、直角三角形を見つける
  • 直方体の対角線は $l = \sqrt{a^2 + b^2 + c^2}$(2段階で導出)
  • 円錐・角錐は、頂点から底面に垂線を下ろして直角三角形を作る
  • 問題で与えられた情報から、直角三角形の3辺のうち2辺を特定し、残り1辺を求める

Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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