「相似な図形」と聞くと、単に「形が同じ」とだけ覚えている人が多い。しかし、それだけでは問題を解くときに手が止まってしまう。
「どこが対応しているのかわからない」「相似比って何に使うの?」——こうした疑問を抱えたまま先に進んでいないだろうか。
実は、相似の問題でつまずく原因のほとんどは、「対応」の意味をあいまいにしていることにある。この記事では、相似な図形の定義から相似比の求め方まで、図解とアニメーションで順を追って解説する。
そもそも相似な図形とは?
相似な図形とは、「形が同じで、大きさだけが違う図形」のことである。
「形が同じ」とは、一方の図形を拡大または縮小したとき、もう一方の図形とぴったり重なることを意味する。回転や裏返しをしても構わない。
具体的には、次の2つの条件を両方とも満たすとき、2つの図形は相似であるという。
対応する角の大きさがすべて等しい
対応する辺の長さの比がすべて等しい
例えば、三角形ABCと三角形DEFが相似であるとき、次のような関係が成り立つ。
「対応する」とは、一方の図形を拡大・縮小したとき、ぴったり重なる位置にあることを指す。角Aと角D、辺ABと辺DEのように、それぞれ組み合わせが決まっている。
相似の記号と書き方
2つの図形が相似であることを記号で表すには、「∽」を使う。
この記号は「相似」と読む。「≡」(合同)とは異なるので注意しよう。
相似の記号は、「∽」(波線)である。合同の記号「≡」(三本線)と間違えやすいので、しっかり区別すること。
重要なルール:相似を書くとき、対応する頂点を同じ順番で書く。
例えば、$\triangle ABC \sim \triangle DEF$ と書いたとき、次の対応関係を表している。
- 頂点Aと頂点Dが対応
- 頂点Bと頂点Eが対応
- 頂点Cと頂点Fが対応
したがって、辺ABと辺DE、辺BCと辺EFがそれぞれ対応する。
相似な図形を図で理解する
次のアニメーションで、相似な2つの三角形を確認しよう。小さい三角形を拡大すると、大きい三角形とぴったり重なることがわかる。
上の図で、三角形ABCと三角形DEFは相似である。対応する角には同じ色がついている。
- 赤い角:角Aと角D(対応)
- 緑の直角マーク:角Bと角E(どちらも90°)
- 青い角:角Cと角F(対応)
また、辺の長さを見ると、3:6 = 4:8 = 5:10 = 1:2 であり、すべて同じ比になっている。
相似比とは?
相似比とは、相似な図形において「対応する辺の長さの比」のことである。
相似比は、2つの図形がどれだけ拡大(または縮小)されているかを表す数値である。
先ほどの例では、三角形ABCと三角形DEFの相似比は次のようになる。
これは「三角形DEFは、三角形ABCを2倍に拡大した図形である」ことを意味する。
相似比の求め方
相似比は、対応する辺の長さを比にして求める。手順は次の通りである。
対応する辺を1組見つける
その辺の長さを比にする(小さい方:大きい方)
最も簡単な整数比に直す
例題で確認
$\triangle ABC \sim \triangle DEF$ で、$AB = 6$ cm、$DE = 9$ cm のとき、相似比を求めよう。
ABとDEは対応する辺なので、その比を取る。
よって、$\triangle ABC$ と $\triangle DEF$ の相似比は $2 : 3$ である。
比を簡単にするには、両方の数を最大公約数で割る。6と9の最大公約数は3なので、$6 \div 3 = 2$、$9 \div 3 = 3$ となる。
相似比を使って辺の長さを求める
相似比がわかれば、対応する辺の長さを計算できる。これが相似の最も重要な応用である。
$\triangle PQR \sim \triangle STU$ で、$PQ = 4$、$QR = 3$、$ST = 6$ のとき、$TU$ の長さを求めよう。
対応する辺から相似比を求める
PQとSTが対応するので、$PQ : ST = 4 : 6 = 2 : 3$
求めたい辺の対応を確認する
TUに対応するのはQRである
比例式を立てて解く
相似比が $2 : 3$ なので、対応する辺もこの比になる。
比例式の性質「内項の積 = 外項の積」を使う。
よって、$TU = 4.5$ cm である。
比例式の解き方:$a : b = c : d$ のとき、$a \times d = b \times c$ が成り立つ。これを「内項の積 = 外項の積」という。
よくある間違いと対策
対応の順番を間違える
$\triangle ABC \sim \triangle DEF$ と書いてあるとき、AとD、BとE、CとFが対応する。ABに対応するのはDEであり、DFではない。
対策:相似の式を見たら、頂点を順番に対応させてメモを書く。
相似比を逆にしてしまう
問題で「三角形ABCと三角形DEFの相似比」と聞かれたら、必ずABC:DEFの順で答える。逆にすると不正解になる。
対策:問題文で先に書かれている図形を左側に書く。
相似比を約分し忘れる
$6 : 9$ を答えとして書くのは不完全。$2 : 3$ まで約分すること。
対策:比を出したら「これ以上簡単にできないか」を必ず確認する。
この単元のよくある質問
Q. 相似と合同の違いは何ですか?
A. 合同は「形も大きさも同じ」、相似は「形は同じで大きさは違ってもよい」である。合同は相似の特別な場合(相似比が1:1)と考えることもできる。
Q. 相似比が1:2のとき、面積比はいくつですか?
A. 面積比は相似比の2乗になる。相似比が1:2なら、面積比は$1^2 : 2^2 = 1 : 4$である。
Q. 対応する辺がどれかわからないときはどうすればよいですか?
A. 相似の記号「∽」で書かれた順番を確認する。$\triangle ABC \sim \triangle DEF$なら、A→D、B→E、C→Fの対応である。これにより、AB→DE、BC→EF、CA→FDの対応がわかる。
練習問題
まとめ
この記事では、相似な図形の基本について学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 相似な図形とは「形が同じで、大きさだけが違う図形」である
- 相似の記号は「∽」で、対応する頂点を同じ順番で書く
- 相似比とは「対応する辺の長さの比」である
- 相似比を使えば、比例式で未知の辺の長さを求められる
相似は、三角形の合同条件と同様に図形問題の基盤となる考え方である。対応関係をしっかり把握することが、すべての応用問題を解く鍵となる。
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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