【連立方程式】分数・小数を含む連立方程式
連立方程式で分数や小数が出てきた瞬間、「面倒くさそう」と感じていないだろうか。
実は、分数や小数を含む連立方程式には決まった手順がある。その手順さえ覚えれば、普通の連立方程式と同じように解ける。
この記事を読めば、分数・小数を整数に直す方法がわかり、計算ミスを減らせるようになる。
目次
そもそも「整数化」とは?
分数や小数を含む方程式を解くとき、そのまま計算すると間違えやすい。
そこで、両辺に適切な数をかけて、係数を整数だけにするという作戦をとる。これを「整数化」と呼ぶ。
係数とは、文字の前についている数のことである。例えば $\dfrac{1}{2}x$ の係数は $\dfrac{1}{2}$ である。
具体的には次のようにする。
- 分数がある場合:分母の最小公倍数を両辺にかける
- 小数がある場合:10や100など、小数点を消せる数を両辺にかける
これだけで、見慣れた形の連立方程式に変わる。
分数を含む連立方程式の解き方
まずは分数を含む場合から見ていこう。
例題1
次の連立方程式を解け。
$$\begin{cases}
\dfrac{x}{2} + \dfrac{y}{3} = 5 \\[8pt]
x – y = 3
\end{cases}$$
1
分母の最小公倍数を見つける
①式の分母は2と3である。
2と3の最小公倍数は6である。
2
①式の両辺に6をかける
両辺に6をかけると、分数が消える。
$$\begin{aligned}
6 \times \left( \frac{x}{2} + \frac{y}{3} \right) &= 6 \times 5 \\[8pt]
6 \times \frac{x}{2} + 6 \times \frac{y}{3} &= 30 \\[8pt]
3x + 2y &= 30 \quad \text{…①’}
\end{aligned}$$
$6 \times \dfrac{x}{2} = \dfrac{6x}{2} = 3x$ と計算する。「6÷2」を先にやると簡単である。
3
②式はそのまま使う
②式には分数がないので、そのままでよい。
$$x – y = 3 \quad \text{…②}$$
4
加減法で解く
②式を変形して $x = y + 3$ とし、①’式に代入する。
$$\begin{aligned}
3(y + 3) + 2y &= 30 \\[8pt]
3y + 9 + 2y &= 30 \\[8pt]
5y &= 21 \\[8pt]
y &= \frac{21}{5}
\end{aligned}$$
5
$x$ を求める
$y = \dfrac{21}{5}$ を②式に代入する。
$$\begin{aligned}
x – \frac{21}{5} &= 3 \\[8pt]
x &= 3 + \frac{21}{5} \\[8pt]
x &= \frac{15}{5} + \frac{21}{5} \\[8pt]
x &= \frac{36}{5}
\end{aligned}$$
答え:$x = \dfrac{36}{5}, \quad y = \dfrac{21}{5}$
小数を含む連立方程式の解き方
次に小数を含む場合を見ていこう。
例題2
次の連立方程式を解け。
$$\begin{cases}
0.3x + 0.2y = 1.4 \\[4pt]
x + y = 5
\end{cases}$$
1
小数を消すために両辺に10をかける
①式の小数は小数第1位まである。10をかけると小数点が消える。
$$\begin{aligned}
10 \times (0.3x + 0.2y) &= 10 \times 1.4 \\[8pt]
3x + 2y &= 14 \quad \text{…①’}
\end{aligned}$$
$10 \times 0.3x = 3x$、$10 \times 0.2y = 2y$、$10 \times 1.4 = 14$ である。
2
②式はそのまま使う
$$x + y = 5 \quad \text{…②}$$
3
加減法で解く
②式を2倍して①’式から引く。
$$\begin{aligned}
