「コンパスと定規だけで角を正確に半分にできる」と聞いて、本当にできるのか疑問に思っていないだろうか。
作図の手順は覚えたつもりなのに、いざテストになると「どこに円を描くんだっけ?」「交点が2つあるけど、どっちを使うの?」と迷ってしまう。そんな経験は誰にでもある。
実は、角の二等分線の作図がうまくいかない原因は「なぜこの手順で二等分できるのか」を理解していないだけである。この記事では、手順の意味をアニメーションで確認しながら、迷わず作図できるようになるまで順を追って解説する。
そもそも角の二等分線とは?
角の二等分線とは、1つの角をぴったり2つに分ける直線のことである。
二等分とは「等しく2つに分ける」という意味である。角の二等分線は、角の頂点を通り、2つの辺から等しい距離にある点の集まりでもある。
例えば、$\angle AOB = 80°$ を二等分すると、それぞれ $40°$ ずつになる。定規の目盛りや分度器を使わずに、コンパスと定規だけでこれを実現するのが「作図」である。
作図の手順を図で理解する
角の二等分線を作図するには、次の3ステップを行う。アニメーションで動きを確認しよう。
アニメーションを見ると、なぜ二等分になるかが見えてくる。ポイントは「PとQからの距離が等しい点R」を見つけることである。
作図の手順
Oを中心に円弧を描く
頂点Oにコンパスの針を置き、適当な半径で円弧を描く。この円弧が2つの辺(OA、OB)と交わる点をそれぞれP、Qとする。
半径の大きさは自由である。ただし、2つの辺と交わる程度の大きさにすること。
P、Qを中心に同じ半径で円弧を描く
まずPにコンパスの針を置き、円弧を描く。次にコンパスの幅を変えずにQにコンパスの針を置き、同じように円弧を描く。2つの円弧が交わる点をRとする。
「同じ半径」がポイント。これにより、RはPからもQからも等しい距離にある点となる。
OとRを結ぶ
頂点Oと交点Rを定規で結ぶ。この直線ORが角の二等分線である。
なぜこの方法で二等分できるのか
「手順は覚えたけど、なぜ二等分になるの?」と疑問に思うのは自然なことである。理由を理解すると、手順を忘れにくくなる。
理由をまとめると、次のようになる。
$OP = OQ$(ステップ1で同じ半径の円弧を描いたから)
$PR = QR$(ステップ2で同じ半径の円弧を描いたから)
$OR = OR$(共通な辺)
3辺が等しいので、$\triangle OPR \equiv \triangle OQR$(三辺相等)
合同な三角形の対応する角は等しいので、$\angle POR = \angle QOR$
つまり、ORは角AOBを2等分する直線である。合同の証明ができると、作図の正しさも説明できる。
角の二等分線の重要な性質
角の二等分線には、もう一つ重要な性質がある。
下の図で確認しよう。
この性質は、三角形の内接円を作図するときに使う。3つの角の二等分線の交点(内心)は、3辺すべてから等しい距離にあるため、内接円の中心となる。
よくある間違いと対策
ステップ2でコンパスの幅を変えてしまう
PからもQからも同じ半径で円弧を描かないと、RはP・Qから等距離の点にならない。コンパスを閉じたり開いたりせず、そのまま針を移動させよう。
交点が2つあるとき、どちらを選ぶか迷う
ステップ2で円弧が2点で交わることがある。角の内側にある交点を選ぶこと。外側の交点を選ぶと、二等分線ではなく別の直線になる。
円弧が2辺と交わらない
ステップ1の円弧が小さすぎると、2辺のうち1辺としか交わらないことがある。円弧の半径は、角の開き具合を見て十分に大きくとること。
この単元のよくある質問
Q. ステップ1とステップ2の円弧の半径は同じでなければいけませんか?
A. いいえ、違っても大丈夫である。ステップ1の半径とステップ2の半径は別々でよい。ただし、ステップ2でPを中心に描く円弧とQを中心に描く円弧は、必ず同じ半径にすること。
Q. なぜ分度器を使わずにコンパスで作図するのですか?
A. 作図は「コンパスと定規だけで正確な図形を描く」という数学の伝統的な手法である。分度器は目盛りを読む誤差があるが、作図は理論的に正確な図形が得られる。また、作図の手順を理解することで、図形の性質(合同など)を深く理解できる。
Q. 角の二等分線は他にどんな場面で使いますか?
A. 三角形の内接円の作図(3つの角の二等分線の交点が内心)、角の三等分(特殊な角度の場合)、折り紙の折り目の作図など、様々な場面で使われる。また、高校では「角の二等分線の定理」として、辺の比との関係も学ぶ。
練習問題
角の二等分線を作図するとき、頂点Oから同じ( ① )で円弧を描き、2辺との交点をP, Qとする。次に、P, Qからそれぞれ同じ( ① )で円弧を描き、その( ② )をRとする。最後にOとRを結ぶ。
まとめ
この記事では、角の二等分線の作図方法と、なぜその方法で二等分できるのかを学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 手順:頂点から円弧 → 交点P, Qから同じ半径で円弧 → 交点Rと頂点を結ぶ
- 理由:3辺が等しい三角形が2つできるので、対応する角も等しくなる(三辺相等による合同)
- 性質:二等分線上の点は、角の2辺から等しい距離にある
作図は手順を丸暗記するのではなく、「なぜそうなるか」を理解することで、迷わずにできるようになる。
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

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