「比例のグラフは書けるけど、変域って何?」と聞かれて、うまく答えられないことはないだろうか。
比例の式は覚えた。グラフも書ける。でも「$x$ の変域が $-2 \leq x \leq 5$ のとき、$y$ の変域を求めよ」という問題になると、急に手が止まる。何をどう考えればいいのかわからない。
実は、変域の問題は「比例の性質」をきちんと理解していれば、機械的に解ける。この記事では、比例の3つの性質を確認し、変域の求め方をステップごとに解説する。
そもそも「比例の性質」とは?
比例の式 $y = ax$($a$ は比例定数)には、3つの重要な性質がある。この3つを押さえておけば、変域の問題も確実に解ける。
性質1:$x$ が2倍、3倍になると、$y$ も2倍、3倍になる
比例では、$x$ の値を何倍かにすると、$y$ の値も同じ倍率で変化する。
| $x$ | 1 | 2 | 3 | 4 |
|---|---|---|---|---|
| $y$ | 2 | 4 | 6 | 8 |
$x$ が $1 \to 2$(2倍)になると、$y$ も $2 \to 4$(2倍)になっている。
性質2:$\dfrac{y}{x}$ の値が常に一定($= a$)
比例 $y = ax$ の式を変形すると $\dfrac{y}{x} = a$ となる。つまり、どんな $x$, $y$ の組み合わせでも、$y$ を $x$ で割った値は常に比例定数 $a$ に等しい。
性質3:グラフは原点を通る直線
比例のグラフは必ず原点 $(0, 0)$ を通り、まっすぐな直線になる。
原点を通る理由:$x = 0$ を代入すると $y = a \times 0 = 0$ となるため、必ず $(0, 0)$ を通る。
比例の性質を図で理解する
比例定数 $a$ が正のときと負のときで、グラフの傾きが変わる。この違いが変域を求めるときに重要になる。
アニメーションで確認できるように、比例定数 $a$ の正負によってグラフの傾きが変わる。
- $a > 0$ のとき:右上がりの直線($x$ が増えると $y$ も増える)
- $a < 0$ のとき:右下がりの直線($x$ が増えると $y$ は減る)
この「増える・減る」の関係が、変域を求めるときのカギになる。
変域とは何か?
変域とは、「変数がとりうる値の範囲」のことである。
例えば「$x$ の変域は $1 \leq x \leq 5$」とは、「$x$ は 1 以上 5 以下の値をとる」という意味である。
変域の表し方:不等号を使って $1 \leq x \leq 5$ と書く。「$x$ は 1 から 5 まで」という意味。
変域の種類
| 記号 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| $\leq$ | 以下(その値を含む) | $x \leq 5$:$x$ は 5 以下 |
| $<$ | 未満(その値を含まない) | $x < 5$:$x$ は 5 未満 |
| $\geq$ | 以上(その値を含む) | $x \geq 1$:$x$ は 1 以上 |
| $>$ | より大きい(その値を含まない) | $x > 1$:$x$ は 1 より大きい |
$x$ の変域から $y$ の変域を求める手順
比例 $y = ax$ で、$x$ の変域が与えられたとき、$y$ の変域を求める手順は以下の通りである。
$x$ の最小値と最大値を読み取る。
$x$ の最小値と最大値をそれぞれ $y = ax$ に代入する。
求めた2つの $y$ の値を比べ、小さい方が最小値、大きい方が最大値となる。
重要:比例のグラフは直線なので、$y$ の最大値・最小値は必ず $x$ の変域の両端で現れる。途中に最大値・最小値がくることはない。
例題で手順を確認する
例題1:$a > 0$ の場合
【解答】
$x$ の変域の両端を確認する。
$x$ の最小値は $1$、最大値は $4$ である。
両端の値を代入する。
$y$ の変域を書く。
$y$ の最小値は $2$、最大値は $8$ なので、
例題2:$a < 0$ の場合
【解答】
$x$ の変域の両端を確認する。
$x$ の最小値は $-2$、最大値は $3$ である。
両端の値を代入する。
$y$ の変域を書く。
$y$ の最小値は $-9$、最大値は $6$ なので、
注意:$a < 0$ のとき、$x$ が最小値のときに $y$ は最大値、$x$ が最大値のときに $y$ は最小値になる。順番が逆転することに注意する。
変域の対応を図で確認する
このアニメーションでは、$y = 2x$ について $x$ の変域 $1 \leq x \leq 4$ に対応する $y$ の変域を示している。
- 緑の点線:$x$ の変域($x$ 軸上の $1$ から $4$ まで)
- 紫の点線:対応する $y$ の変域($y$ 軸上の $2$ から $8$ まで)
- 赤い線分:グラフ上の対応する部分
よくある間違いと対策
間違い1:$a < 0$ のとき、最大・最小の順番を間違える
間違い例:$y = -3x$ で $x$ の変域が $-2 \leq x \leq 3$ のとき、$y$ の変域を $6 \leq y \leq -9$ と書いてしまう。
正しくは:$-9 \leq y \leq 6$
対策:変域は必ず「小さい方 $\leq$ 変数 $\leq$ 大きい方」の順で書く。代入した後に大小を比較して、小さい方を左に書く。
間違い2:片方だけ代入する
間違い例:$x = 1$ のときだけ計算して、$y$ の変域を $y = 2$ と書いてしまう。
対策:変域は範囲なので、必ず両端($x$ の最小値と最大値)の両方を代入する。
間違い3:不等号の向きを間違える
間違い例:$1 \leq x \leq 4$ を $4 \leq x \leq 1$ と書いてしまう。
対策:不等号の向きは「小 → 大」の順番で統一する。$1 \leq x \leq 4$ は正しく、$4 \leq x \leq 1$ は誤り。
この単元のよくある質問
Q. 変域に $<$ と $\leq$ が混ざっているときはどうすればいい?
A. 代入の方法は同じである。ただし、$<$ の場合は「その値を含まない」ので、$y$ の変域でも同様に $<$ を使う。例えば $1 < x \leq 4$ なら、$x = 1$ のときの $y$ の値は含まないので、$2 < y \leq 8$ となる。
Q. 変域が負の数を含むときも同じ方法でいい?
A. 同じ方法で解ける。両端の値を代入して、$y$ の値を計算する。負の数同士の大小比較に注意すること(例:$-9 < -2$)。
Q. 原点を含む変域(例:$-2 \leq x \leq 3$)のときは何か特別なことがある?
A. 原点を含んでいても、両端の値を代入するだけで解ける。原点 $(0, 0)$ は比例のグラフ上の点だが、$y$ の最大値・最小値は両端で現れるので、特別な処理は不要である。
練習問題
まとめ
この記事では、比例の性質と変域の求め方について学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 比例の3つの性質:①$x$ が $n$ 倍なら $y$ も $n$ 倍、②$\dfrac{y}{x}$ が一定、③原点を通る直線
- 変域とは「変数がとりうる値の範囲」のこと
- $y$ の変域を求めるには、$x$ の変域の両端を代入するだけでよい
- $a < 0$ のときは、$y$ の最大・最小が逆転することに注意
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

コメント