①’: \quad &3x + 2y = 14 \\[4pt]
②\times 2: \quad &2x + 2y = 10 \\[8pt]
\hline
&x = 4
\end{aligned}$$
4
$y$ を求める
$x = 4$ を②式に代入する。
$$\begin{aligned}
4 + y &= 5 \\[8pt]
y &= 1
\end{aligned}$$
答え:$x = 4, \quad y = 1$
分数と小数が混ざった場合
分数と小数の両方が出てくることもある。その場合も、考え方は同じである。
例題3
次の連立方程式を解け。
$$\begin{cases}
\dfrac{x}{4} + 0.5y = 3 \\[8pt]
2x – y = 7
\end{cases}$$
1
分数・小数を整数にする
①式には分母4と小数0.5がある。
0.5は $\dfrac{1}{2}$ と同じなので、分母は4と2である。
最小公倍数は4なので、両辺に4をかける。
$$\begin{aligned}
4 \times \left( \frac{x}{4} + 0.5y \right) &= 4 \times 3 \\[8pt]
x + 2y &= 12 \quad \text{…①’}
\end{aligned}$$
$4 \times 0.5y = 2y$ である。$0.5 = \dfrac{1}{2}$ なので、$4 \times \dfrac{1}{2} = 2$ となる。
2
加減法で解く
①’式と②式を使う。
$$\begin{aligned}
①’: \quad &x + 2y = 12 \\[4pt]
②: \quad &2x – y = 7
\end{aligned}$$
②式を2倍して①’式に足す。
$$\begin{aligned}
①’: \quad &x + 2y = 12 \\[4pt]
②\times 2: \quad &4x – 2y = 14 \\[8pt]
\hline
&5x = 26 \\[8pt]
&x = \frac{26}{5}
\end{aligned}$$
3
$y$ を求める
$x = \dfrac{26}{5}$ を①’式に代入する。
$$\begin{aligned}
\frac{26}{5} + 2y &= 12 \\[8pt]
2y &= 12 – \frac{26}{5} \\[8pt]
2y &= \frac{60}{5} – \frac{26}{5} \\[8pt]
2y &= \frac{34}{5} \\[8pt]
y &= \frac{17}{5}
\end{aligned}$$
答え:$x = \dfrac{26}{5}, \quad y = \dfrac{17}{5}$
整数化で何倍するかの判断法
ここで、何倍すればよいかの判断法をまとめておこう。
| 係数の形 |
かける数 |
例 |
| 分母が2, 3, 6 |
6 |
$\dfrac{x}{2} + \dfrac{y}{3} = 1$ → $3x + 2y = 6$ |
| 分母が2, 4 |
4 |
$\dfrac{x}{2} + \dfrac{y}{4} = 1$ → $2x + y = 4$ |
| 小数第1位まで |
10 |
$0.3x + 0.7y = 1$ → $3x + 7y = 10$ |
| 小数第2位まで |
100 |
$0.03x + 0.07y = 0.1$ → $3x + 7y = 10$ |
| 分数と小数の混合 |
分母と小数を通分して最小公倍数 |
$\dfrac{x}{4} + 0.5y$ → 4倍 |
よくある間違いと対策
1
右辺にかけ忘れる
「両辺に6をかける」とき、左辺だけかけて右辺を忘れることがある。
対策:必ず「= 〇〇」の部分も計算する。
2
かける数を間違える
分母が2と3なのに、2だけかけてしまうことがある。
対策:最小公倍数を必ず確認する。
3
分配法則を忘れる
$6 \times \left( \dfrac{x}{2} + \dfrac{y}{3} \right)$ で、一方にしかかけないミス。
対策:すべての項にかけているか指差し確認。
よくある質問と答え(FAQ)
