地図を見て「この2点間は何kmだろう」と思ったとき、定規で測った長さをどう計算すればいいか迷ったことはないだろうか。
「縮尺1:25000って書いてあるけど、結局どう使えばいいの?」「模型を作りたいけど、どの長さを何倍にすればいいかわからない」——こうした悩みを抱える人は多い。
実は、縮図と拡大図の考え方はたった1つの比の計算に集約される。この記事では、縮図・拡大図の基本から実生活での活用法まで、順を追って解説する。
そもそも縮図・拡大図とは?
縮図とは、ある図形を同じ形のまま小さくした図のことである。逆に、拡大図とは、同じ形のまま大きくした図のことである。
「同じ形のまま」とは、すべての角の大きさが等しく、すべての辺の長さの比が等しいことを意味する。このような関係を「相似」という。
例えば、1辺6cmの正方形を、1辺3cmの正方形に縮めると、これは縮図である。逆に1辺12cmに広げると、拡大図になる。
ここで重要なのは、角度は変わらないという点である。辺の長さだけが変化し、形そのものは保たれる。
縮尺の意味と表し方
縮尺とは、実際の長さと図上の長さの比のことである。
縮尺は「図上の長さ:実際の長さ」の順で表す。例えば縮尺1:1000とは、図上の1cmが実際の1000cm(=10m)を表すという意味である。
縮尺の表し方には主に3種類ある。
| 表し方 | 例 | 意味 |
|---|---|---|
| 比 | 1:50000 | 図上1cmが実際50000cm(500m) |
| 分数 | $\dfrac{1}{50000}$ | 上と同じ |
| 文章 | 1cmが500mを表す | 上と同じ |
地図でよく使われる縮尺を確認しよう。
| 縮尺 | 図上1cmの実際の長さ | 用途の例 |
|---|---|---|
| 1:1000 | 10m | 建物の平面図 |
| 1:10000 | 100m | 市街地図 |
| 1:25000 | 250m | 登山地図 |
| 1:50000 | 500m | 広域地図 |
縮図・拡大図の関係を図で理解する
上の図では、中央の三角形ABCを基準として、左側に0.5倍の縮図、右側に1.5倍の拡大図を示している。
重要なポイントは次の通りである。
- すべての辺が同じ倍率(縮尺)で変化する
- 角度は一切変わらない(形が保たれる)
- 対応する辺の比はすべて等しい
縮尺を使った計算の手順
実生活で縮図・拡大図を活用する場面は多い。ここでは、地図から実際の距離を求める問題と、実物から図面の長さを求める問題を解いてみよう。
例題1:地図から実際の距離を求める
問題:縮尺1:25000の地図上で、A地点からB地点までの長さが4cmであった。実際の距離は何mか。
縮尺の意味を確認する
縮尺1:25000とは、図上の1cmが実際の25000cmを表すという意味である。
図上の長さに縮尺をかける
単位を変換する
よって、実際の距離は 1000m(1km) である。
例題2:実物から図面の長さを求める
問題:実際の長さが15mの建物を、縮尺1:500の図面に描くとき、図面上の長さは何cmか。
単位をそろえる
まず、実際の長さをcmに変換する。
実際の長さを縮尺で割る
よって、図面上の長さは 3cm である。
計算のポイントを図で確認する
縮尺計算で迷ったときは、次のことを思い出そう。
- 図→実際:縮尺の分母をかける(大きくなる)
- 実際→図:縮尺の分母で割る(小さくなる)
縮尺1:nの「n」は分母と呼ばれ、この値が大きいほど、図は実物に比べて小さくなる。例えば1:50000の地図は、1:25000の地図より細部が省略されている。
実生活での応用例
応用1:建物の模型作り
実際の高さが12mの建物を、縮尺1:100の模型で作る場合を考えよう。
模型の高さは12cmとなる。同様に、幅や奥行きもすべて100で割れば、正確な模型ができる。
応用2:設計図から実物を作る
縮尺1:20の設計図で、机の幅が6cmと描かれていた。実際の机の幅はいくらか。
実際の机の幅は1.2mである。
応用3:写真の拡大・縮小
縦4cm×横6cmの写真を2倍に拡大するとき、縦と横はそれぞれいくらになるか。
拡大後は縦8cm×横12cmになる。このとき、縦横の比(4:6=2:3)は変わらないことに注目しよう。
面積と体積の縮尺
長さだけでなく、面積や体積も縮図・拡大図で変化する。ここで重要なのは、変化の仕方が異なるということである。
図のように、1辺を2倍にすると、正方形の中には元の正方形が4つ入る。つまり面積は $2^2=4$ 倍になる。
同様に、立方体の1辺を2倍にすると、体積は $2^3=8$ 倍になる。
この関係は非常に重要である。例えば、模型を2分の1サイズで作ると、面積は4分の1、体積(重さに関係)は8分の1になる。
よくある質問と答え(FAQ)
Q. 縮尺1:50と1:100では、どちらが大きな図になりますか?
A. 縮尺1:50の方が大きな図になる。縮尺の分母(50や100)が小さいほど、図上の長さは実際の長さに近くなる。1:50では実際の50分の1、1:100では100分の1なので、1:50の方が2倍大きい図になる。
Q. 単位がcmとmで混ざっているとき、どうすればいいですか?
A. 計算する前に必ず単位をそろえること。縮尺計算では、どちらかの単位に統一してから計算し、最後に必要な単位に変換するとミスが減る。おすすめは「cmにそろえて計算し、最後にmやkmに直す」方法である。
Q. 拡大図を描くとき、角度も大きくする必要がありますか?
A. いいえ、角度は変えない。拡大図・縮図では辺の長さのみが変化し、角度はすべて元の図と同じまま保たれる。これが「相似」の重要な性質である。
よくある間違いと対策
かけ算と割り算の逆転
「図→実際」で割り算、「実際→図」でかけ算をしてしまう間違い。
対策:縮図は「縮めた」図なので、実際の長さは図より大きい。大きくするからかけ算(×縮尺の分母)と覚える。
単位変換の忘れ
cmで計算した結果をそのままにして、単位をmに直すのを忘れる間違い。
対策:問題文で求められている単位を最初に確認し、計算後に必ず単位変換を行う。100cm=1m、100000cm=1kmを暗記しておく。
面積の縮尺を長さと同じにする
縮尺1:100の地図で面積を求めるとき、100倍してしまう間違い。
対策:面積は「長さ×長さ」なので、縮尺の2乗になる。1:100なら面積は $100^2=10000$ 倍である。
練習問題
まとめ
この記事では、縮図と拡大図の基本から実生活への応用まで学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 縮図・拡大図では、すべての辺が同じ倍率で変化し、角度は変わらない
- 縮尺1:nのとき、実際の長さ=図上の長さ×n
- 面積は縮尺の2乗、体積は3乗で変化する
- 単位変換を忘れずに行う
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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