円の問題を見た瞬間、「何から手をつければいいかわからない」と固まってしまう。そんな経験はないだろうか。
実は、入試で問われる円の性質は、たった5つのパターンに集約される。どれだけ複雑に見える問題でも、この5つのどれかを使えば必ず解ける。
問題が解けないのは、知識が足りないからではない。「どの性質を使うか」を判断する練習が足りていないだけである。この記事では、円の性質を体系的に整理し、問題を見た瞬間に解法が浮かぶ状態を目指す。
円の5大性質|これさえ押さえれば入試は怖くない
円に関する問題で使う性質は、以下の5つに分類できる。まずは全体像を把握しよう。
| 性質 | 内容 | 使う場面 |
|---|---|---|
| ① 円周角の定理 | 同じ弧に対する円周角は等しい | 角度を求めるとき |
| ② 中心角と円周角 | 中心角は円周角の2倍 | 中心が与えられたとき |
| ③ 直径と円周角 | 直径に対する円周角は90° | 直角を見つけるとき |
| ④ 接線の性質 | 接線は接点で半径と垂直 | 接線が出てきたとき |
| ⑤ 接線の長さ | 1点から引いた2本の接線の長さは等しい | 長さを求めるとき |
この5つを「見たら反射的に思い出す」レベルまで身につけることが目標である。順番に確認していこう。
性質①|円周角の定理
円周角の定理は、円の問題で最も頻繁に使う性質である。
言葉だけではわかりにくいので、図で確認しよう。
弧ABに対して、円周上のどこに点Pや点Qをとっても、∠APBと∠AQBは等しくなる。
「同じ弧を見ている」という条件がポイントである。弧が同じなら、角度も同じ。これが円周角の定理の本質である。
性質②|中心角と円周角の関係
円の中心Oを使うと、円周角と中心角には次の関係がある。
逆に言えば、円周角は中心角の半分である。
例えば、円周角が35°なら、中心角は70°になる。
問題に円の中心Oが書かれていたら、この関係を使う可能性が高い。中心角がわかれば円周角が求まり、円周角がわかれば中心角が求まる。
性質③|直径に対する円周角は90°
これは性質②の特別な場合である。直径に対する中心角は180°なので、円周角はその半分で90°になる。
直径ABに対して、円周上のどこに点PやQをとっても、∠APBや∠AQBは必ず90°になる。
「直角を見つけたい」「直角三角形を作りたい」ときに使う。逆に、円周角が90°なら、その弧は直径である。
性質④|接線は接点で半径と垂直
円の接線とは、円と1点だけで接する直線のことである。この接線と半径には、重要な関係がある。
記号「$\perp$」は「垂直」を意味する。接線と半径は、接点で必ず90°で交わる。
接線が出てきたら、接点と中心を結んで直角三角形を作る。三平方の定理や三角比が使えるようになる。
性質⑤|1点から引いた2接線の長さは等しい
円の外側の1点から、円に2本の接線を引くことができる。このとき、接点までの距離は等しくなる。
この性質は、△PAOと△PBOが合同であることから証明できる(OA = OB = 半径、∠PAO = ∠PBO = 90°、POは共通)。
円に内接する三角形や四角形の辺の長さを求めるときに使う。「接線の長さが等しい」ことを式にして方程式を立てることが多い。
例題|5つの性質を使い分ける
実際の問題で、どの性質を使うか判断する練習をしよう。
下の図で、点Pは円周上にある。∠APB を求めよ。ただし、∠AOB = 80° とする。
考え方:中心Oが与えられている → 性質②(中心角と円周角の関係)を使う。
下の図で、ABは円の直径である。∠ACB を求めよ。
考え方:「直径」という言葉がある → 性質③を使う。
直径に対する円周角は、必ず90°になる。
入試での判断フローチャート
問題を見たときに、どの性質を使うか迷わないためのフローチャートを示す。
このフローに従えば、問題を見た瞬間にどの性質を使うか判断できる。
よくある間違いと対策
円周角と中心角を逆に計算する
中心角 = 円周角 × 2 である。「÷2」と「×2」を間違えやすい。
対策:中心角は「中央」にあるから「大きい」と覚える。大きい方が×2。
異なる弧に対する円周角を等しいと思い込む
円周角の定理が使えるのは「同じ弧」に対する角度だけである。
対策:2つの角が「同じ弧」を見ているか、必ず確認する。
接線なのに直角を使い忘れる
接線と半径は接点で90°。この直角を見落とすと、三平方の定理が使えない。
対策:接線を見たら、接点に直角マークを書き込む習慣をつける。
この単元のよくある質問
Q. 円周角の定理と中心角の関係の、どちらを先に使えばいいですか?
A. 問題に円の中心Oが描かれていれば、中心角と円周角の関係(性質②)を優先する。中心が描かれていなければ、円周角の定理(性質①)を使う。この判断を図を見た瞬間に行えるようになることが目標である。
Q. 接線の問題で、どこに直角を作ればいいかわかりません。
A. 接点と円の中心を結ぶ線を引く。この線と接線が90°で交わる。問題文に接点の位置が書いてあるので、そこに直角マークを書き込むのが第一歩である。
Q. 直径に対する円周角が90°になる理由がわかりません。
A. 直径に対する中心角は180°(半円)である。円周角は中心角の半分なので、180° ÷ 2 = 90° になる。性質②の特別な場合として理解するとよい。
練習問題
まとめ
この記事では、入試で頻出する円の5大性質を整理した。ポイントは以下の通りである。
- 性質①:同じ弧に対する円周角は等しい
- 性質②:中心角 = 円周角 × 2
- 性質③:直径に対する円周角 = 90°
- 性質④:接線は接点で半径と垂直
- 性質⑤:1点から引いた2接線の長さは等しい
問題を見たら、フローチャートに従ってどの性質を使うか判断する。これを繰り返すことで、考えなくても手が動く状態になる。
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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