「円と三平方の定理を組み合わせろ」と言われても、どこに直角三角形を作ればいいかわからない。そんな経験はないだろうか。
円の問題で弦の長さや接線の長さを求めるとき、多くの人が「図のどこを見ればいいのか」で迷ってしまう。公式を暗記しても、実際の問題では使いどころがわからないのである。
実は、円の問題には「ここに補助線を引けば直角三角形ができる」という決まったパターンがある。この記事では、弦と接線それぞれについて、補助線の引き方から三平方の定理の使い方まで、図解とアニメーションで順を追って解説する。
そもそも弦・接線と三平方の定理の関係とは?
まず、弦と接線の定義を確認しよう。
弦とは、円周上の2点を結ぶ線分のことである。円の内側を通る直線の「切り取られた部分」と考えてもよい。
接線とは、円とちょうど1点だけで交わる直線のことである。その交わる点を接点という。
では、なぜこれらの問題で三平方の定理を使うのか。それは、次の2つの性質が「直角」を生み出すからである。
| 場面 | 性質 | 直角の位置 |
|---|---|---|
| 弦 | 弦の垂直二等分線は中心を通る | 弦と垂直二等分線の交点 |
| 接線 | 接線は接点を通る半径と垂直 | 接点 |
この「直角」があるおかげで、直角三角形を作ることができ、三平方の定理が使えるのである。
弦の長さを求める方法を図で理解する
弦の長さを求めるときの基本図形を見てみよう。中心Oから弦ABに垂線を下ろすと、その垂線は弦を二等分する。
図のポイントを整理しよう。
- 中心Oから弦ABに垂線OMを下ろす
- Mは弦ABの中点になる(垂直二等分線の性質)
- 直角三角形OAMができる
- OA = 半径 $r$、OM = 中心から弦までの距離 $h$、AM = 弦の半分 $\dfrac{a}{2}$
この直角三角形に三平方の定理を適用すると、次の関係が成り立つ。
これを変形すると、弦の長さ $a$ は次のように求められる。
弦の長さを求める手順
中心Oから弦に垂線を引き、垂線の足をMとする。
中心Oと弦の端点Aを結び、直角三角形OAMを作る。
三平方の定理より $r^2 = h^2 + \text{AM}^2$ を立てる。
AMを求め、弦の長さ $= 2 \times \text{AM}$ で計算する。
【例題1】弦の長さを求める
半径 $10$ cmの円で、中心から弦までの距離が $6$ cmのとき、弦の長さを求めよ。
【解答】
中心Oから弦ABに垂線OMを引く。Mは弦の中点である。
直角三角形OAMで三平方の定理を使う。
弦ABの長さは、AMの2倍なので
「半径」「中心からの距離」「弦の半分」の3つで直角三角形を作るのがポイントである。
接線の長さを求める方法を図で理解する
次に、接線の長さについて考えよう。円の外部の点Pから円に接線を引くとき、接点をTとすると、PT の長さを「接線の長さ」という。
図のポイントを整理しよう。
- 接線PTは接点Tで半径OTと垂直に交わる
- したがって、直角三角形OTPができる
- OT = 半径 $r$、OP = 中心から点Pまでの距離 $d$、PT = 接線の長さ $\ell$
この直角三角形に三平方の定理を適用すると、次の関係が成り立つ。
これを変形すると、接線の長さ $\ell$ は次のように求められる。
接線の長さを求める手順
中心Oと接点Tを結ぶ(半径OT)。
中心Oと外部の点Pを結ぶ。
接点Tで直角ができることを確認し、直角三角形OTPを作る。
三平方の定理より $\text{OP}^2 = \text{OT}^2 + \text{PT}^2$ を立てて解く。
【例題2】接線の長さを求める
半径 $5$ cmの円がある。円の中心Oから $13$ cm離れた点Pから円に接線を引く。接線の長さを求めよ。
【解答】
接点Tで接線PTと半径OTは垂直に交わる。
直角三角形OTPで三平方の定理を使う。
接線の問題では「13, 5, 12」のような三平方の定理でよく出る数の組み合わせが頻出である。$5^2 + 12^2 = 13^2$ を覚えておくと計算が速くなる。
弦と接線の比較
2つのパターンの違いを表で整理しよう。
| 項目 | 弦の長さ | 接線の長さ |
|---|---|---|
| 直角の位置 | 弦と垂線の交点M | 接点T |
| 直角を作る性質 | 弦の垂直二等分線は中心を通る | 接線は半径と垂直 |
| 直角三角形 | △OAM(Oは中心、Aは弦の端点) | △OTP(Pは外部の点) |
| 求める辺 | AMの2倍が弦の長さ | PTが接線の長さ |
| 公式 | $a = 2\sqrt{r^2 – h^2}$ | $\ell = \sqrt{d^2 – r^2}$ |
よくある間違いと対策
弦の長さを半分にし忘れる
中心から弦への垂線は弦を「二等分」する。求めたAMは弦の半分なので、最後に2倍することを忘れずに。
直角の位置を間違える
弦では「垂線の足M」、接線では「接点T」が直角の位置である。図に直角マークを書き込む習慣をつけよう。
三平方の定理の式で辺を入れ替える
「斜辺の2乗 = 他の2辺の2乗の和」である。どれが斜辺(直角の向かい側の辺)かを必ず確認しよう。
この単元のよくある質問
Q. 弦の問題で、なぜ中心から垂線を引くのですか?
A. 「弦の垂直二等分線は円の中心を通る」という性質があるからです。中心から弦に垂線を下ろすと、その垂線は弦をちょうど半分に分けます。これにより直角三角形ができ、三平方の定理が使えるようになります。
Q. 接線の問題で、どこに直角ができるのですか?
A. 接点です。接線は、接点を通る半径と必ず垂直に交わります。したがって、「中心O・接点T・外部の点P」を結ぶと、接点Tで直角になる直角三角形ができます。
Q. 外部の点から2本の接線を引いたとき、2本の長さは等しいですか?
A. はい、等しいです。外部の点Pから円に2本の接線を引くと、それぞれの接線の長さ(Pから接点までの距離)は同じになります。これは「接線の長さの定理」と呼ばれ、証明には合同を使います。
練習問題
まとめ
この記事では、円と三平方の定理を組み合わせて弦・接線の長さを求める方法を学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 弦の長さ:中心から弦に垂線を引くと、垂線の足で直角三角形ができる。弦は二等分されるので、求めた長さを2倍する。
- 接線の長さ:接点で接線と半径が垂直に交わるので、直角三角形ができる。
- 共通点:どちらも「円の性質から直角が生まれる」ことを利用して三平方の定理を使う。
補助線の引き方さえパターン化できれば、あとは三平方の定理を機械的に適用するだけである。繰り返し練習して、手順を体に染み込ませよう。
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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