「垂線を引きなさい」と言われて、定規で適当に直角っぽく線を引いていないだろうか。
実はそれ、テストでは減点される。作図問題では「コンパスと定規だけで正確に描く」ことが求められるからだ。
垂線の作図でつまずく人の多くは、「なぜその手順で直角になるのか」を理解せずに丸暗記しようとしている。この記事では、点から直線に垂線を下ろす作図法を、図解とアニメーションで順を追って解説する。手順の意味がわかれば、暗記しなくても自然と手が動くようになる。
そもそも垂線とは?
垂線とは、ある直線に対して垂直に交わる線のことである。垂直とは、2つの直線が90°(直角)で交わる状態を指す。
垂直の記号:直線 $\ell$ と直線 $m$ が垂直であることを $\ell \perp m$ と書く。「$\perp$」は「垂直」を表す記号である。
今回学ぶのは、「直線 $\ell$ の外にある点Pから、直線 $\ell$ に垂線を下ろす」という作図である。
点Pから直線 $\ell$ に下ろした垂線の足(交点)をHとすると、PHの長さは「点Pと直線 $\ell$ の距離」と呼ばれ、これが最も短い距離となる。
垂線の作図を図で理解する
まずは完成図を見てみよう。点Pから直線 $\ell$ に垂線PHを引いた状態である。
この図を、コンパスと定規だけで正確に描く方法を学んでいく。
作図の原理:なぜこの方法で垂線が引けるのか
作図の手順を覚える前に、「なぜこれで垂直になるのか」を理解しておこう。
アニメーションを再生すると、作図の原理がわかる。
ポイント:点Pから等しい距離にある直線上の2点A, Bを見つけると、線分ABの中点Hは自動的にPの真下に来る。なぜなら、PA = PB かつ HA = HB のとき、PHは線分ABの垂直二等分線になるからである。
垂線の作図手順
では実際の作図手順を見ていこう。使うのはコンパスと定規だけである。
点Pを中心に、直線 $\ell$ と2点で交わる円を描く
コンパスの針を点Pに刺し、直線 $\ell$ と2か所で交わるように円(または円弧)を描く。この2つの交点をA, Bとする。
点Aを中心に円弧を描く
コンパスの開きをABの半分より大きくして、点Aを中心に円弧を描く。この円弧は直線 $\ell$ の下側(Pと反対側)に描く。
点Bを中心に、同じ半径で円弧を描く
コンパスの開きを変えずに、点Bを中心に円弧を描く。手順2の円弧と交わる点をQとする。
点Pと点Qを結ぶ
定規を使って、点Pと点Qを直線で結ぶ。この直線が直線 $\ell$ と交わる点が垂線の足Hである。
作図の様子をアニメーションで確認
アニメーションで確認できたように、作図には4つのステップがある。ポイントは、手順2と手順3で同じコンパスの開きを使うことである。これにより、QA = QB となり、Qは線分ABの垂直二等分線上に位置する。
なぜこれで垂線が引けるのか
作図の正しさを確認しよう。
点Pを中心とする円によって、PA = PB である。
点A, Bを中心とする同じ半径の円弧によって、QA = QB である。
PA = PB、QA = QB より、点Pと点Qはともに「A, Bから等距離にある点」である。
2点から等距離にある点の集合は、その2点を結ぶ線分の垂直二等分線である。
よって、直線PQは線分ABの垂直二等分線であり、直線 $\ell$ (線分ABを含む直線)と垂直に交わる。
よくある間違いと対策
垂線の作図でよくある間違いを確認しよう。
1. 円弧の半径が小さすぎて交わらない
手順2, 3で描く円弧は、ABの半分より大きい半径でなければならない。半径が小さいと、2つの円弧が交わらず、点Qが決まらない。
対策:コンパスの開きを「ABの長さの半分より明らかに大きく」設定してから描く。
2. 手順2と手順3で半径を変えてしまう
点Aからの円弧と点Bからの円弧は、必ず同じ半径で描かなければならない。半径が異なると、QA ≠ QB となり、垂直にならない。
対策:手順2でコンパスを開いたら、手順3が終わるまでコンパスの開きを絶対に変えない。
3. 円弧を直線の同じ側に描いてしまう
円弧は直線 $\ell$ の下側(点Pと反対側)に描く。上側に描くと点Qが点Pと重なってしまい、垂線が引けない。
対策:「点Pの反対側」と意識して円弧を描く。
この単元のよくある質問
Q. 手順1の円は完全な円を描かなくてもいいのですか?
A. 直線との交点A, Bさえわかれば十分なので、円弧だけでも構わない。ただし、Aが左側、Bが右側に来るように、直線と2か所で交わる程度の大きさは必要である。
Q. 点Qを決めるとき、直線より上側に取ってもいいのですか?
A. 数学的には上側でも問題ない。ただし、点Pと点Qが近すぎると直線を引きにくくなるため、Pと反対側(下側)に取る方が作図しやすい。
Q. 垂線の作図と垂直二等分線の作図は何が違うのですか?
A. 垂直二等分線の作図は「与えられた線分ABの中点を通り、ABに垂直な直線」を引く。今回の作図は「与えられた点Pから直線に垂線を下ろす」であり、出発点が異なる。ただし、どちらも「2点から等距離にある点を結ぶ」という同じ原理を使っている。
練習問題
まとめ
この記事では、点から直線に垂線を下ろす作図法を学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 垂線の作図は「垂直二等分線の原理」を利用している
- 手順1でPA = PB、手順2・3でQA = QBとなる点を作る
- P, Qはともに「A, Bから等距離」なので、直線PQはABの垂直二等分線
- 手順2と手順3では必ず同じコンパスの開きを使う
作図の手順を丸暗記するのではなく、「なぜこれで垂直になるのか」を理解しておけば、どんな問題にも対応できる。
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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