Q. 整数化しなくても解けますか?
A. 解けないことはないが、計算ミスが増える。特にテストでは、整数化してから解くことを強くおすすめする。整数化は「面倒を避けるための手間」である。
Q. 両方の式に分数がある場合はどうする?
A. それぞれの式で別々に整数化する。①式は6倍、②式は4倍、というように式ごとに判断してよい。
Q. 答えが分数になるのは合っていますか?
A. 連立方程式の答えは整数とは限らない。分数や小数になることもある。元の式に代入して確かめれば、合っているかわかる。
練習問題
問題1
次の連立方程式を解け。
$$\begin{cases}
\dfrac{x}{3} + \dfrac{y}{2} = 4 \\[8pt]
x – y = 1
\end{cases}$$
解答
①式の分母は3と2。最小公倍数は6。
①式の両辺に6をかける。
$$\begin{aligned}
6 \times \left( \frac{x}{3} + \frac{y}{2} \right) &= 6 \times 4 \\[8pt]
2x + 3y &= 24 \quad \text{…①’}
\end{aligned}$$
②式を変形して $x = y + 1$ とし、①’式に代入。
$$\begin{aligned}
2(y + 1) + 3y &= 24 \\[8pt]
2y + 2 + 3y &= 24 \\[8pt]
5y &= 22 \\[8pt]
y &= \frac{22}{5}
\end{aligned}$$
$y = \dfrac{22}{5}$ を②式に代入。
$$x = \frac{22}{5} + 1 = \frac{22}{5} + \frac{5}{5} = \frac{27}{5}$$
答え:$x = \dfrac{27}{5}, \quad y = \dfrac{22}{5}$
問題2
次の連立方程式を解け。
$$\begin{cases}
0.5x + 0.3y = 4.1 \\[4pt]
x – y = 5
\end{cases}$$
解答
①式の両辺に10をかける。
$$5x + 3y = 41 \quad \text{…①’}$$
②式を変形して $x = y + 5$ とし、①’式に代入。
$$\begin{aligned}
5(y + 5) + 3y &= 41 \\[8pt]
5y + 25 + 3y &= 41 \\[8pt]
8y &= 16 \\[8pt]
y &= 2
\end{aligned}$$
$y = 2$ を②式に代入。
$$x = 2 + 5 = 7$$
答え:$x = 7, \quad y = 2$
問題3
次の連立方程式を解け。
$$\begin{cases}
\dfrac{x}{2} – 0.25y = 1 \\[8pt]
3x + 2y = 14
\end{cases}$$
解答
①式には分母2と小数0.25がある。$0.25 = \dfrac{1}{4}$ なので、最小公倍数は4。
①式の両辺に4をかける。
$$\begin{aligned}
4 \times \left( \frac{x}{2} – 0.25y \right) &= 4 \times 1 \\[8pt]
2x – y &= 4 \quad \text{…①’}
\end{aligned}$$
①’式を変形して $y = 2x – 4$ とし、②式に代入。
$$\begin{aligned}
3x + 2(2x – 4) &= 14 \\[8pt]
3x + 4x – 8 &= 14 \\[8pt]
7x &= 22 \\[8pt]
x &= \frac{22}{7}
\end{aligned}$$
$x = \dfrac{22}{7}$ を①’式に代入。
$$y = 2 \times \frac{22}{7} – 4 = \frac{44}{7} – \frac{28}{7} = \frac{16}{7}$$
答え:$x = \dfrac{22}{7}, \quad y = \dfrac{16}{7}$
Core-dorill
基礎を、何度でも。
この記事で分数・小数を含む連立方程式の解き方は理解できた。
しかし正直なところ、「明日テストで出たら解ける自信があるか」と聞かれたらどうだろう。
もし少しでも不安があるなら、あと10問だけ解いてみてほしい。
1:1
1ページに1問だけ
余計な情報ゼロ。目の前の1問に集中。
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まとめ
この記事では、分数・小数を含む連立方程式の解き方を学んだ。ポイントは以下の通りである。
- 分数がある場合:分母の最小公倍数を両辺にかける
- 小数がある場合:10や100を両辺にかける
- 混合の場合:小数を分数に直してから最小公倍数を求める
- 注意点:右辺にかけ忘れない、すべての項にかける
整数化さえすれば、あとは普通の連立方程式と同じである。理解できたら、あとは手を動かすだけである。
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Core-dorill— 基礎を、何度でも。
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