「比例のグラフは原点を通る直線」と習ったのに、実際にグラフを描こうとすると手が止まってしまう。そんな経験はないだろうか。
点をどこに打てばいいのかわからない、直線の傾きがイメージできない、そもそも原点を通るとはどういうことか曖昧——これらは比例のグラフでつまずく人に共通する悩みである。
実は、比例のグラフを描くために必要なのは「原点ともう1点」だけである。この記事では、比例のグラフの特徴を図解で確認し、自分の手で描けるようになるまで順を追って解説する。
そもそも比例のグラフとは?
比例の式 $y = ax$ をグラフに表すと、必ず原点を通る直線になる。
原点とは、座標平面で $x = 0$、$y = 0$ となる点、つまり $(0, 0)$ のことである。
なぜ原点を通るのか。$y = ax$ に $x = 0$ を代入してみよう。
$x = 0$ のとき必ず $y = 0$ になる。だから比例のグラフは必ず原点 $(0, 0)$ を通るのである。
例えば $y = 2x$ のグラフを考えてみよう。いくつかの点を計算すると次のようになる。
| $x$ | $-2$ | $-1$ | $0$ | $1$ | $2$ | $3$ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| $y$ | $-4$ | $-2$ | $0$ | $2$ | $4$ | $6$ |
これらの点をすべて結ぶと、原点を通る1本の直線ができる。
比例のグラフを図で理解する
実際に $y = 2x$ のグラフがどのように描かれるか、アニメーションで確認しよう。
アニメーションで確認できたように、各点は一直線上に並び、その直線は必ず原点を通っている。
比例定数 $a$ の値によるグラフの違い
比例の式 $y = ax$ の $a$ を比例定数という。この $a$ の値によって、グラフの傾きが変わる。
傾きとは、グラフがどれだけ急に上がる(または下がる)かを表す度合いのことである。
$a > 0$ のとき(右上がり)
$a$ が正の数のとき、グラフは右上がりの直線になる。$x$ が増えると $y$ も増える関係である。
$a$ の値が大きいほど、グラフは急な傾きになる。上の図では、$y = 2x$(赤)が最も急で、$y = \dfrac{1}{2}x$(緑)が最もゆるやかである。
$a < 0$ のとき(右下がり)
$a$ が負の数のとき、グラフは右下がりの直線になる。$x$ が増えると $y$ は減る関係である。
$a$ の絶対値が大きいほど、グラフは急な傾きになる点は同じである。ただし、右下がりになるのが $a > 0$ との違いである。
比例のグラフを描く手順
比例のグラフは、次の手順で描くことができる。
原点 $(0, 0)$ に点を打つ
比例のグラフは必ず原点を通るので、まず原点に点を打つ。
もう1つの点を求めて打つ
$x$ に適当な値(できれば整数)を代入して $y$ を計算し、その点を打つ。
例:$y = 3x$ なら、$x = 1$ を代入すると $y = 3$ なので、点 $(1, 3)$ を打つ。
2点を結んで直線を引く
原点ともう1点を通る直線を、定規を使ってまっすぐ引く。
直線は両方向に無限に続くので、座標平面の端まで延ばして描く。
例題:$y = -3x$ のグラフを描く
実際に $y = -3x$ のグラフを描いてみよう。
原点 $(0, 0)$ に点を打つ。
$x = 1$ を代入する。
よって、点 $(1, -3)$ を打つ。
原点 $(0, 0)$ と点 $(1, -3)$ を結ぶ直線を引く。
$a = -3$ は負の数なので、右下がりの直線になっている。
よくある間違いと対策
原点を通らない直線を描いてしまう
比例 $y = ax$ のグラフは必ず原点を通る。もし原点を通らない直線を描いてしまったら、点の取り方か計算が間違っている。最初に原点を打つ習慣をつけよう。
$a$ の符号を間違える
$a > 0$ なら右上がり、$a < 0$ なら右下がり。式を見たら、まず $a$ の符号をチェックして、グラフの向きを確認しよう。
点を打つ位置を間違える
$x$ 座標と $y$ 座標を逆にしないように注意。$(1, -3)$ は「右に1、下に3」の位置である。座標を読むときは「$x$ が先、$y$ が後」と唱えよう。
この単元のよくある質問
Q. なぜ2点だけで直線が決まるのですか?
A. 2点を通る直線はただ1本しか存在しないからである。これは幾何学の基本的な性質で、比例に限らずすべての直線に当てはまる。だから原点ともう1点がわかれば、グラフは完全に決まる。
Q. $y = ax$ の $a$ と「傾き」は同じ意味ですか?
A. 比例のグラフでは、比例定数 $a$ がそのまま直線の傾きを表す。$a = 2$ なら「$x$ が1増えると $y$ が2増える」という意味になる。中学2年で学ぶ一次関数でも、この考え方がそのまま使える。
Q. 比例のグラフと反比例のグラフはどう見分けますか?
A. 比例のグラフは「原点を通る直線」、反比例のグラフは「原点を通らない曲線(双曲線)」である。直線か曲線かで見分けることができる。また、式を見れば $y = ax$(比例)と $y = \dfrac{a}{x}$(反比例)で判別できる。
練習問題
(1) このグラフは原点を通るか。
(2) このグラフは右上がりか、右下がりか。
(3) $x = 2$ のとき、$y$ の値を求めよ。
ア. 必ず原点を通る
イ. 必ず直線である
ウ. 必ず右上がりである
エ. $a$ の値によって傾きが変わる
まとめ
この記事では、比例のグラフについて学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 比例 $y = ax$ のグラフは、必ず原点を通る直線である
- $a > 0$ なら右上がり、$a < 0$ なら右下がりになる
- グラフを描くには「原点」と「もう1点」の2点があれば十分である
- $|a|$ が大きいほど、グラフの傾きは急になる
比例のグラフは、この先で学ぶ一次関数のグラフの基礎になる。原点を通る直線を自分の手で描けるようになったら、次は $y = ax + b$ の形へと進もう。
Core-dorill— 基礎を、何度でも。

コメント